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銀座に巨大ツリーを!オフィス向けプロジェクター80台を駆使したクリスマス企画の裏側に迫る

長澤まき

2018/12/19(最終更新日:2018/12/20)


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出典:「リコー」プレスリリース

もうすぐクリスマス。街がどんどん華やさを増す中で、東京・銀座ではひときわ大きなクリスマスツリーが道行く人の視線をさらっている。色鮮やかな巨大ツリーを支えるのは、オフィス向け機器大手の株式会社リコーの技術力である。

高さ20メートル級のツリーが立体的に投影

銀座のテナントビル・三愛ドリームセンターでは、リコーの超短焦点プロジェクター80台を活用したプロジェクションマッピングを実施している。円柱で全面ガラス張りという独特な建築構造の同ビルの窓ガラスに、階段を駆け上がる日常のシーンや美容院の様子などの映像を投影し、中盤には高さ20メートル級の立体的な巨大クリスマスツリーが出現。伝統と調和した銀座の美しい街並みを照らす。期間は12月25日(火)まで。19:00~23:30の間の30分ごとに1回6分ほどの上映を行う。
出典:「リコー」プレスリリース

出典:「リコー」プレスリリース

創業者が建てたビルを再活性化

リコー経営企画本部コーポレートコミュニケーションセンターによると、ビル外観を最新技術で衣替えするこの企画は、同社の創業者・市村清氏が建てた同ビルの再活性化が発端だという。
建設当時(1963年)としては異例の建造物であり、銀座の象徴として、そしてグループ社員の心のよりどころとして存在してきましたが、時代の流れの中でかつてのそうした意味あいが薄れてきました。そこで、自社の技術・商品・サービスを用いてビルの価値をあげるために考えられた企画が“超短焦点プロジェクター80台を連携して、ビルの窓に映像を投影する”ことでした。
法隆寺の五重ノ塔から着想して設計された建築物であり、円筒形である同ビルの形を生かしたコンテンツにこだわったそう。
円筒形のビルの内部を覗いているようなコンテンツ作りをしています。特に冒頭に現れる階段は奥行きをもって描かれており、まさにビルの中にある階段のように見えます。そこから、ビルの中の世界にいざなっています。
世界的に活躍するデジタル映像アーティスト集団・WOWが作品を制作し、独特な形状のビルのデザイン性を最大限に活かした映像の演出を目指した。▼完成当初の三愛ドリームセンター
出典:「リコー」ホームページ

出典:「リコー」ホームページ

実現に3つの課題

担当者は、同企画を初めて聞いた時の感想をこう話す。
80台を連携して、大きな画像をビルいっぱいに映し出すことを企画者から聞いた際には、自社のことでありながら、「すごいことを考えついたな」と感心しました。一方で街の規制や持続性など、実現の障害となることが頭の中を占めていました。
プロジェクションマッピング実現には、3つの大きな課題があったという。
・窓際の隙間の狭さ・湾曲した窓への映像投影・プロジェクター80台分を連動させて1つの大きな絵にする
1つ目の課題「窓際の隙間の狭さ」は、映像を建物内部から映し出すので、各階の窓と壁の隙間(最大45センチ)という極めて狭い空間で投影を行う必要があった。これは、11.7センチの超至近距離から48型の投影ができる超短焦点プロジェクターと360°カメラで解決した。同プロジェクターを応用することで、従来では設置が難しかったスペースへの設置を可能にした。80台のプロジェクターから投影される映像をずれないように繋げる絵合わせには、360°カメラを活用。狭い空間での360°の撮影と自社のソフトウェア技術を掛け合わせ、難度の高い較正を実現したという。
出典:「リコー」プレスリリース

出典:「リコー」プレスリリース

2つ目の課題「湾曲した窓への映像投影」は、湾曲した窓用に新たな機能性フィルム(液晶スクリーン)を探す必要があった。何度もテストを繰り返して、ようやく湾曲面に適した特殊なフィルムを見つけたという。3つ目の課題「プロジェクター80台分を連動させてひとつの大きな絵とすること」は、プロジェクター80台の制御を1台のパソコンで行えるシステム構築とキャリブレーション(絵合わせ)技術などで解決した。

自社商品・技術・サービスにこだわり

技術面で特にこだわったのは、プロジェクション用の特別な機器を用意せずにシステムを組み上げたことだという。
使用しているプロジェクターは、もともと会議などで使用する目的で作られた弊社の超短焦点プロジェクターで、値段も手ごろなものです。
結果的には、スクリーン用のフィルムのみ他社製となってしまったが、プロジェクターや投影プログラムソフト、リモート遠隔監視システムなど、数々の同社の商品・技術を駆使している。
出典:「リコー」ホームページ

出典:「リコー」ホームページ

立ち止まって一息つくような場所に

こうして実現したプロジェクションマッピングに、銀座の街を行き交う人々から嬉しい反応があったという。
交差点に立って見ていると、観光でいらしている方々が、銀座の街並みを撮影していらっしゃいます。このプロジェクションのところで動きをとめて撮影されている方を見ると、ちょっと嬉しくなります。
「音が出ないので気づきにくい」といった反応もあるそうだが、規制の関係で音楽などは流せないそうだ。
出典:「リコー」プレスリリース

出典:「リコー」プレスリリース

担当者は、開発から保守まで、多くの部門の人たちが「グループのDNA」である同ビルのために、多くの時間を費やして協力してくれたと振り返る。80台のプロジェクターの設置も、このプロジェクトのマネージャーや設計者たちが自ら実施。多くの人たちが、通常業務の合間を縫って参加してくれたそうだ。システムが組み上がっても、思いもよらないことがたびたび発生。1つ1つを地道に解決していったという。システムを組んでから実際の投影までには約1年かかっている。それは、銀座の街にこのような光を使った演出が受け入れられるための試行錯誤の時間だったという。
途中で「もう投影はできないのでは?」と思ったこともありましたが、夜中までシステムを作り上げてきた多くの人たちのことを考えると、なんとしても銀座の街に受け入れられる方法を見つけて投影を開始しなければという気になりました。リコーのDNAのような場所で、社員の努力で作り上げられたこのプロジェクションは特別なものですが、観光やショッピングで訪れた人にとっても、仕事でちょっと疲れた人にとっても、ちょっと立ち止まって一息つくような場になれれば、その意義は社内だけのものでなくなります。そんな存在になれるようにしていきたいと考えています。

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