HOME特集 病気や障害をもつ子供のためのECショッピングモールが登場。代表は3児の母、道のりを聞く

病気や障害をもつ子供のためのECショッピングモールが登場。代表は3児の母、道のりを聞く

長澤まき

2019/12/14(最終更新日:2019/12/11)


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提供:チャーミングケアモール/装具の上からも履ける防寒ブーツ

病気や障害を持つ子どもや家族のためのECショッピングモール「チャーミングケアモール」について、運営する石嶋瑞穂・代表取締役社長に取材した。

治療中の子どもの見た目・メンタルをケア

病気や障害を持つ子どもや家族のためのECショッピングモール「チャーミングケアモール」が12月1日にプレオープンした。装具の上からも履けるブーツや子ども用ウィッグ、埋め込み型カテーテルを収納するケースなど、子どもの外見ケア関連商品を取り扱うショッピングモールだ。2020年1月に本格スタートする。
出典元:チャーミングケアモールホームページ

出典元:チャーミングケアモール

提供:チャーミングケアモール/装具の上からも履ける防寒ブーツ

提供:チャーミングケアモール/装具の上からも履ける防寒ブーツ

息子の闘病に付き添った実体験がきっかけ

同社代表の石嶋さんは3児の母。2016年に当時小学2年生だった長男が白血病と診断され、約1年間の闘病付き添い生活を送った実体験をもとに、病気や障害を持った子どもの見た目やメンタルをケアするチャーミングケアに携わるようになった。抗がん剤治療に使用するCVカテーテルは、先端が体から突出している。見た目の怖さや衛生面等から「CVカテーテルケース」という布のカバーで覆う場合があるが、同ケースは市販されておらず、自分で作ろうにも子どもに付き添っているので材料を揃えることもできなかったという。友人に事情を話して代わりに作ってもらたっところ、出来上がったケースはまるで売り物のように素晴らしく、親子ともども大喜びしたそうだ。
友人に頼んだことを主治医の先生に話すと、「お母さんが3人位いればいいんですけどね…お母さんの時間がいくらあっても足りないのがこの病気の課題なんです」と言われ、ハッとしました。私と同じように、困っているお母さんは沢山いるんじゃないかと。そして、入院や療養生活にこんなものがあったらいいのに…というものを作る手助けができないものかと考えたのが全ての始まりだったと思います。
出典元:チャーミングケアモールホームページ/CVカテーテルカバー

出典元:チャーミングケアモール/CVカテーテルカバー

長男のベッドサイドでサイトを立ち上げ

石嶋さんはもともとは広告代理店に勤めており、新規プロジェクト・事業の立ち上げを何度も経験していたという。結婚・出産のためしばらく仕事をしていなかったが、3男の幼稚園入園を機にフリーランスとして自宅でWEB制作やライティングの仕事を請け負うことに。ロゴも決めホームページも立ち上げて本格的に取りかかろうと思った1カ月後に、長男の白血病が発覚したそうだ。
家族を巻き込んで立ち上げた手前、子どもが病気になったからといって辞めてしまったのでは、自分の病気についてまだ知らなかった息子も不安になるだろうと、そのままパソコンを病室に持ち込んで仕事を続けました。
ECサイトの運営経験はなかったが、人のためにも仕事上の経験にもなるだろうと考え、入院している息子さんのベッドサイドで、同モールの前身となったショッピングサイト「マミーズアワーズショップ」を立ち上げたという。

可愛らしさ・子どもらしさを尊重

小児がんは生死をさまよう重い病気であり、治療が最優先となる。身に付けているものをおしゃれ・かわいい・こだわりのデザインにしたいという感覚は、治療現場では必要とされていない風潮があったという。
でも、入院当時小学2年生だった私の息子ですら、自分なりのこだわりを持って「好きなものは好き、気に入らないものは気に入らない」とはっきりと伝えていました。病気の前と後で変わりなく、自分の個性として子どもなりのファッションを楽しんでいたと思います。病気になっても“かわいい”“かっこいい”は必要なんじゃないか?と思って、息子に「なぁ、病気になったら服とか髪型とかそういうのどうでもよくなったりするの?」と聞いたことがあります。すると、息子は「そんなわけないやん!髪の毛がなくなるの嫌やし、院内学級あるから服も毎日替えないと汚いと思われるやん」と答えました。その言葉に、あぁ、子どもにも外見や身だしなみのケア(アピアランスケア)は必要なのだと改めて感じました。同時に、これはがんの子どもに限った話ではなく、病気や障害を持つすべての子どもに言えることなのではないか、と思いました。
大人の医療ケアの現場では、薬の副作用や手術等による外見的な変化の問題を解決するための支援の考え方・アピアランスケアが浸透し始めているが、子どもにはまだ浸透しておらず、そういったケアの名前すらない状況だったという。
病児や障害児のために追求するかわいい・かっこいいは、おとなのアピアランスケアとはちょっと違うはず。だったら違う言葉を作ればいいのでは?と考え、子どもの可愛らしさ・子どもらしさを尊重するケアという意味を込め「チャーミングケア」と名付けました。
2018年1月に情報発信をメインにしたポータルサイト「みんなのチャーミングケアラボラトリー」を立ち上げ、同年7月には一般社団法人チャーミングケアとしてサイト運営や座談会等を開催。その後、「どんな子どもも可愛らしさを追求していい」というチャーミングケアの世界観とリンクする製品を一カ所に集めて、必要な人に必要なものを届けたいと、先に立ち上げた一般社団法人からサービス部門を独立させ、同社を設立した。
提供:チャーミングケアモール

提供:チャーミングケアモール

「子ども目線」にこだわって運営

チャーミングケアモールの取扱い商品や運営は、子ども目線であることにこだわる。
障害や病気の当事者の方で、自分目線や当事者目線で物作りをされている方は少ないながらに増えつつあります。が、その考え方を子どもにまで応用しようとされている事業者さんは少ないのが現状です。大人が不便なことは子どもも不便です。ロット数の問題など色々あることは、わたし自身もショップを運営しているので理解しているのですが、数の問題で、子どもたちの問題を置き去りにしたくないので、あくまで「子どもたちのために」製品をつくり、販売している事業者さんに出店していただくようにしています。子どもといっても0歳から成人近くになるまで幅が広いですので、「チャーミングケア」の理念に共感してくださっているというのが、最もこだわりを持っているところかもしれません。
出典元:チャーミングケアモールプレスリリース/車いす周辺アクセサリー

出典元:チャーミングケアモールプレスリリース/車いす周辺アクセサリー

名もなき家族介護に価値を見出す

チャーミングケアモールでは、病気や障害に対しての取り組み事例も発信している。治療や入院中もおしゃれ、かわいい、かっこいい、自分らしくありたい、という子どもの見た目やメンタルケア「チャーミングケア」を確立すべく運営していくという。
出典元:チャーミングケアモール

出典元:チャーミングケアモール

子どもに付き添う中、病室で1人で始めた事業は、企業を巻き込んで独り言ではなくなってきました。「チャーミングケア」という、子どもの外見ケアやメンタルケア、家族のためのケアをピックアップし、今まで名前のついていなかった「なもなき家族看護」に価値を見出したいと考えています。新しい文化が出来れば必ず新しいマーケットが生まれると感じていて、このチャーミングケアモールはまさにその先駆けになりたいなと感じています。物の流通を進めることだけが目的ではなく、特に子どもの長期入院や介護に関してチャーミングケアの担い手が家族以外にいない現状があります。約1年、子どもの入院付き添いを経験して感じたことはたくさんあります。その中で私たちに何ができるのか?まだスタート地点に立ったばかりだと考えています。

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