
askaforensicartist/Instagram
元FBIの「法医学アーティスト」
現役時代のベイリーさんの勤務先は、米ヴァージニア州クワンティコにあるFBIの研究室。2016年7月5日にFBIが投稿したYouTubeの動画によると、彼女の職業は「法医学アーティスト」と呼ばれるそうだ。アメリカでは年間4400体もの身元不明の遺体が見つかり、1000体以上は1年後も身元が分からないままだという。彼女の仕事は、DNAや歯の治療履歴、失踪届では身元が判明しなかった骨から、生前の顔を復元することだ。ベイリーさんは自分の仕事の詳細を、Instagramで解説している。年齢や性別は「わからない」
骨を見て年齢や性別、民族、身長などを判断するのは、ベイリーさんの仕事ではないそうだ。それを判断するのは「法医人類学者」。自然人類学の知識や手法を使って、事件の捜査や身元不明の人物の識別に携わる職業だ。ベイリーさんは法医人類学者のレポートを元に、顔の復元。完全な骨が見つかることはまれなため、年齢の幅は±10歳程度で見積られているそうだ。洋服も一緒に発見されない限りは体型もわからないとあり、平均的な細胞の厚みで復元していくという。▼肉の厚みの目印がつけられた骨▼あごの関節部分には潤滑油の役割をする滑液があるため、その分のスペースにコットンを詰めておくこの投稿をInstagramで見る
骨が語る鼻の形
頭蓋骨では鼻の部分が大きくくぼんでしまっている。しかし、その人がどんな鼻をしていたのかは、骨に手掛かりが残されているのだという。写真の矢印部分は、前鼻棘という部分だ。わかりにくいが、この部分がまっすぐ前に出ているとまっすぐな鼻、上を向いていると上向きの鼻、下を向いていると下向きの鼻なのだという。残念ながらこの部分は小動物などに食べられてしまうことがあり、無くなっていることも少なくはないが、そんなときにはほかのヒントから、鼻の形を再現していくのだという。ちなみに唇に関しては、歯の高さがひとつの目安だそうだが、はっきりと厚みを知ることは難しいとのこと。この投稿をInstagramで見る
骨はレプリカを使用
顔を復元する際には、必ずレプリカを使用する。実際の骨に粘土を乗せるなんてことは、絶対にしないそうだ。▼3Dプリンタで骨を読み取っている所。赤いラインでデータをスキャンしているもし、レプリカを造れない場合には、フォトショップなどを使って2Dで復元作業をしていくという。
骨は証拠品でもあるので、素手では決して触らず必ず手袋をするそうだ。この投稿をInstagramで見る
どれぐらい正確なのか
このように再現された顔はどのぐらい正確なのだろうか。ベイリーさんは、10年ほど前に復元し、ニュースなどでも取り上げられた顔を紹介している。表情や年齢などで印象は違うが、顔自体はかなり正確に再現されている。また、この動画で出てくる再現も非常に似ている。この投稿をInstagramで見る
ベイリーさんは一度、同僚とある実験を行ったことがある。同じCTスキャンを使い、別の法医人類学者にレポートを作ってもらったうえで、別々に顔を復元してみるという実験だ。その結果、非常に似た顔ができあがったのだという。貴重な仕事の裏側がわかるベイリーさんのInstagramは、現在1万5000人以上からフォローされている。
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