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エッセンシャルワーカーに感謝を届ける「あすくるエール便」発案者の若手社員に聞く、説得力ある企画提案のつくりかた

白井恵里子

2020/06/20(最終更新日:2020/06/20)


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中田 拓希さん(提供:アスクル株式会社)

アスクル株式会社は6月11日(木)、オフィス用品や現場用品などの事業所向け(BtoB)通販サービス「ASKUL」において、新型コロナウイルスの感染リスクがあるなかで働く医療従事者・介護職員・販売員などといった「エッセンシャルワーカー」を応援するための企画「あすくるエール便」を開始した。

同社によれば、この企画を発案した担当者は、28歳の若手社員である中田拓希(なかだひろき)さんだという。

「あすくるエール便」アイデア考案の経緯や、その提案力について、中田さんを取材した。

企画メンバーと中田さん(提供:アスクル株式会社)

モノの配送にとどまらず"エール"も届けたい

「あすくるエール便」では、「ASKUL」利用者が特設サイトにて、エッセンシャルワーカーをはじめとするすべての働く人に向けた応援メッセージを投稿することができる。

投稿にあたっては、メッセージ作成フォームに入力するという方法と、手書きメッセージの写真をアップロードするという方法の2種類から選択ができる。

メッセージが多く集まると、段階的に嬉しい変化がサイト上で起こるという仕掛けも。

同社によればこの企画は、日本中の仕事場や働く人へ必要なものを"明日"届けるという、あらゆる業種で働く人をサポートする「ASKUL」だからこそ実現ができたという。

「すべての業種で働いている方々に向け、注文されたモノを配送することにとどまらず、元気になれる"エール"も届けたい」そんな想いがかたちとなった企画なのだそう。

応援企画の事例調査から企画資料の作成まで

企画立案者である中田さんは現在、同社のASKUL事業本部に所属している。

23歳で新卒として入社後、1年目は一般消費者向け(BtoC)サイトの「LOHACO」で、ECマーケティンググロース(データを解析してサービスやWebの機能改善をすること)に携わる仕事に従事し、担当の飲料・酒類カテゴリの商品ページ分析と改善を行っていたという。

2年目以降は、ASKUL事業本部にて、「ASKUL」Webサイト全体の集客・購入・リピートに関わる仕事に。現在、サイト内検索・レコメンド・SEO・メルマガなど、BtoBのECマーケティングに関わる様々な分野を担当している。

中田さん(提供:アスクル株式会社)

ー「あすくるエール便」アイデアが生まれた経緯を教えてください。

「働く人を応援したい」という気持ちが強まったのは、新型コロナウイルスに関するニュースが絶えまなく毎日流れている頃でした。

ニュースをみていて、医療従事者だけでなく、飲食業やサービス業など、すべての働く人がそれぞれの悩みや不安を抱えながら、一生懸命乗り越えている姿をみて、「自分ができることって何かあるのかな?」と漠然と思っていました。

また、私の身近に看護師がいるのですが、まさに国内のコロナ感染者が急増している中、医療現場で必死に働いている話を聞いて、そこで「働く人を応援したい」という気持ちが強まりました。

アイデアが生まれた経緯ですが、働く人を応援したいと思った時に、まずは世の中にある応援企画の事例を色々調べました。

そこで分かったことは、「1.特定の業種や人に絞って応援している事例が多い」ということと、「2.商品をプレゼントをしたり、キャンペーンという形でインセンティブをつけて応援する企画が多い」という2点が傾向としてありました。

この2点と「アスクルだからこそできることは何か?」を掛け合わせたときに、あらゆる業種に向けて発信できるアスクルの強みを活かすことと、あえてインセンティブはつけずに純粋に応援したい気持ちをさまざまな働く人に届けたいと思ったことが、アイデアが生まれた最初のきっかけです。

企画アイデアを社内で提案するにあたっては、まず企画資料の作成から始めたという。

「企画の目的」「コンセプト」「ターゲット」の3点を明確にし、その後、この3点を実現するためには、どんなページにして、露出方法は何が最も最適なのか、などの詳細を詰めていったそうだ。

また、新型コロナウイルスの感染がどのようになっていくかは読めなかったため、なるべく早く企画をリリースすることも非常に重要と考え、「スピード感(企画の鮮度)を持って反映するためには?」という視点も入れて検討を進めた。

実際に提案をする際には、聞き手に伝わる資料作りや説明をもちろん意識はしていましたが、一番大事にしていたことは「企画に対する想い」をちゃんと伝えることでした。

うまく伝わったとしても、想いが入っていないと”やらされている感”というのはどうしても出てしまうと思っていますし、いかに自分ごととして捉えて企画に想いをのせられるかは、企画を提案する上で大事にしています。

どんな企画も「自分ごととして捉え熱量を注ぎ込む」

企画メンバーと中田さん(提供:アスクル株式会社)

ー新しいアイデアを、説得力のある「提案」として社内に伝えるために、努力していることや意識していることはありますか?

"血の通った企画にする"という気持ちは強く意識しています。

自分で1から考える企画もあれば、担当者が急に変わって引き継いだ企画など、さまざまな種類の「企画」があると考えています。

どんな企画に対しても、自分ごととして捉えて、アイデア出しや提案に熱量を注ぎ込む気持ち(企画に血を通わせる意識)を持つことは意識しており、これからも大事にしていきたいと考えています。

ー当初「あすくるエール便」のアイデアを提案された際、周りからはどのような意見・反応がありましたか?

日本のみならず世界中で大変な状況となっている中で、それに関わる応援企画でしたので、周りからネガティブな声や反対意見はありませんでした。

しかし、企画をみた人に対して、私たちの想いを正しく伝わるようにするには、「どんなトーン&マナーにして、デザインをどうするか?キャッチコピーはどう伝えるべきか?」は慎重に考えた方が良いという意見はあり、細かい部分にまで注意を払って企画を進めていきました。

「あすくるエール便」についても、中田さんの熱量が込められたアイデアだったからこそ、社内のあらゆる人を巻き込み実現することができたのだろう。

ロジックと感情を使い分ける"バランス感覚"を養いたい

中田さん(提供:アスクル株式会社)

ー今後、提案力を磨くためにどのようなことに取り組みたいと思われますか?

提案する相手に合わせて、「ロジック」と「感情」をうまく使い分けられるような、バランス感覚を養いたいと思っています。

相手に合わせて必要な情報を的確に伝える力や、独りよがりに感情を押し付けるのではなく、その場の雰囲気に合わせた言葉選びやトーン調整ができる力を磨いていきたいと考えています。

そのためにも、日々の打ち合わせや会話から、それらを高める意識をして行動したいと思います。

今後は、アスクルの企業理念である「お客様のために進化する」という言葉を大切に、自分自身も絶えず進化をし続けていきたいという中田さん。

「あすくるエール便」企画実現の裏には、若手がチャレンジしやすい社風だけでなく、企画を自分ごととして捉えることで熱意を伝えるという、若手社員の提案力があった。

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