「叶えたい夢がある」「ビジネスで社会に貢献したい」といった想いを持っているが、それをどのように実現させればいいのか分からず、一歩踏み出せないでいる若者は多いのではないだろうか?そんなビジネスパーソンの道標となる起業ストーリーがある。
南山物産株式会社の中山大希代表取締役は、外資系商社や大手重工業メーカー勤務を経た後に脱サラし、2018年に焼酎専門商社を設立した。
まったくコネも人脈もない中で、焼酎への熱い想い・信念だけを頼りにスタートしたが、2年目となる2020年には、同社のプロジェクトが国税庁の「日本産酒類のブランド化推進事業」に選定。同年12月には、新しい焼酎プロジェクト「SHOCHU NEXT」をプレオープンした。
自分の信念をどのように伝え、ビジネスにつなげたのか?中山代表に取材した。
日本の蒸留酒の未来を切り開くプロジェクト
焼酎プロジェクト「SHOCHU NEXT」は、WEBマガジンとYouTubeチャンネルで展開する、日本の“熟成焼酎”をリブランディングするプロジェクト。今年1月末の本ローンチに先駆けて、2020年12月22日(火)にプレオープンした。
ウイスキーなどと同じように、樽や甕、タンクなどで時間をかけて熟成することで、さらにまろやかな味わいとなった熟成焼酎。そんな、世界に羽ばたく可能性を秘めた熟成焼酎を掘り下げることで、本格焼酎・泡盛はもちろん、日本の蒸留酒の未来を切り拓いていきたいと考えているという。
同プロジェクトの正式ローンチを記念して、1月30日(土)の午後に、無料オンラインセミナー・シンポジウムを開催する。
大手メーカーを辞め起業、国内外で成果
同プロジェクトの発起人にして編集長を務める中山代表は、以前は外資系商社で日本の鉄鋼製品の海外輸出や、大手重工業メーカーにて日本の技術を世界に届ける仕事に従事。
モノづくりの第一線で働く中で、日本は技術でみれば一流なのに、マーケティングや組織的な交渉力が原因で海外で苦戦してしまうというジレンマを感じていたそうだ。
起業のきっかけとなったのは、前職の勤務先・シンガポールでのこと。日本人に愛されている焼酎が、世界のマーケットでは全く相手にされていないことを知り、「これだ」と決意し、脱サラして焼酎の専門商社を立ち上げた。
まったくコネも人脈もない中で、鹿児島県・奄美大島の蔵元に電話をかけて訪問し、焼酎造りの現場を見せてもらうなど、「自分には、世界に伝えるべきものがある」という信念だけを頼りに、事業をスタートしたそうだ。
起業後、加速度的に世界が拡大
-----コネも人脈もない業界で起業するのは大変だったのでは?どのようにしてモチベーションを維持しましたか?
中山代表:何もないように見えて、たまたまたいたその環境で大きな出会いがあったり、縁が縁を呼んだりしましたので、ゼロから開拓していくこと自体は苦になりませんでした。
むしろ、加速度的に世界が広がっていくのを体験して、「この仕事をやることは使命なんだ、業界から必要としていただいているのだ」と思い込めるほどのスピード感を味わいました。
それがモチベーションにもつながっていたと思います。
はっきりした信念を発信&実感してもらう
新たに始動した「SHOCHU NEXT」も、プロジェクトはスタートしたものの、当初は何から手を付けていいか分からなかったという。
しかし、起業した時と同じように、自分の強い信念を伝えるうちに、プロジェクトチームが出来上がっていったそうだ。
-----具体的に、どのように自分の信念を周囲に発信しましたか?
中山代表:「焼酎を世界のSHOCHUにしたい」という思いがはっきりしているので、それに可能性を感じていただける方と興味を持っていただけない方というのは、わりと瞬間的に分かれると思います。
少しでも興味と可能性を持っていただき、実際に蔵元の素晴らしい焼酎を飲んでいただくことで、やってみたいという思いになっていただけたのではないでしょうか。
焼酎は、それだけ夢と可能性がつまった商材だと思います。
まだまだ十分にそれを外に伝えきれているとは思っていませんが、その思いの一端が、今回のSHOCHU NEXTのメディア立上げにもつながっています。
「泥くさくても伝えきる」という覚悟が大事
-----自分の信念(想い)を聞いてもらう・伝えるために、どのような工夫をしましたか?
中山代表:自分が最前線を切り開いて、示していかないといけない、と思っています。
“人が言う(薦める)から売る”とか、“売れているものを売る”というのも大事ですが、「自分が良いと信じたものを徹底的に泥くさくても売り切る、伝えきる」という覚悟のようなものがあれば、自ずからどんな行動をとるべきかが見えてくると思います。
あまりそこで損得勘定で計算しないようにはしています。結果は後でついてくると信じて、今も動いています。(笑)
-----そうして集まってくれたチームメンバーと一緒に仕事をするにあたって、心掛けていることは?
中山代表:それぞれプロとして信念と責任を持って動いているならば、それをリスペクトして、しっかりと任せることは大事だと思っています。
だからと言って、丸投げとは違います。
任せていても、工程管理だったり成果物の品質管理だったりというのは、きちんとコミュニケーションをとって、お願いするべきところはお願いする。そういう健全な関係性をつくっていくことが大事だと思います。
一朝一夕に最高のチームは出来ません。自分たちも、今もそれは悪戦苦闘しながら構築しているところです。
中山代表「諦めずに続け、遠慮せず発信」
脱サラしてコネも人脈もない業界で起業し、強い信念だけを頼りにビジネスを切り拓いている中山代表。
日本の良い物を世界にあらためて伝え、輸出することは、多くの先人の努力や歴史と文化に感謝することであり、恩返しの意味合いもあると考えているという。
-----若手ビジネスパーソンに向けて、信念を成果につなげるためのアドバイスをいただけますか?
中山代表:そもそも、信念を持っていること自体が素晴らしいと思います。
信念があるなら、諦めずに続けることしかないと思います。あと、まわりに遠慮せず発信してみることも大事なのではないでしょうか。
「何も叶えたいことがない」「夢やアイデアが思い浮かばない」という人も多いもの。もし、信念や夢を持っているのなら、それを大切にして一歩踏み出し、周囲に分かりやすい形で伝えて共有することで、未来が拓けていくのかもしれない。
出典元:SHOCHU NEXT
出典元:南山物産
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