HOME特集 海外から注文も…「遺フィギュア」3Dプリンターで家族の生きた姿を再現

海外から注文も…「遺フィギュア」3Dプリンターで家族の生きた姿を再現

漆舘たくみ

2016/05/22(最終更新日:2017/02/09)


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出典元:ロイスエンタテインメント

大切な家族が生きていた姿を、そのまま残したい。3Dプリンターを使い、小さな石こう像で故人の姿を再現する「遺フィギュア」のサービスが人気を集めています。最近は海外からも問い合わせがあるこのサービスを行うのは、大阪市の「ロイスエンタテインメント」です。「こんなに喜ばれると思っていなかった」と話す代表・古荘(ふるしょう)光一さん(40)に遺フィギュアへの思いを聞きました。

きっかけは娘を失った父親の依頼

同社は以前から、新婚夫妻や新成人などを3Dスキャンして人形をつくる事業をしていました。本来は正確な立体データを取るためにスタジオで撮影しますが、遠方に住む利用者のため、前後左右を撮った写真4枚を基に人形をつくるサービスも行っています。
新郎新婦の人形 出典元:ロイスエンタテイメント

3Dプリンターでつくった新郎新婦の人形 出典元:ロイスエンタテインメント

ある日、香川県の男性から「写真が1枚しかないが、死んだ娘の人形をつくれませんか」と相談がありました。当初は無理だと感じた古荘さんでしたが、男性の娘が暴走運転に巻き込まれて未来を奪われたと聞き、特別に対応することに。男性に完成した20センチほど人形を手渡すと、「娘が帰ってきてくれた」と涙ぐんだといいます。「そこまで感情が入ると思わなかった。色々と難しい面はあるがやっていこう」古荘さんは決意し、2015年2月にサービスを始めました。これまで50体以上の人形を作成しましたが、多くは病気や事故で子供を失った親御さんです。「現状から気持ちを切り替えたい、写真はたくさんあるけど気持ちの空白が埋まらないという理由が多い」(古荘さん)

1枚の写真から復元、作業分担で効率化

人形制作は、平面の写真から立体的なデータに組み立て直し、3Dプリンターから出力します。全体で2カ月ほどかかる作業の山場は、「顔」の再現。鼻の高さがわずかに違うだけで、まったく表情が変わってしまうそうです。同社は、顔と他の部分の担当者を分けることで納期の短縮を実現しました。古荘さんは「いかにベースの骨格データをきっちり作れるかが肝」と話しました。
出典元:ロイスエンタテイメント

出典元:ロイスエンタテインメント

こんなに喜ばれる仕事、そうそうない

「いつまで引きずるのか」かつて、亡くなった子の人形を願う母親と反対する父親が、店頭で口論になる場面もありました。しかし、実際に人形ができると、父親のほうから「本人がそのままいるように見えます」と丁寧な礼状が届いたそうです。古荘さんは、遺フィギュアには賛否両論があるとしたうえで、「こんなに人に喜んで頂ける仕事はそうそうなく、やりがいがある」と話しました。

いずれは声の再生も

現在はトルコや韓国など海外からも注文が来ています。また、4月からは利用客の声を受け、人形内に遺灰を埋め込むオプションサービスを開始しました。「今後はフィギュアだけに終わらず、声の再生も提供できるようにしたい。技術的には可能なので」と、古荘さんは意気込みを語りました。受注生産のため1体10万円からと決して安くはない遺フィギュアですが、遺族の心を癒す効果は値段で計れないでしょう。※掲載画像はすべて許可を得て転載しています。

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