HOMEストーリー ごみ収集員と共に祈る認知症の父―娘に大切なことを気づかせた瞬間

ごみ収集員と共に祈る認知症の父―娘に大切なことを気づかせた瞬間

JPN Manatee

2018/07/16(最終更新日:2018/07/16)


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Julie Bick/instagram

ひとりの女性が「美しい瞬間」を写真に収めた。その写真の登場人物は、年老いた父親とゴミ収集員だ。なぜこの写真が美しいのかは、見ただけではわからないだろう。しかし、撮影した女性にとっては間違いなく美しい瞬間だった。

アルツハイマー型認知症と診断された父

ジュリー・ビックさんは70代の父親と、ふたりの子供と暮らす女性だ。父親がアルツハイマー型認知症だと診断されたのは2017年のことだった。それは母親の急な死から1年後のこと。母親と時間を過ごせなかったことを後悔した彼女は、一緒に暮らしながら父親をサポートすることを決意した。しかし、10歳の娘と8歳の息子がいるシングルマザーにとって、これは簡単な決断ではなかった。

父親の自由を奪う日々

まず、ジュリーさんは父親の日常を変えていった。例えば、見守りなく薬を飲むことや芝刈り、そして運転から卒業してもらうこと。自由に移動する手段を失った父親はかなり落ち込んだという。父親の安全や健康を守るための決断だが、父親の落ち込む姿はジュリーさんを悲しませた。忙しい毎日を送る中で、もともと明るくてポジティブな彼女が、自分を憐れむことが増えていったという。父親の視界から隠れ、涙を流すこともあった。

友人を待つお父さん

お父さんには、ある習慣があった。それはゴミ収集員のハロルドさんとあいさつを交わすこと。たったそれだけの関係だが、もともと明るくて社交的なお父さんにとって、ハロルドさんは友達と呼べる存在だったそうだ。いつものように道に出てハロルドさんを待ち始めたお父さん。しかし、いつもとは違ってあたりをキョロキョロと見渡し、何かを探していたという。イスを探しているのだとわかったジュリーさんは、イスを持っていき、ハロルドさんが来るのを一緒に待つことにした。普段との違いは、それだけではなかった。いつものようにゴミ収集車でやってきたハロルドさんを見ると、お父さんは泣き始めたのだ。そしてジュリーさんに、その場を離れるようにとお願いをした。ハロルドさんと共に祈りたいからと。

娘のために祈りたい

お父さんが泣いてしまったのには理由がある。その日の朝、お父さんが家の中にいる間、ジュリーさんは家の外で座っていた。その前日はいろんなことが重なり、とても感情的になってしまったという。夜に泣いているところを、お父さんに見られてしまった。朝になっても気持ちを切り替えることができず、父親を避けるように外にいたのだ。父親が友人のハロルドさんと共に祈りたいと思ったのは、そんなジュリーさんのため。彼女の家庭の事情を知っているハロルドさんは、仕事の手を止めてジュリーさんのため、そして父親のために祈ってくれたのだ。

1万3000人がリアクション

アルツハイマー型認知症は、症状が進行しても「その人らしさ」は失われにくいといわれている。お父さんらしい人懐っこさや娘への愛情は、失われてはいなかった。そのことに気づかせてくれたこの瞬間は、ジュリーさんにとって、とても美しく見えたのだ。この写真は6月25日にFacebookに投稿されると、1万3000人以上がリアクションした。コメント欄には、「なんて美しいんだ」「私も祈ります」「こういうニュースが必要だ」など、この美しい瞬間に心動かされた人からの声が1500件以上寄せられている。

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