HOMEビジネス コロナ禍によって働き方は変わるのかーー「副業」という選択肢について考える #イベントレポート

コロナ禍によって働き方は変わるのかーー「副業」という選択肢について考える #イベントレポート

U-NOTE 編集部

2020/05/14(最終更新日:2020/05/14)


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新型コロナウイルスの感染拡大によって、新卒採用説明会の多くが中止に。さまざまな企業において、採用活動にも大きな影響を及ぼしています。

それと同時に、求職者側にも変化が生じています。業務がリモートワークに切り替わったことで通勤時間などが減り、自分の時間が増え、「副業」について考えはじめる人が増加しているといいます。

そんな状況が変化している真っ只中、副業・転職のキャリアSNSを提供するYOUTRUSTが主催したイベント「生産性の高いリモート組織を創り出す『副業採用』の新しい活用方法」が4月23日(木)にZoom上で開催されました。

コロナ禍の影響で市場にどのような変化が起こっているのか、そして成功企業の事例をもとに、副業採用のポイントを紹介していただきました。

本イベントに登壇されたのは以下の2名の方々です。

株式会社YOUTRUST 代表取締役 岩崎由夏さん
大阪大学理学部卒業後、2012年株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社。新卒、中途の採用を担当。2016年子会社ペロリに出向し経営企画を担当。2017年株式会社YOUTRUSTを設立。

株式会社YOUTRUST 事業責任者 佐藤亮太さん

京都大学総合人間学部卒業後、2013年株式会社リクルートに新卒入社。採用担当からキャリアをスタートし、新規事業立ち上げに参画。営業企画・マーケティング・事業企画などを幅広く歴任し決済サービスのNo.2を務める。自身も副業を経てYOUTRUSTに2020年1月に正社員として入社。YOUTRUSTでは事業全般を担当し、10名ほどの副業メンバーとの組織を急速に構築しサービス拡大中。

新型コロナウイルスの影響を受けて採用市場はどう変わるか 

本イベントは2部構成で進行。はじめに、岩崎氏から「新型コロナウイルスの影響を受け、企業側・求職者側それぞれがどのように変化しているのか」についてのお話があり、続いて佐藤氏より「具体例をあげながらの副業活用のすゝめ」について話していただきました。 

採用市場は、新型コロナウイルスの影響を受け、確実に変わってきています。

「これまでは正社員を前提に採用することが一般的な、超・売り手市場でしたが、これからはそうではなくなってきています。実際に、現在弊社にも『一旦、採用をストップしたい』という企業からの声が届いています」(岩崎氏)

では、今後採用市場はどのような形に変化していくのでしょうか。岩崎氏は、「コロナ禍をきっかけに企業は、固定費削減を目的とした、正社員採用を減らす流れが加速してきています。また、売り手と買い手の二極化市場に変化していくと考えています」と話します。

二極化市場とは、優秀な人材の競争倍率は変わらず、それ以外の人たちにとっては職を探す難易度があがり、格差が広がることを指しています。

「『コスト削減のため採用費や人件費を削減したい。とはいえ、事業は成長させたい』と考えている企業がほとんどです。そのため、今後は固定費である正社員から、変動費である副業業務委託へと採用を変更する流れがきています」

採用をするうえで、なぜ「副業」が注目されているのか。それは、お金を目的としないモチベーションから優秀な人が副業をされることが多く、比較的リーズナブルに優秀な人にコミットしてもらえるからだといいます。

また、コロナ禍によってオンラインでの選考や面接が急激に増加しているという現状もあります。「リアルで顔を合わせていない人に急に正社員オファーを出せるのかと言ったら、そうではありませんよね。そのため、お試し就職への移行も起こっています」(岩崎氏)

失敗するリスクを最小限にするため、一度一緒に働いてみるという採用選考方法を取り入れている企業が増えてきています。

これらの理由から、多くの企業が今後、副業採用を活用していくことが予想されます。

更にニーズが高まる副業市場

「企業が変化している一方で、求職者側にも変化が生じている」と岩崎氏は話します。

変化のきっかけというのが、コロナ禍の影響によるリモートワークの増加。単純に、最低でも移動時間分は余剰が生まれているので、キャリアを見直す時間や副業ができる時間が増加しているのです。

また、キャリアポートフォリオ思考の求職者が増えてきていることも、変化として捉えているそう。

「『本当にここにいていいのかな』『稼ぎ口を増やしておきたい』『コロナ禍のせいで自分の仕事が変わり、やりたい仕事ができていないから転職したい』という人が増えています。YOUTRUST上でも、2月から4月のたった2カ月で、副業・転職を意欲的に考えている人が4%ほど増加しています。こんな短期間で数値が動いたことがなかったので驚きですね」(岩崎氏)

このように市場が大きく動き、副業・転職を検討する人が増加しているのが現状です。

副業採用のメリット・デメリットって?

今後さらに市場が拡大されていくことが予想される副業。「副業を活用することで、優秀な転職潜在層にアプローチができます。時間やコストの柔軟性も正社員に比べて高く、お試しからスタートできるのでミスマッチを減らせることも魅力だと思います。オンライン面談のみで意思決定しやすいこともメリットですね」(佐藤氏)

今回のイベントを企画したYOUTRUSTの担当者も副業メンバー。しかし、事業責任者である佐藤氏とはまだ対面でお会いしたことはないのだそう。働く側も採用側もオンライン上で意思決定ができることは、今の時代の流れに合っているといえるでしょう。

とはいえ、いい部分もあれば課題もあります。

「知らない人にオンラインだけで仕事を任せられるのか?入社後、オンボーディングまでご案内できるのか?進捗管理はどうするのかなどといった課題があることも事実です」(岩崎氏)

副業を活用するための具体例

ここからは、副業採用をこれから活用したい企業へ向け、具体的なフローを辿りながら活用ノウハウを紹介していただきました。

「副業を活用するうえでのフローは主に6つあります」と佐藤氏。フローとは、①候補者選定、②面談、③入社手続き、④オンボーディング、⑤コミットメント引き上げ、⑥正社員オファーの6つです。

▼1. 候補者選定

副業採用をする際、即戦力かどうかを見てしまいがち。しかし、重視するポイントは別にあると佐藤氏は言います。

「経験があるからといって、自社でもうまくいくとは限りません。そのため、副業採用をするときには『できそうかどうか』を重視することが大切です」(佐藤氏)

また、採用した相手にとって、金銭以外の価値を提供できるかどうかもポイントとのこと。「副業先が、お金をくれるだけの場所だとサボってしまいがちになるので、金銭以外の『楽しい』『自分のためになる』などといった価値を提供できるかどうかが重要です」(佐藤氏)

求職者側からしても、お金以外の価値を得られるが副業先を選ぶポイントになるでしょう。

▼2. 面談

「面談する際は『この人はちゃんと成果を出してくれるのだろうか』と、見極めに時間を割いてしまいがちですが、副業前提であればなおさらしっかり相手と対話することを大切にするべきです」と、佐藤氏。

モチベーションが高い人ほど副業先で結果を出してくれるので、面談では、「この会社で働きたいと思ってもらえるかどうか」が最重要課題とのこと。採用側が面談で見るべきは、会社に合わない人ではないかという点のみ。

佐藤氏曰く、「働きたいと思ってもらうには、相手との期待値を揃え、仲間として受け入れる姿勢を伝えることが大切です」とのことでした。

▼3. 入社手続き

入社手続きをする際に大きな課題となるのが、給与面について。経験者であれば希望を聞くのもひとつの手です。「モチベーションを高く保ってもらうためにも報酬ラインは重要高すぎず低すぎずのラインで設定しましょう」(佐藤氏)

▼4. オンボーディング

オンボーディングでは、可能な限り、正社員と変わらない対応を心がけることが重要。

「副業は基本オンラインでのやり取りになるので、やや過剰なオンラインリアクションを意識するなど感情が伝わりやすいコミュニケーションを心がけることが大切です。そうすることで、心理的安全性やコミットメントにつながります」と佐藤氏。

▼5. コミットメント引き上げ

副業で採用する人は基本的に「ゴールがあれば自ら動ける人」であるはず。そのため、マイクロマネジメントは必要ないと佐藤氏は言います。

「特にミドル以上のメンバーには適切な情報を開示した上であれば頼りにしてます!と丸投げしても基本的にはOKです。大切なのはむしろそこではなく、プライベートや本業の話をすること。仕事だけの関係ではないことを相手に伝えることが、コミットメント引き上げにつながるはずです」(佐藤氏)

ここまでのフローを徹底しておけば、正社員オファーは自ずとスムーズに進むそうです。

コロナ禍をきっかけに副業人口は増えるのか

少人数制だったこともあり、質疑応答の時間には、参加者から気軽に疑問点を投げかけての会話が行われていました。「オンボーディング時の情報開示において、セキュリティ面で気をつけるべきことはあるか」「YOUTRUST経由で副業から正社員になったケースはあるのか」などといった質問が出ました。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、今後副業市場は確実に拡大していくでしょう。採用側はポイントを押さえ、求職者側は副業で働きたいと思える企業を選定していくことが大切です。今後、副業が当たり前の世の中に変わっていくかもしれませんね。


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