
Science/The social dilemma of autonomous vehicles
自動運転の倫理が浮き彫りに
「Science」誌に発表されたこの調査結果は、自動運転という新テクノロジーが内包する倫理的問題を浮き彫りにした。例えば、次のような状況を想像してほしい。自動運転車が道路を直進していると、突然、何らかの理由で10人の歩行者が道路に飛び出して来た。車がそのまま進めば、10人を轢くことになる。だが、道路の両側はフェンスで、左右どちらにも避けようがない。こんな時、自動運転車が自動的にハンドルを切って、フェンスに激突するという選択をすれば、犠牲になるのは中に乗っている1名(あるいは数名)だけで済む。調査では「自動運転車はこのような選択をするようにプログラムするべきかどうか」を1928人に尋ねた。結果は、76%が「するべき」と答えた。しかしその次の問いで「その自動運転車があなたのものだったら」という条件が加えられると、「するべき」と答えた人は約25%に減った。世の中全体を考えれば、10人の命が優先されるだろう。しかし、そのための犠牲の1人になりたいと思う人は少ない。開発企業のジレンマ
自動車メーカーやIT企業が、こぞって自動運転車の開発に取り組んでいる。技術的には十分に実現可能なレベルに達しているように見える。だが、上の例を見ると、倫理的な問題がまだ残っているようだ。社会的には自己犠牲を選ぶ車が望まれている。だが、そのような車を買いたいという人は少ない。車を売らなければいけない企業はどうすればいいのか? そのジレンマは当分続きそうだ。U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう