HOMEトレンドニュース なぜ秋田の地方都市に子育て世代が引っ越す?1年で移住者15→32人に

なぜ秋田の地方都市に子育て世代が引っ越す?1年で移住者15→32人に

漆舘たくみ

2017/01/21(最終更新日:2017/01/21)


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鹿角市への移住を助ける地域おこし隊員たち

秋田県鹿角(かづの)市。東京からは新幹線と在来線を乗り継ぎ5時間ほど。秋田県の内陸部、東京23区よりも広い土地に約3万3千人が住む緑豊かな街だ。東北以外の人ならば、おそらく読み方に迷うだろうこの地に関東から若い世代の移住者が増えつつある。施策を担う市政策企画課鹿角ライフ促進班に、詳細を聞いた。

1年間で15→32人に倍増

同班は2015年4月、市が転入者を増やそうと設置した。移住者は2015年度の15人から、16年度は12月時点で32人と倍増している。同班によると、関東地方からが最も多く、年齢別では子供を含む40歳以下が8割を占める。就農希望者も少なくないという。
十和田湖

鹿角市にほど近い十和田湖 提供:鹿角市

彼らの背中を押すのは、子育てしやすい環境や同じ目線で語り合える移住コンシェルジュの存在である。サイトで公開している移住者の体験談には、「東京で保育園に入所できなかったのがきっかけ」「自然の中で子供を育てたかった」といった投稿が目を引く。市の児童センターでは、サポーターに登録した地域のお年寄りが面倒を見たり、保護者同士の交流の場を設けたりなど、子や親が孤立しないよう工夫を凝らす。
鹿角市空き家2

家賃3万円台で借りられる市内の一軒家の一例 提供:鹿角市

市の移住コンシェルジュの木村芳兼さん(38)は、妻が地元出身だった縁で子供とともに東京から移り住んだ。
制度面だけなら都会も良いと思いますが、それ以上に地域のセーフティネットが充実していると感じます。隣の人にちょっとの間、子守りをしてもらうとか地域に“包容力”がありますね。スーパーで赤ちゃんが泣いても、おばあちゃんが話しかけてくれる雰囲気がうれしいです。
同市の合計特殊出生率(女性が一生涯に産む子供の数)は1.58で、県平均1.36を大きく上回って県内1位だ。

移住希望者を同じ目線で語る

移住コンシェルジュは、県外の都市部から家族と移った20~30代の地域おこし隊員男女4人で構成。任期後の定住に向け副業をしながら、新たな移住希望者に地域を案内したり生活上の相談に乗ったりなどして新生活を助ける。立場や年齢が近いことから、より身近な目線でアドバイスできるという。
鹿角市への移住を助ける地域おこし隊員たち

鹿角市への移住を助ける地域おこし隊員たち 提供:鹿角市

木村さんによると、移住希望者の多くが人間関係に不安を抱くといい、事前に希望地の自治会メンバーや仕事の関係者との顔合わせの場を設けるなど細かにサポートしている。
ガイドブックに載っていないリアルな体験談を伝えて不安を解消します。同じ目線で困った物事を伝えることで、親近感を持ってもらえていると思います。
鹿角市の移住相談ブースを担う移住コンシェルジュ

鹿角市の移住相談ブースを担う移住コンシェルジュ 提供:鹿角市

相乗効果で地域を盛り上げたい

1年ほどで移住者が倍増という分かりやすい結果が出て、木村さんらコンシェルジュはさらに意欲を燃やす。
今、成果が出始めている部分はさらに伸ばしていきます。外部から“刺激”になる人が来る相乗効果で、地域を盛り上げていきたいです。
鹿角市の雪景色 提供:鹿角市

鹿角市の雪景色 提供:鹿角市

鹿角市は2035年の合計特殊出生率2.07(人口維持に必要とされる子供の数)と人口2万人台維持を目指し、同様の取り組みを継続するとしている。好スタートを切った秋田の地方都市の挑戦は、始まったばかりだ。

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