HOMECareer Runners イノベーションを起こす鍵は“がんばらない”こと…生コン業界の革新に挑む、人間開発法人ジグソーCSOの仕事術

イノベーションを起こす鍵は“がんばらない”こと…生コン業界の革新に挑む、人間開発法人ジグソーCSOの仕事術

長澤まき

2020/12/19(最終更新日:2020/12/21)


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提供:JIGSAW

衣食住の“住”を支える重要な役割を担っているが、その仕事の中身についてはあまり知られていない生コンクリート業界。

そんな業界の認知度を向上し、人々にとってより身近な存在にするために、他業界とのイノベーションを起こす斬新かつ面白いプロジェクトに挑戦している企業がある。

株式会社JIGSAWは12月4日(金)、生コンクリート運搬車(ミキサー車)の常時回っているドラム部分を媒体とした“回転広告”を開始すると発表した。「走る+回る」広告としてインパクトが期待できるという。

これまでにない、画期的なアイデアをどのように生み出したのか?プロジェクトリーダーである人間開発法人ジグソーCSO(Chief Story telling Officer)の澤田宗一郎さんに、イノベーションへの挑戦や、それを実現するための仕事への向き合い方について取材した。

コンクリート業界にイノベーションを

同社は、京都の歴史ある生コンクリート製造会社・宝ヶ池グループの子会社として、残った生コンクリート(残コン)のリサイクルシステムを見える化するために、2018年10月に誕生した。

コンクリートリサイクル事業をメインに、透水性コンクリートなど新しい技術をいち早く取り入れながら、業界にさまざまなイノベーションを起こそうと取り組んでおり、“人間開発法人ジグソー”と名乗っている。

提供:JIGSAW

「人間開発法人」と名乗る理由

今回の企画のプロジェクトリーダーである澤田さんは、1992年生まれの現在28歳。大学を中退し、20歳から「こんな仕事をしてみたい」を基準に考え、給排水管設備の管理・施工管理・生コンクリート試験・太陽光パネルの営業など、さまざまな業種の仕事を経験してきた。

その中で、しだいに「何をするか」よりも「誰とするか」が重要だと考えるようになり、同社に入社。現在は、社歴が浅く実績もまだ少ない同社の存在を世に広めるために、SNSやインターネットを駆使して会社の取り組みを広める業務を担当している。

-----貴社が、コンクリート事業をメインとしつつも「人間開発法人」と名乗ることにした理由を教えてください。

澤田さん:まずは、いま関わっているコンクリート業界を盛り上げたいと思っています。

その中で、「人間開発法人」と掲げている通り、「人々の可能性を開花させる環境を創出し、人生の選択肢を拡大させ、価値ある人生を全うすることを可能にすること」を理念にあげています。

後々は業界にこだわらず、人々がもっと楽しく仕事して、「もっと人生は楽しい」と思う人が一人でも増えて欲しい。そのためには、“まず自分たち自身が楽しくないと、他の人を楽しくなんてできない”という考えからきています。

提供:JIGSAW/澤田宗一郎さん

業界への「なぜ?」から生まれた企画

-----「ミキサー車に広告を載せよう」というアイデアは、どのように発案したのですか?

澤田さん:私はこの業界に入ったとき、一つの疑問として「なぜトラックやバスには広告を載せることができるのに、ミキサー車は自社の社名を載せているだけなのか」「ミキサー車は『回る+走る』とインパクト抜群の車なのに、なぜそこに広告を載せるという発想がないのか」と思いました。

インターネット等でもいろいろ調べてみましたが、全く出てこない。そこで私は「これはチャンスしかない」と考えました。

また、広告媒体を作ることで、市場をひとつの業界だけに留めず、全国規模、世界規模にも拡げることができるのではないかとも考えました。

それにより、生コンクリート業界でもおもしろいことをしている会社があることを知っていただき、この業界の存在自体を知らない方にも届けることができればと思い、この企画を発案しました。

まずは京都市内を巡回する形で広告を載せたミキサー車を走らせ、将来的には、各都道府県の生コン工場やミキサー車を保有する輸送会社と提携し、対象地域を広げていきたいと考えているという。

提供:JIGSAW

保守的な業界だからこそチャンスしかない

生コンクリート業界は歴史のある業界のため、保守的な側面があり、今回のミキサー車を広告媒体にするといった企画にはこれまで誰も取り組もうとしなかったという。

-----保守的な業界で新しい挑戦をするのは、大変ではないですか?どのような苦労があり、それをどのように乗り越えましたか?

澤田さん:グループの会長が保守的な考えが嫌いな方で、私たちのような若い世代の考えやアイデアを柔軟に受けてくださるので、かなり動きやすくなっています。

また、保守的な業界だからこそ、新しいことを一つやっただけで、業界全体が目を向ける傾向があります。

それにより得することもあれば損することもありますが、それだけ目を向けて頂けていると考えていますので、苦労と思っておりません。逆に、「新しいことをしてこなかった業界だからこそチャンスしかない」と思っております。

人には皆、適材適所がある

今回のミキサー車への広告は、同社の挑戦のほんの手始めだという。

同社は今後も、面白く新しいことを中心に、同業界と他業界とのイノベーションを起こし、日本中をさらに盛り上げていきたいと考えているそうだ。

-----イノベーションを起こしていくために、どのように仕事に向き合っていますか?

澤田さん:こう言ったらネガティブに捉える方もいるかもしれませんが、私自身が大切にしていることは「がんばらないこと」です。自分のできることしかしない。自分にできないことは、とことんしない。

社名にもなっている「ジグソー」パズルのように、人には皆、適材適所があります。

適材適所で自分のできることをすることにより、自分の思いや考え方をしっかりと表現できるのだという。

澤田さん:また、自分のできることしかしないことによって、自分の中で余裕が生まれ、他のことを考えることができます。

この“心の隙間”こそが、アイデアや柔軟な考えにはかなり大切だと思っています。

隙間がなければ、ほかのことを考える余裕もないため、アイデアなどが出てきにくいからです。だから、私はがんばらないのです。それでも案外生きていけるから。

提供:JIGSAW/澤田宗一郎さん

「何をするか」ではなく「誰とするか」

-----これから、どのようなことに挑戦し、それにより何を実現したいと考えていますか?ビジョンを聞かせてください。

澤田さん:今回の企画がどこまで広がるかにもよりますが、まずはこの業界を盛り上げたいというのが大きな目的です。全国の方々に、とりあえず「生コンクリート業界が存在する」ということを知っていただくだけでも、この企画をやる価値はあります。

また、とにかくおもしろいことをしたいです。

“この会社に任せておけば、業界と世間を沸かせて、日本中の人々が元気になるような企画をしてくれる”と思われる会社を目指しています。

最終的なビジョンは「人間開発」。環境づくりだという。

澤田さん:なので、正直何をするのかはおまけみたいなもので、「だれと」するかにとことんこだわる会社にしていきたいです。

また、この会社に関わってくださる方々の心を豊かにしていく。そのために、まずは自分自身の心から豊かにしていく必要があると考えています。まだまだこれからですが、応援していただければと思います。

保守的な業界を「逆にチャンスしか転がっていない」と捉え、自らのできることを大切にして業界のイノベーションに挑んでいる澤田さん。

その柔軟な視点と前向きな行動力により、生コンクリート業界がどのように進化し、業界の枠を超えたビジネスが生まれていくのか、楽しみだ。

出典元:人間開発法人ジグソー

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