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1粒1000円、国内流通量わずか1%の「国産ライチ」を次世代へ!宮崎の地域商社の挑戦

長澤まき

2019/02/19(最終更新日:2020/01/27)


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こゆ財団/YouTube

ごくわずかしか生産されていない国産ライチを次世代に伝えていくプロジェクトに、宮崎県にある町の地域商社が挑んでいる。

宮崎の地域商社によるライチプロジェクト

宮崎県児湯(こゆ)郡新富町(しんとみちょう)が2017年4月、旧観光協会を法人化した地域商社「一般社団法人こゆ地域づくり推進機構」(略称こゆ財団)が先日、国産ライチのさらなる認知拡大を図る「ライチプロジェクト」をスタートさせた。国産ライチを次世代に伝えていくために、ファンの裾野の拡大と後継人材の育成を目指す取り組みだ。第1弾としてブログでのライチの生育状況の情報発信や、5月下旬から収穫が始まる「新富ライチ」の予約受付、ライチ茶の試飲即売会などを実施。今春には、東京で主にライチ農家を目指す人に向けて、国産ライチに関する知識と技能を身に着けられる「ライチの学校」の開校も予定している。
こゆ財団/YouTube

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1975年に栽培スタート、2017年にブランド化

宮崎県では、県がマンゴー栽培を取り入れたのと同時期の1975年からライチの栽培が始まった。しかし、ライチは栽培が難しく、生産者が辞めていく状況が続いた。現在、国産ライチは日本の流通量のうち1%しかないという。こゆ財団のリーダー・中村桂介さんが背景を語る。
ライチは温暖な地域では栽培が可能ですが、国内に事例が乏しくノウハウがないため、生産者の試行錯誤を前提として生産しなくてはいけない(=ハードルが高い)状況にあります。ライチは苗木から果実が実るまでに4~5年かかるため、生産者としても積極的に取り組みにくい背景があります。
こゆ財団/Youtube

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財団は2017年4月の設立から生産者と協力し、新富産ライチのブランド化に着手。1粒1000円の国産ライチ「新富ライチ」のブランド化を実現した。
新富町では主要産業である農業をはじめ、さまざまな産業で高齢化や後継者不足が進行し、町の経済活動が衰退していました。こゆ財団は地域に強い地域経済をつくりだすことを使命とし、特産品を販売して得られた利益を地域の人材育成に投資しています。ライチは大変高い品質をもちながらも、生産者だけでは付加価値を高めて市場を拡大するすべがなく、生産者が生産をやめざるを得ない可能性がありました。こゆ財団では、ライチをブランディングすることで、それまでにはなかった高い価値を伴って市場に投入できるだけではなく、生産者への利益の還元にもつながると着想。2017年4月の財団設立からすぐに着手し、5月下旬からの収穫に間に合わせるかたちで一気にブランディングを進めました。
現在、新富町のライチ生産者は6軒。うち、2軒が新富ライチブランドで販売を行っているそうだ。
新富ライチの生産者のひとりは、父親が作ったライチを食べたときの感動が忘れられず、2005年頃から自らもライチの生産をスタートした人です。

新富ライチは糖度15度以上・40g以上

新富ライチとは、どのようなライチなのか。
新富ライチブランドのライチは、中国産とは異なる品種(タイ原産のチャカパット)を採用。大玉で味のくせが少なく、酸味と甘みのバランスも整っています。こゆ財団は、今まで規定のなかったライチに対し、「新富ライチ」=糖度15度以上・40g以上/玉、「新富ライチpremium50」=糖度15度以上・50g以上/玉とレギュレーションを定め、高い品質を保証できるようにしました。
中には、糖度が18度を超えるものも存在しているそう。本当に美味しいライチを味わってほしいという想いを込めて、1玉ずつ丁寧に栽培したものを届けていると胸を張る。
こゆ財団/YouTube

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話題が途切れないよう加工品も展開

ブランド化した後は、ライチ農園への試食体験付き視察会の開催や東京の飲食店などへの営業活動、試食イベント開催など、認知と販売の拡大に取り組む。毎年5月下旬に行う収穫祈念パーティーでは、生ライチやライチを使った創作料理を味わえる企画を行い、町内の認知拡大にも努める。収穫シーズン以外は、ビールやアイスクリーム、チョコレート、ハーブティーなどの加工品を用意したそうだ。
1年を通してライチの話題が途切れないよう仕掛けも行いました。
こゆ財団/YouTube

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国産ライチは町を代表する特産品として町内外に認知されるようになり、2018年までは新富町のふるさと納税の返礼品にも採用された。このほか、空港などの県内土産店、東京・銀座の高級果実を扱うカフェ、東京・広尾の割烹料理店などに販路を築くことができたという。
直営ECサイトなどではリピート購入もあり、固定ファンが生まれつつあります。特に女性の方は食べたら「癖になってしまう」とおっしゃっていただき、リピートしてくださっています。

郷土を代表する果実へ

ブランド化から3年目となる2019年、後継人材の発掘と育成を重視し、貴重な国産ライチが「稼ぐ農家」を生み出して、日本を代表するフルーツとして世界中から評価され続けられるようにするために、プロジェクトを実行していくと意気込む。
新富町では希少な国産ライチがきっかけとなって、新富町のことを知ったり、実際に訪れたりする関係人口が増加しました。(2017年4月〜2019年2月時点:のべ9,862人)一方で生産量はまだ限定的で、全国はもちろん宮崎県内でも認知は広げる余地を残しています。こゆ財団では生産者とさらなる協働のもと、地域の方々から愛され、郷土を代表する果実になることを願いながら、毎年のライチシーズンを楽しみに待っていただける方を増やしていきたいと考えています。その取り組みが「ライチ認知拡大プロジェクト」です。
こゆ財団/YouTube

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生産者の収益向上に向けて、旬の時期以外の生産者の収入を確保するため、ファンとの継続したコミュニケーションの仕組みや、加工品の開発にも注力していく予定だという。
ファンベースと確立した技術に支えられた、長く安定した生産を実現し、ライチそのものを持続可能にする取り組みも行なっていきます。

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