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インターンをきっかけに大学3年生で起業!21歳の養鶏経営者が語る、一歩踏み出すことで見えてきた世界とは?

長澤まき

2021/03/14(最終更新日:2021/03/14)


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提供:EggSmart株式会社/代表 宮崎 将明さん

これからのキャリアへの第一歩として、インターンシップなど、将来に向けた行動を始めたいと考えているけれど、「やりたいことが具体的に決まっていない」「どんな経験が自分のキャリアにどう活きるのか、具体的なイメージが湧かない」など悩み、なかなか一歩踏み出せないでいる人もいるのではないでしょうか。

横浜国立大学 経営学部 3年生の宮崎将明さんは、養鶏場・会計事務所・ベンチャーキャピタルでのインターンシップを経て、2020年7月に鶏卵・養鶏業界の諸課題を解決するスタートアップ「EggSmart」を設立。2020年9月に沖縄県うるま市に移住し、大学の授業をオンラインで受けつつ、平飼いの養鶏場を経営しています。

インターンシップをどのように活用してキャリアを切り拓いてきたのか。宮崎さんに取材しました。

人にも鶏にも優しい世界を目指す

宮崎さんは、1999年5月生まれの21歳。

「鶏と養鶏家を共に幸せにする」という理念のもと、沖縄県うるま市で養鶏場を経営。今年3月6日(土)には、初の自社ブランド「うるまの平飼い卵」をクラウドファンディング CAMPFIREにて公開しました。

動物本来の習性に基づいた環境の中で、シークアーサーパウダーの余りとなる皮の部分をブレンドした餌を食べている鶏が生み出す“人にも鶏にも環境にも優しい卵”には大きな注目が集まっており、クラウドファンディングは開始4日目にて130人超からの支援が寄せられ目標金額100万円を達成しました。(クラウドファンディングは3月30日まで実施)

現状を知るために養鶏場でインターン

宮崎さんは、大学1年生の春休みに、沖縄県うるま市の養鶏場でインターンシップをしたことをきっかけに起業への道を歩み始めました。

宮崎さんの目標は、鶏と養鶏家を共に幸せにする“平飼い養鶏場の経営の成功モデル”をつくること。

鶏を地面の上で放し飼いする“平飼い飼育”は、鶏に優しい飼い方であると共に、鶏にストレスがかからないため、卵がより健康的であることも特徴。しかし、日本では現在、平飼いされている鶏はわずか5%ほどで、残り95%はケージで飼育されているそうです。

宮崎さんは、この現状を変えることができる“儲かる平飼い養鶏場のモデル”を確立して日本中に広めることで、鶏にも養鶏家にも幸せになってほしいと考えています。

-----大学1年時と、早い時期にインターンシップを始めたのはなぜですか?

宮崎さん:自分が在籍している横浜国立大学 経営学部には、早くからインターンをする人が多くいます。そのような人たちの行動に感化され、「自分も何か挑戦したい」と思いました。

-----インターンシップ先として養鶏場を選んだ理由は?もともと養鶏に興味を持っていたのですか?

宮崎さん:大学に入った時点では、全く養鶏への興味を持っていませんでした。

大学1年生の頃に、本などで家畜動物が置かれている過酷な状況を知り、「その現状を変えたい」「そのために、自分には何ができるか」と考え、家畜のリアルな現場を見たいと思ったことが、養鶏場でインターンをしようと決めたきっかけです。

提供:EggSmart株式会社/代表 宮崎 将明さん

募集がなかったので、受入先は自分で探した

-----インターンシップ先はどのようにして見つけたのですか?

宮崎さん:沖縄の養鶏場や畜産業でインターンシップをしたいと考えたのですが、インターンシップの募集を出しているところはほとんどありませんでした。

そこで、インターンシップ先を自分で探しました。受け入れてくれそうな企業を探し、代表が30代と若いうるま市の養鶏場を発見。インターンシップをさせてもらえないか、まずはメールで問い合わせ、その後電話で話をして、受け入れてもらえることになりました。

提供:EggSmart株式会社

「養鶏をビジネスで変える」と起業を決意

大学3年生で起業した宮崎さんですが、大学入学時は自分が起業するとは全く考えていなかったそうです。

-----いつ頃から起業したいと思うようになったのですか?

宮崎さん:養鶏場でのインターンシップ後、大学2年生の時です。

インターンシップでの経験を経て、「養鶏業界の現状を変えるためには、ビジネスで変えるしかない」という結論に至りました。

鶏などの家畜動物は過酷な状況に置かれていますが、養鶏業者も鶏をいじめたくてそのように飼っているわけではありません。また、養鶏は体力的にも大変な仕事ですが、その割に儲からないのが現状です。

そういった産業構造を変えるには、養鶏をしっかりと儲けることができ、プライドを持てるような仕事・業界に変える必要があると思いました。

-----起業を決意した後、起業に向けてのノウハウや知識、人脈をどのように得ましたか?

宮崎さん:インターンシップやビジネスコンテストなどに参加して、人脈や知識、スキルを身に付けました。ビジネスコンテストでは、ビジネスの根本は、ビジネス上で起きている課題をしっかりと特定して、それに対して適切な解決策を提供することだと学ぶことができました。

養鶏をビジネスとして成り立たせる方法を学ぶために、まずは会計事務所で半年程インターンシップし、その後、さらに半年程ベンチャーキャピタルでインターンシップを経験しました。

神奈川県主催のビジネスプランコンテストでは、ビジネスの課題をしっかりと捉えるために、神奈川県内の養鶏場にヒアリングを重ね、そこで得た知識や現場の声をビジネスに落とし込んで発表し、県知事賞(最優秀賞)をいただくことができました。

自分の“想い”を伝えることを大切に

-----昔からある業界で新たな事業を始めるにあたって困難はありませんでしたか?受け入れてもらうために心がけたことは?

宮崎さん:困難はありました。IT業界などの新しい産業とは違って、新しい挑戦への支援環境が十分に整っていませんでした。

そこで、受け入れてもらうために大切にしたのは“想いを伝える”ことです。

新しい挑戦への支援環境が整っていないというのは、裏返せば、この業界で挑戦する人が少なく、目立つことができ、応援してもらいやすいということ。

そう考えて、自分の思いをしっかりと伝え続けているうちに、支援してくれる人が現れたり、それが実績に繋がったりと周りの環境が変化し、徐々に受け入れてもらえるようになってきています。

-----自分の想いを伝える“伝える力”というのは、どのようにして身に付けましたか?

宮崎さん:メンタリングや相談などで出会った起業家の先輩方たちの話し方や表現方法から、想いを伝えることの重要性や心構えを学びました。

インターンは先輩から学べる貴重な機会

-----これまでを振り返って、「これはやっておいて良かった」と思う経験はありますか?

宮崎さん:やっておいて良かったのは、インターンシップなど、自分よりも先を歩いている先輩のもとに入り込んで、色々なことを教えてもらったことです。

-----逆に、「これをやっておけばよかった」と思うことは?

宮崎さん:「もう少し早く、いろいろな活動をやっておけばよかった」「ためらわずに、もっと早く行動していればよかった」と思います。

例えば、僕は、一番最初のインターンシップ先を決めるにあたって、右も左も分からなかったので凄く迷い、4カ月ほどの時間をかけてしまいました。

今振り返ってみると、長い時間をかけて悩むのではなく、よく分からないなりにも飛び込んで、インターンシップをしながら学んでいく姿勢を当時から持てていれば、その後の歩みをもっと早めることができたのではないかと思います。

提供:EggSmart/インターンシップ時

必要なスキルや経験を逆算して考える

-----インターンシップ先はどのように選べばいいと思いますか?

宮崎さん:将来の目標に向けて、必要なスキルや経験を逆算してみればいいと思います。

ただ、一番最初のインターンシップの時点では、まだ分からないことも多いと思うので、まずは身近にある魅力的だと思える会社に飛び込んでいくことが重要なのではないでしょうか。

また、複数の会社でインターン経験を積むこともおすすめです。

レベルの高いインターンシップ先に、スキルも経験もない状態で入れる確率は低いので、まずは初めの一歩として、身近にある興味を持てる会社でインターンを経験。その経験を生かして、次のインターンシップ先でさらに深く経験を積んでいく、ということを2~3社繰り返せばいいのではないかと思います。

働く=自分の望む世界に近づく手段

-----宮崎さんにとって“働く”とは?また、これからのビジョンを聞かせてください。

宮崎さん:働くことは自己実現。自分の望む世界に近づくための手段です。

今後は、弊社のビジョンである「鶏と養鶏家を共に幸せにする」に向けて、ずっと活動を続けていきたいと思っています。そのビジョンに向けて逆算して行動する中で見えてくることや、世界に対して自分が正しいと思えることをやっていきたいです。

-----最後に、自己実現したいと考えている同世代の若者に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

宮崎さん:とりあえず、どんな小さな一歩でもいいから踏み出してみることが重要だと思います。

僕自身、沖縄の養鶏場でインターンシップをすると決断をした時から、世界が変わってきました。

決断する前は、環境の変化や挑戦することに対する周囲の目など、いろいろな不安を抱えていました。しかし、一歩踏み出したところ、経営者や起業家など、自分の目標や憧れとなるような挑戦している人たちがたくさんいる世界に飛び込むことができ、非難されたりすることや周囲の目は全く気にならなくなりました。

一歩踏み出すことが怖いと思う気持ちは分かりますが、最初の一歩を踏み出せたら、全く違う世界が見えてきます。なので、まずは歯をくいしばって一歩踏み出すしかないと思います。

提供:EggSmart

自分の働きたいインターンシップの受け入れ先がないからといって諦めるのではなく、自分でインターンシップ先を探し出す。不安があっても起業に踏み出すことで、起業家やビジネスに情熱を持った人たちに囲まれる理想的な環境に入る。

宮崎さんのこれまでの道のりは、私たちに、小さな一歩でもいいのでまずは勇気を出してその世界に足を踏み入れることの大切さを教えてくれます。

出典元:Egg Smart
出典元:CAMPFIRE/養鶏の現状を変えよう!人にも鶏にも環境にもやさしい「うるまの平飼い卵」

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