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自分を馬だと思ってジャンプ競技に精を出す牛

Sophokles

2019/03/05(最終更新日:2019/03/05)


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Aston, le taureau/Facebook

フランスの小さな牧場で生まれたAstonという名の牡牛は、売られて屠殺場に送られるはずだった。だが、一人の女性調馬師とめぐり会い、馬のように障害物を飛び越える珍しい牛として、ヨーロッパ各地でショーを開いている。

牛を愛した調馬師

フランス・ストラスブール市に住む女性調馬師・Sabine Rouasさんは、20年間愛情を注ぎ続けて来た愛馬を失った。今から5年前のことになる。以来、彼女は馬に愛着を持てなくなってしまった。馬の代わりに彼女が興味を持ったのは牛だった。その頃、彼女の家の近くには乳牛の牧場があり、彼女はそこの牛たちを可愛がっていた。そしてある日、一匹の牝牛が子供を産む。その子牛Aston(当時の名はM309)はなぜかSabineさんに懐き、牧場を訪れる彼女から片時も離れないようになった。おそらく、妊娠中の母牛に話しかけていたSabineさんの声を、お腹の中でAstonは聴いていて、覚えていたのだろうと彼女は考えている。そのAstonは、食肉となるために屠殺場送りが決まっていた。乳を出さない牡牛は、乳牛の牧場に必要ない。
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1.3トンの体でジャンプ

Sabineさんは牧場主と掛け合ったが、Astonの屠殺場行きは変わらなかった。そこで彼女は1才のAstonと母牛を譲り受け、自分の厩舎で飼うことにした。ちょうど同じ時期に、Sabineさんはポニー(小形の馬)に障害飛越を教え込んでいたのだが、牛のAstonはそのポニーと仲良くなり、訓練の様子を見てジャンプの真似をするようになった。Sabineさんはその頃のことを、海外メディアにこう話している。
私がSammy(ポニーの名前)にジャンプの基本技を教えていると、Astonは熱心に見ていました。それで、ジャンプ以前のもっと基本的なことを——命令に従ったり、一緒に歩いたりすることを、Astonに教えてみたのです。
そして約1年後、Astonはまるで馬のように彼女を背に乗せて走るようになっていた。また、1.3トンの巨体でありながら、何種類かのジャンプの技術も身につけていた。
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ヨーロッパ各地で馬場馬術を披露

3年ほど前から、牛のAstonとSabineさんは、地方で開かれる催事やフェスティバルに出演し、障害物ジャンプをショーとして披露するようになった。牛の巨体が宙を跳ぶ珍しいショーは、たちまち話題になった。現在、SabineさんとAstonはヨーロッパ各地を巡業している。牛のAstonは早足(トロット)や襲歩(ギャロップ)、後退、円形歩法といった馬場馬術(ドレサージュ)の技術もマスターしている。Sabineさんを乗せたまま高さ1メートルの障害を飛び越えられるそうだ。巡業中のAstonは、仲のいいポニー(Sammy)と離れ離れになるので少しさびしそうだが、ショーで活躍できることに十分満足しているとSabineさんは言う。

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