HOMEライフスタイル 70年以上の時を超え…アウシュビッツで使用されていたカップの底から、ユダヤ人が隠した指輪など見つかる

70年以上の時を超え…アウシュビッツで使用されていたカップの底から、ユダヤ人が隠した指輪など見つかる

さえきそうすけ

2016/05/24(最終更新日:2016/05/26)


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MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

ユダヤ人の大虐殺の際、ナチスは彼らを身ぐるみはがし、金目のものはすべてを奪い取ったといわれている。しかし実際ユダヤ人たちは、何とかナチスの厳しい監視の目をかいくぐり、裏をかこうとしていたようだ。

マグカップから指輪見つかる

というのも、ポーランドにある「アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館」によると、今から70年以上前、あるユダヤ人がアウシュビッツ強制収容所で使用していたカップから、指輪とネックレスが見つかったという。指輪などが見つかったのは、同収容所で使用されていたほうろうのマグカップ。

カップの底を2重に細工

同博物館のHanna Kubik女史が、「非常に巧みな方法で隠されていた」と語るとおり、これまでくだんのマグカップは、何の変哲もないカップだと思われていた。しかし、長い年月が経つうちに劣化が進み、カップの底にかぶせ細工していたフタとなる部分が浮き上がってきたという。そう、カップは2重底になっており、わずかな隙間に指輪と布にくるまれたネックレスが隠されていたのだ。2重に細工されていたカップの底▼
MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

エックス線写真を撮ると細工が一目瞭然▼
MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

隠されていた指輪を調べたところ、14金(583/1000)のゴールドの指輪で、1921年~31年にポーランドで作られたものであることがわかった。それがこの指輪である▼
MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

一方、ネックレスは布に包まれて隠されていた▼
MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

MEMORIAL AND MUSEUM AUSCHWITZ-BIRKENAU

一縷の望みを抱いていた証か

今やアウシュビッツといえば、即座に「死」を連想させる忌まわしい場所だが、当時のユダヤ人の中には、ナチスによる「そこは新たな定住地であり、新しい生活と仕事が用意されている」との、うその説明を信じていた者も多いとか。荷物は制限され、先祖代々受け継がれてきた家宝など、最も大切なものだけを持って来たユダヤ人から、ナチスは最後の貴重品を奪い取ったのだ。今回発見された貴金属を隠し持っていた人は、「いつの日か強制収容所を出る日が来たら、生活の足しにしようと、一縷の望みを抱いていたに違いない」と同女史。しかし、結局ほとんどのユダヤ人が無慈悲に殺されてしまったことは言わずもがなで、何とも言えぬ無力感にさいなまれるが、ナチスはユダヤ人からすべてを奪い取ったわけではないのも、また事実である。くだんの指輪とネックレスを含め、アウシュビッツで使用されていたもので、持ち主が判明するケースはほとんどないという。

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