学生のうちから興味のある職種や業界に触れることで仕事への理解を深めるとともに、就職後のミスマッチを減らす効果も期待され、注目が高まっているインターン。
そんなインターンを機に、大手志向だった価値観が180度変わり、就活をやめて学生起業した若者がいます。
株式会社OnePile 代表取締役の岩田知旺さん(22歳)は、愛知・名古屋エリアに特化した長期インターン求人サイト「JobPacker」を運営。「名古屋で長期インターンを当たり前にする」をミッションに事業を展開しています。
なぜ、大手志向だった岩田さんが自ら起業してインターン事業を手がけることを決断したのか?インターンの経験を将来に活かすためには、どのようなことが大切なのか?岩田さんに取材しました。
学生目線の長期インターン求人サイト
「JobPacker」は、愛知・名古屋エリアに特化した長期インターン求人サイト。代表の岩田さんを始め、メンバーはほぼ現役の学生で、学生目線でサイト運営・求人紹介を行っています。
掲載しているのは、学生にとって「成長できる職場であること」を認めた企業のみ。全ての会社を実際に訪問し、基準を満たす企業だけを厳選して紹介しているそうです。
同サービスは、創業3カ月で愛知県の長期インターン求人案件数で業界2位を達成するなど注目を集めています。
インターンを機に中小企業の魅力に気づく
代表の岩田さんは1999年3月生まれ、現在22歳。名古屋大学情報学部 修士課程の1年生です。
もともとは大手志向で、大学卒業後は大手企業に就職したいと考えて就職活動もしていましたが、ある経験により価値観が一変し、大学4年の6月に起業。
現在、11人のメンバーと共に、愛知・名古屋ではまだ馴染みのない長期インターンシップの求人サイトを運営しています。
-----大学入学時に思い描いていたキャリアを教えてください。
岩田さん:僕の父親が大手企業に勤めていて、身近な社会人が教師もしくは大手企業の会社員しかいない環境で育ったため、僕も大手企業への就職を考えていました。
-----大手志向の価値観が一変して学生起業したそうですが、何があったのですか?
岩田さん:大学2年の夏頃から100人程度の中小企業で長期インターンを経験しました。そこで、中小企業の役員のレベルの高さを実感し、これまで自分が中小企業に抱いていたイメージは思い込みに過ぎなかったことを思い知らされました。
また、自分のアイデアを社内のトップや役員に伝えやすく、キャリアアップのスピードも速い中小企業の環境に魅力を感じたことも、大手志向からベンチャー志向へと価値観が一変した理由の1つです。
「今の自分の立場を活かせる」と学生起業
-----起業を決断した経緯は?なぜ、ベンチャーに就職するのではなく起業を選んだのですか?
岩田さん:長期インターン後、その経験が評価されたこともあり、倍率の高い人気企業のサマーインターンに参加することができました。
そこに参加している他の学生を見たところ、ほとんどが東大生など大学生活の早い段階から長期インターンに挑戦できる環境にいた学生ばかりで、地方大学の学生はほとんどいないことに気付きました。
自分は知人の紹介で長期インターンに参加して価値観が変わるような貴重な経験をすることができましたが、多くの地方学生はインターンの機会や選択肢が少ない状況に置かれているという課題に気付き、「名古屋でも長期インターンできる機会を増やしたい」と思うようになり、就活をやめて起業しました。
-----自ら学生起業することを決断した理由は?
岩田さん:自分の学生という立場を活かしたほうが、学生にリーチしやすく、企業にも会ってもらいやすいので、事業をスピード感を持って進めることができるのではないかと考えたからです。
まず行ったのは仲間集め
-----起業を決心した後は、どのように動きましたか?
岩田さん:まず行ったのは仲間集めです。
友達や就活で知り合った人などに自分の想いや事業構想などを話していたところ、友達から友達へと自分のやろうとしていることが広がっていき、一緒に事業を始める仲間を集めることができました。
-----長期インターン求人サイト「Jobpacker」でこだわっている点は?
岩田さん:「本当にこの会社で働きたいと自分が思えるかどうか」ということを軸に企業を掲載しています。
「自分自身がインターンとしてこの会社で働きたいと思うか」「この会社でのインターンが本当に学生のためになるのか」を考え、社内の雰囲気や社長のスタンス、学生に対しても丁寧に接してくれるかなどをチェックし、納得した企業だけを掲載しています。
経験不足をさまざまな方法で乗り切った
-----事業を始めた後に大変だったことは何ですか?
岩田さん:社会人経験が無かったことです。
売上目標に関してのKPI管理や支払い、法務や税務、営業まで、全く経験や知見のない状態からのスタートでした。
-----その困難をどう乗り越えましたか?
岩田さん:自分で調べるのはもちろんですが、その上で、サマーインターンで出会った会社の社長や先輩起業家など知見のある人に相談し、方向性の確認などをしました。
相談するにあたっては、応援したいと思ってもらえるように、礼儀に気をつけ、質問の仕方なども工夫するよう心がけました。
恐れずに行動&自ら学ぶ姿勢が大切
自身も長期インターンの経験者で、また事業を通して多くの企業やインターン生と接している岩田さんに、学生が長期インターンで抑えるべきポイントを聞いてみました。
-----長期インターンの経験を将来につなげるために大切なことは何だと思いますか?
岩田さん:1番は、恐れずにやってみることだと思います。
長期インターンに興味はあるけれど、自分のレベルでできるのか自信がなかったり、不安だったりして、躊躇している学生に多く出会います。
僕自身、長期インターンを始める前に不安を感じていたので彼らの気持ちもわかるのですが、実際に始めてみるとその不安は杞憂で、まったく恐れることはありませんでした。
ですので、迷う前に行動したほうが早い。迷うくらいならまず応募して行動してみることをオススメします。
-----インターンを始めてから大切なことはありますか?
岩田さん:教えてもらうのではなく、自ら学びに行く姿勢が大切だと思います。
「自分はこういうスキルが欲しいので、こういう仕事をやらせてほしい」という前向きな姿勢で主体的に取り組むほうが、受け身でいるよりも、得ることができるスキルの幅が大きく広がるのではないでしょうか。
自分を肯定しながら納得がいく就活を
-----これまでを振り返って「これはやってよかった」「役にたった」「おすすめしたい」という学びや行動、経験はありますか?
岩田さん:人に会いまくることです。
事業をスタートした後、月に100人以上、幅広い年代の人々に会っていた時期があったのですが、さまざまな人と会うことを通して、事業にも役立つ“人を見る直感”を磨くことができました。
もし、多くの人に会うことが難しい場合は、友達や知り合いとの関係をより深めてみることもオススメです。
浅い付き合いから一歩踏み込んで、相手に興味を持ち、深くつきあうように心がけることでも、人の内面を見る力や人との向き合いかたが鍛えられ、感性を磨くことができると思います。
-----最後に、就活中の学生に向けて伝えたいことやエールをいただけますか?
岩田さん:コロナ禍により、学生にとって厳しい状況が続いていますが、自分の存在を肯定しながら楽しく就活してほしいです。
仮に志望していた会社に落ちたとしても、単にその会社が自分に合ってなかっただけで、あなたに価値がないわけではありません。
どんな人でも輝ける場所がきっとあるので、自分と向き合い続けて納得のいく就活をしてほしいと思います。
長期インターンシップを通して企業の姿や仕事環境を体感したことで価値観が一変し、さらに、その後のサマーインターンで感じた課題感を解決するために起業の道に進んだ岩田さん。
自ら行動したからこそ、新しい価値観や課題、解決したいと思える目的に出会えたと言えるのではないでしょうか。
岩田さんのこれまでの道のりは、私たちに、自分のキャリアの軸となる気づきや目標に出会うためには、まずは一歩踏み出して行動してみることが大切だということを教えてくれます。
出典元:JobPacker
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