HOMECareer Runners 新しい働き方を“食”でサポート、時代を見据えた新サービス「オフィスおかん仕送り便」はどのように生まれたのか

新しい働き方を“食”でサポート、時代を見据えた新サービス「オフィスおかん仕送り便」はどのように生まれたのか

長澤まき

2020/09/26(最終更新日:2020/09/26)


このエントリーをはてなブックマークに追加

提供:OKAN/沢木代表

株式会社OKANは9月、1食分の食べきりサイズの惣菜を、毎月プランに応じて従業員の自宅に届ける新しい福利厚生サービス「オフィスおかん仕送り便」を正式リリースした。

テレワークの拡大や働く場所の多様化などニューノーマルな働き方が広がる中、働く場所の垣根を超えて、組織と個人の“心のつながり”を食でサポートするサービスだ。

これからの時代を見据えたサービスを、どのように生み出したのか?沢木恵太代表取締役CEOに、時代のニーズに対応したサービスの作り方について取材した。

オフィスに留まらず、従業員をサポート

同社は「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッション・ステートメントに、社会課題の解決に取り組んでおり、2014年よりぷち社食サービス「オフィスおかん」を展開している。

コロナ禍における仕事と私生活の両立支援を目的に、今年5月、従業員の自宅に惣菜を届ける「オフィスおかん仕送り便」を期間限定でスタートした。

すると、テレワーク勤務での利用に留まらず、出勤が必要な従業員への感謝の気持ちとしての仕送りや育休・産休取得社員へのサポートなど、様々な目的で活用されるように。継続利用また導入を検討したいという要望を受け、この度正式にサービスをリリースした。

経験をもとに「働き続けられる社会」を目指す

沢木代表は1985年長野県茅野市生まれ、中央大学商学部卒。フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業にて新規事業開発、ベンチャー企業でのゲームプロデューサー兼事業責任者を経て、EdTech領域のスタートアップに初期メンバーとして参画。

その後、2012年12月に株式会社OKANを設立。「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッションに、2014年3月にぷち社食サービス「オフィスおかん」を、2019年7⽉に⼈材定着のための組織改善サービス「ハイジ」の提供を開始した。

⼈材不⾜が深刻である⽇本における企業課題と社会課題の解決に取り組み、「働きつづけられる」社会の実現を⽬指している。

-----「働きつづけられる社会の実現」を目指した経緯を教えてください。

沢木代表:新卒でコンサルに勤めていました。激務といわれる職種の1つで、月間400時間以上働いていましたが、やりがいがあり会社も大好きでした。しかし、体調を崩してしまいました。

当初は「この仕事を続けていこうと」考えていましたが、それが「仕事を続けられるのか」という疑念に変わってしまったことが大きな変化でした。

好きで続けたいのに迷ってしまう、悩んでしまう状態になってしまうことは望ましくない、そんな出来事が自分の経験としてありました。

体調を崩してしまった理由は食生活が荒んでいたからです。置き菓子を昼食の代わりに使っていました。

この経験から、「全体的なトレンドとして人手不足が続いている中、本人の望まない離職は痛手になる。企業がそれをなくす行動を促していくことが必要だ」と考えました。

そうして、まずはわかりやすい食生活支援。シンプルにいうと、自分が困っていたことをサービスにして「オフィスおかん」が生まれました。

提供:OKAN/沢木恵太代表

テレワーク導入で、私生活との両立など課題

-----コロナ禍を受けて、企業と従業員の関係はどのように変化していると感じますか?また、「オフィスおかん仕送り便」という時代のニーズに対応したサービスを、どのように生み出しましたか?

沢木代表:新型コロナウィルス感染症が拡大したことによって、多くの企業でテレワークが強制的に推進され、これまでテレワークをしていなかった組織や人が急にテレワークになりました。

私たちが提供している“望まない離職”を防ぐための無料組織診断サービス「ハイジ」を利用している企業で、テレワーク実施前後の診断結果を確認すると、テレワークを実施したことにより“望まない離職”につながる要因のいくつかで状態が悪化していました。

特に共通して、良好な人間関係・業務量と時間的負担・私生活との両立・休暇のとりやすさについて状態が悪化していることが分かったという。

沢木代表:これらをそのままにしておくと、例えば育児など家庭との両立ができない、仕事と生活のバランスがうまく取れない、といった理由で“望まない離職”が発生してしまいます。

テレワークになったことで、企業は今まで以上にその課題に対する支援を行う必要性が増しています。

これは実に大きな変化です。これまで従業員への支援活動は職場や仕事中に紐づくものが基本となっていましたが、テレワークが進んだことによって、在宅で仕事をしているとなると、企業は従業員の自宅での活動まで介入して支援する必要性が出てきました。

これまでの福利厚生から、従業員の自宅まで介入してライフラインを支援する、言うなれば「企業仕送り」がこれから必要になっていくと考えました。

既存サービスから見つけた新たなニーズ

また、同社は「オフィスおかん」を通して職場への食事提供を行ってきたが、その中で、多くの利用者から「ランチのみならず、自宅へ持ち帰って利用している」という話を聞き、自宅の食事に対する支援が求められていることが分かったという。

沢木代表:それは、食事がライフラインであり、無くてはならないものだからということでもあります。

また、コロナ禍において「オフィスおかんを継続して利用できるよう、自宅に届けてほしい」というご要望もいただき、今回サービスのローンチに至りました。

提供:OKAN/オフィスおかんメニュー

ブラッシュアップ前提で、素早くサービス化

-----「オフィスおかん仕送り便」を素早くサービス化させるにあたって、大変だった点は?また、それをどう乗り越えましたか?

沢木代表:物流面については、従来より「オフィスおかん便」にて自社物流ではなく一般宅配のサービスを提供していたため、オペレーションを大幅に変えず、すぐに対応することができました。

とはいえ、サービス自体がどこまでニーズがあるか、テレワークという理由だけで仕送り便が成り立つかわからない状態のまま、同社の従業員も全員がリモートワークに切り替えた環境が変わった最中にローンチの判断をすることは容易ではありませんでした。

スピーディーにサービス化させるため、いったん期間限定として、今後ブラッシュアップ・見直しをする前提で、検討開始から約1〜2週間でサービスを開始したそうだ。

沢木代表:現時点では作り込んだサービスではなく、完成版ではありません。

例えば今後は、産休・育休に入った従業員がそのまま離職してしまうことが企業問題になっている課題に対して、接点を持ち続ける為に、仕送り便でつわり中の食事準備支援などができるよう、リモートワークに限らず多様化する働き方・働く人を支援できるようなサービス体系を考えていきたいです。

「行動する人をどれだけ増やせるか」が使命

-----これからを見据えたサービスを見つけ、それを実現・提供するために大切なことは何だと思いますか?仕事への考え方・向き合い方を聞かせてください。

沢木代表:会社としては食事に留まらず、望まない離職理由の防止につながるもの、睡眠・運動・家事負担軽減・介護・教育の支援を、企業の福利厚生として実現していきたいと考えています。

組織の課題に対してどんなところから取り組めばよいのかわからない企業には、人材定着の為の組織改善サービス「ハイジ」を提供し、ハイジとソリューションを連携してサーベイ結果に合わせた施策を提案していくような事業を増やしていくことも、自社開発・他社共同も含め考えています。

「働く人のライフスタイルを豊かにする」というミッションの裏に、リテンションマネジメント市場をつくっていくこと=同社内の表現では「望まない離職を防ぐため、企業の意識と行動を変容する」を掲げているという。

沢木代表:行動する人をどれだけ増やせるか、ということが我々の使命でもあります。

「施策やツールがなくて困っている」「そもそもなにをすればよいかわからない」「施策を打つ余裕がない」など、企業ごとに課題は様々であり、フェーズも異なるため、フェーズごとに適切な事業展開をしてなんらかの取り組みを行っていけるような会社にしていきたいと考えています。

提供:OKAN/沢木恵太代表

「働く人のライフスタイルを豊かにする」というミッションのもと、既存のサービスから新たなサービスを生み出し、進化させていくOKAN。

テレワークの拡大で会社と従業員の関係が変化している中、安心して働き続けられる環境を作ることで、企業と従業員が共に成長していくことが期待できる。

出典元:OKAN

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード