
うぷあざ棟梁
平等院鳳凰堂などの建築模型があまりにも精巧すぎて、ダンボールで制作されたとは思えないと話題を呼んでいる。
ため息が出るほど精巧な作品
この建築模型を制作しているのは、ダンボールクラフターのうぷあざ棟梁さん(@upaza_toryo)。どこから見ても非の打ち所がないほど精巧で、思わずため息が出てしまう。
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気がついたらダンボールで作品を
――ダンボールで建築模型を作成しようと思った理由は?また、動画を投稿するようになったキッカケは?幼い頃からダンボールで作品を作っていたので、創作活動を始めたキッカケというのは、特に無かったと思います。気が付いたらこうなっていました。
※下の画像は小学3年生時に制作した作品

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作品の題材も自分が興味を持ったものです。物心ついたときからダンボール工作をしており、細々と続けてきて現在に至ります。
※下の画像は小学6年生時に制作した作品

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動画を投稿するようになったキッカケは、ニコニコ動画の一ジャンルであるニコニコ技術部の存在があったからですね。高校生の頃にニコニコ技術部の存在を知り、いつか自分も投稿しようと思っていました。
“わくわくさん”が私の師匠
――以前からアート作品を制作を制作されていますか?もしかして建築関係の仕事を?普段は会社員で、創作活動は趣味の延長です。幼い頃から“わくわくさん”(NHK教育テレビ『つくってあそぼ』の登場人物。赤い帽子に丸めがね、工作上手なお兄さん)を見て育っていたので、わくわくさんからかなり影響を受けています。(番組を)録画したり、本を買ったりしていました。

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ダンボールを水に漬けて片面を剥がして波の部分を使うという方法はわくわくさんで知り、今でもダンボール建築の屋根瓦の表現に使ったりと活用しています。わくわくさんは私の師匠ですよ(笑)。

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また、父と兄弟でよく工作遊びをしていました。父の仕事がら工具も一通り家に揃っており、家族ぐるみで“ものづくり”に取り組む環境がありましたね。
平面から綺麗に屋根を反らせること
――ダンボールで建築模型を作成しているときに、特にこだわっている部分は?また、気を使っていることや難しい点を教えてください。建物の模型を作るときには、特に屋根の反りにこだわっています。

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私が日本の建築でいちばん美しいと思っているところは屋根です。屋根を綺麗に反らせることができるかどうかで作品の良し悪しも決まります。ダンボールは平面なので、曲面を作るのには毎回苦労しますね。

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接着剤を塗ってふやけた紙は乾いた後に縮むので、作った瞬間と1日乾燥させた後では寸法が大きく狂います。これは屋根を作るときに大きな障害となり、何も考えずに作ると屋根が大きく変形し、建物のシルエットが悪くなります。

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(寸法の)狂いが少なくなるように工夫したり、事前に(寸法が)狂ってしまう量を見越して曲げたりなど細心の注意を払って製作しています。
左利き用のハサミが重宝!?
――制作日数はどれくらいかかりますか?また、ダンボールや使用する道具など、お気に入りのものは?ものによりますが、平等院鳳凰堂や松本城は半年ほどかかりました。

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使用する道具はカッターやハサミ、スケールといった一般的な工作道具がメインです。特殊なものとしては、丸穴を開けるのに使うパンチや、角を整えるのに使う左利き用のハサミなどを重宝していますね。

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動画とセットで楽しめるように
――バスや屋形船などの乗り物を、実際に動いたり浮かんだりするように制作するため工夫された部分は?実物に近い動きができるように、乗り物の実際の動きをよく観察したり、機構を調べたりして製作しました。

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作品は単体としてではなく、動画とセットで楽しめるように工夫をしています。
バスですがダンボール製なんですよ。 pic.twitter.com/uynzjaA5mq— うぷあざ棟梁(ダンボール建築の人) (@upaza_toryo) 2015年11月5日
バスは動きを楽しんでもらえるように、街並みセットを作って映像を作っています。

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また、船は浮かべてこそという思いから本物の海で浮かべることができ、そして水が浸入しないよう何度も実験を繰り返しながら完成させました。

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弦を張るための強度を出すために
――ダンボールで制作した三味線を、実際に弾けるように制作するために苦労した部分は?(三味線に)弦を張る必要があるので、それに耐えられる強度が必要でした。そして、ここがいちばんの問題でしたね。

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木製の三線と同じ形状を紙で作るのですから、どうしても強度が足りません。ダンボールの目の方向を最適な角度で配置し、力のかかる方向に対して強度が出るように工夫をしました。
モチーフは“自分が興味を持ったもの”
――作品のモチーフはどのように選んでいますか?また、インスピレーションの源は?モチーフは“自分が興味を持ったもの”。趣味なのでかなり自由に決めています。観光へ行った先で気になった建築や乗り物や身近な楽器、時事ネタなどを作品と絡めています。

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また、動画やTwitterなどでのコメントを参考にすることもありますね。それに加えて、ダンボールの新たな加工技能や新しい使い方ができるかといった観点でも、作品の方向性を決めます。

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例としては、平面なダンボールを曲面に加工してみたり、歯車を作ってモーターと組み合わせて動きを付けてみたり、水に弱いダンボールで船を作ってみたり、楽器を作って音を奏でてみたり…などがそうです。

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作品に組み込まれたダンボールの可能性を見つけてくだされば嬉しく思います。
趣味なので採算度外視で
興味を持ったものを自由自在にダンボールで作成しているうぷあざ棟梁さん。
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