HOME特集 さいたま市が作った「祖父母手帳」に全国から希望者が!世代間のギャップを埋める工夫が話題に

さいたま市が作った「祖父母手帳」に全国から希望者が!世代間のギャップを埋める工夫が話題に

遠藤まゆみ

2016/05/22(最終更新日:2016/05/26)


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123RF

埼玉県さいたま市では2016年1月から、母子手帳ならぬ「さいたま市祖父母手帳」を作成、無料で配布している。この“手帳”はたちまち評判となり、用意した1万部はすぐに在庫を減らし急遽2万部を増刷した。なぜこれほどまでに人気となったのか。「祖父母手帳」の作成に関わった、さいたま市子育て支援政策課の高柳さんから話を聞いてみた。こちらは実際に配布されている「さいたま市祖父母手帳」。23ページの小冊子だ。
出展元:さいたま市子育て支援政策課

出展元:さいたま市子育て支援政策課

祖父母世代を「地域の子育ての担い手」に

共働きの家庭が増えている中で、さいたま市も例外ではなく、核家族の割合が33.5%を占めている。親からは「家事・育児の協力者がいない」という声が多くあがっていると高柳さんは話す。「一方、祖父母世代には時間や経済的なゆとりのある方もいらっしゃる……。そうした方々を『地域における子育て』の担い手として新たに取り込めないか、と考えたことがきっかけとなり、この手帳を発行することになりました」(高柳さん)。祖父母手帳の最初のページは、孫の写真を貼るページになっている。「愛着を持って使っていただけるよう、お孫さんの写真を貼ってもらえるようにしました」(高柳さん)。
出展元:さいたま市子育て支援政策課

出展元:さいたま市子育て支援政策課

育児常識の違いが一目でわかる工夫

それにしても、なぜ「祖父母」向けなのか。初めて親になる人のためのものは溢れかえっているから、といった理由ではない。赤ちゃんの親と、祖父母との間に存在する「育児常識」がある。子育て環境の違いや小児医学の進歩により、祖父母世代が経験した育児とは大きく変化している。だが、祖父母世代は自分たちが行った育児がベストだと考えている。しかし、母親たちは祖父母らにとっての常識が、現在では非常識となっていることを知っているので、祖父母世代が子どもに施すことが迷惑にもなることがある。この世代間の問題が、親と祖父母の関係をギクシャクさせてしまうことが多々起きているのだ。「祖父母手帳」が最も注目されているのは、この世代間の常識の差をスムーズに埋めるためのヒントが盛り込まれているところにある。
出展元:さいたま市子育て支援政策課

出展元:さいたま市子育て支援政策課

誌面では、世代間での育児常識の違いが一目でわかるように工夫した。これを見ると、抱っこや授乳の時間、おむつはずれのタイミングや離乳食の進め方など、祖父母世代とは大きく違っていることがわかる。さいたま市では、この冊子の作成のためにアンケートを実施。親世代、祖父母世代、それぞれにアンケートをとり、さいたま市民の生の声として掲載した。高柳さんは「祖父母手帳」作成の狙いについて、「祖父母が育児をしていた時と違って、環境も大きく変化しています。昔と今の育児常識の違いを理解していただくことで、祖父母世代と親世代のコミュニケーションがより円滑になればということ、そしてゆくゆくは祖父母世代が、地域の子育ての担い手となっていただければ、ということが狙いです」と話している。これまでになかった視点で作られていることで、各種メディアにとりあげられ、全国各地から多数の問い合わせが来ているという。「親世代からは『直接は言いづらいことを、この手帳を渡すことで伝えられてよかった』祖父母世代からは『今の子育て方法が気になっていたのでこういう冊子ができて嬉しい、ちょうどこんな冊子がほしかった』など、大変ご好評をいただいております」(高柳さん)。「他市に住んでいるが自分の市でも発行してほしい」という声もあるという「祖父母手帳」は、ウェブサイトからダウンロードして見ることができる。さいたま市では「活用していただけると嬉しい」とのことだ。

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