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「枯れない花を作りたい」アクリル樹脂製の花の“かんざし”が美しすぎて思わず溜息

沢海 輝

2016/06/18(最終更新日:2016/08/02)


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saion 赤浦 圭

saion 赤浦 圭氏が制作するかんざし作品が、まるで本物の花のように瑞々しく美しいと話題を呼んでいる。すべて手作業で制作されている端麗で美しいかんざしの数々。
saion 赤浦 圭

saion 赤浦 圭

2007年からかんざし作家として活躍する同氏に、かんざしを作成し始めたきっかけや花びらの繊細さを出すための工夫などを伺った。

枯れない花を作ることに憧れて

―かんざしを制作し始めたキッカケは?友人である手描き友禅着物の作家に頼まれて、かんざしを制作したことがきっかけです。
saion 赤浦 圭

saion 赤浦 圭

もともと子供の頃から園芸が好きだったので、枯れない花を作ることにある種の憧れのようなものがあったのかもしれません。―花々のスケッチや設計図などは制作しますか?花のスケッチや設計図に関しては作っておりません。絵を描くことが極端に苦手なので、製作時に本物の花を確認しながら作っています。
saion 赤浦 圭

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その結果として、かんざしを作るために多くの植物を育てることになるのですが…。本物の花を目の前に置くことで、スケッチや設計図の代わりにしています。

作品によって樹脂の硬度を変える

―制作素材は作品によって違いますか?弁部分の真鍮線、そして基材となるアクリル樹脂に関しては変わりません。
saion 赤浦 圭

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その代わり桜などの細かい花びらの場合と牡丹などの大きな花びらの場合では、仕上げに使用する樹脂の性質が異なります。―素材を扱う上で気をつけている点やコツは?かんざしは性質上、地面に落としてしまう可能性もあるので、高硬度の樹脂を使用すると割れる可能性があります。このため、ある程度の軟性を持つように仕上げの際に使用する樹脂を決定しています。
saion 赤浦 圭

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桜などの場合、柔らかすぎると触れるだけで曲がってしまうので、ある程度の硬さを残しています。また牡丹など花弁に脈を入れることのできる場合は、硬さよりも柔らかさを重視しています。

花を分解して各パーツを確認する

―花びらの瑞々しい繊細さを出すためにどのような工夫を?毎年作る花を研究するために、花を分解して各パーツを確認しています。同じ品種の花でもその年の天候や育て方で若干の変化があるため、植物には申し訳ないのですが一輪だけ花を分解して確認させてもらっています。
saion 赤浦 圭

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リアルさを追求すると本来の花弁の数と同じ分だけパーツが必要となりますが、かなり重くなってしまいます。そこで、花弁の数を減らしても形状として成り立つように制作しています。
どの部分の花弁を抜くかを確認するためにも、分解工程は重要だと思っています。また、蝶などを作る際は標本を確認しながら作成しています。―モチーフに花を選ばれている理由を教えてください。以前、花蓮を育てたのですが、長くて3日ほどで枯れてしまいました。しかし蓮の花が好きなので、常に手元においていたいという思いがありました。もちろん「花が枯れてしまうことへの美学」というのは理解しているのですが、花に対する思い入れというものを持っている方も、絶対数いらっしゃると。そんな誰かの花に対する思い入れを、少しでも形にできるならと思って制作しています。

源氏物語のかんざしに54の花を

―特にテーマを持って作られた作品は?2015年度は紅葉をイメージして作った蝶のかんざしが、自分にとっての思い出深い作品です。紅葉の色というのは毎年変わるので、色が決められずに随分と悩んでいました。
saion 赤浦 圭

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また、今年の春先に販売した源氏物語のかんざしは、雪柳をモチーフに54帖の物語と同数の54の花をあしらいました。
saion 赤浦 圭

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制作段階では、どうやって54もの花を一つのかんざしとして成り立たせるかと非常に苦心しました。―作品を購入することはできますか?現在はオーダーを休止させていただいておりますが、yahooオークションにて不定期に販売しております。
saion 赤浦 圭

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オークション形式ですので金額にばらつきはありますが、平均して4万円ほどの価格になっています。

今後は展示会用の作品作りも

以前は芝居の小道具や衣装の制作をしていたという赤浦氏。「常に手元で愛でられる枯れない花を作りたい」という心から花を愛する気持ちが、美しいかんざし作品の数々を生み出しているのだろう。
saion 赤浦 圭

saion 赤浦 圭

現在、手元に作品が全くないのでオーダーや展示会は予定していないそう。しかし今後は、少しづつ見本となるような作品を作り、近いうちに展示会を開催したいと思っているとのこと。赤浦氏の作品が気になる方は、ぜひSNSのアカウントをフォローしてみてはいかがだろうか。Twitter: @saionarrowInstagram: @saion_arrowFacebook: Saion

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