HOMEビジネス 実際どうなの?楽天モバイルの使用感とメリット・デメリットをレポート【石野純也のモバイル活用術】

実際どうなの?楽天モバイルの使用感とメリット・デメリットをレポート【石野純也のモバイル活用術】

石野純也

2020/02/29(最終更新日:2020/02/29)


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第4のキャリアとして参入した楽天モバイルが、4月から本格的にサービスを開始する。

現状では、「無料サポータープログラム」を展開しており、第一弾で5000名、第二弾で2万名のユーザーに対し、無料でSIMカードを配布。対象者は東京23区、大阪府大阪市、愛知県名古屋市、兵庫県神戸市に在住のユーザーに限定されている。

実質的なモニターサービスだが、本格展開を前に、実利用環境での声を集めているというわけだ。

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楽天モバイルの自社回線を無料サポータープログラムで使ってみた

筆者は、この無料サポータープログラムの二次募集で楽天モバイルの回線を実際に使ってみることができた。

楽天モバイルを実際に使ってみた

エリアについては、“思いのほか広い”というのが率直な感想だ。

新規参入で、基地局の建設もゼロから進められていたため、当初からエリアの広さにはあまり期待していなかったが、いい意味で期待を裏切られた。基地局が日々増えていることもあり、つながりにくかった場所も徐々に改善されている。

東京23区でも、地下鉄駅や駅間などをはじめとする地下街は、auのネットワークに接続する。

これは、auが時限措置として、2026年まで楽天モバイルにローミングを提供しているためだ。楽天モバイルの指定する端末には、自社回線とau回線をスムーズに切り替えるソフトウェアが入っていると見られ、切り替わったことを意識するケースは少ない。

こうした仕組みもあり、「圏外」の文字を目にする機会はほぼなかった

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駅構内でも、地上では思いのほか楽天モバイル回線でつながる
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つながれば、速度も速くスムーズに通信できる

屋内では電波が悪化しがち。地下は鬼門か

一方で、auローミングが提供されていない屋内では、やはり圏外になったり極端に電波が悪化してしまうことも多い。

端末上のアンテナマークでは、電波が届いているように見えても油断はできない。電波マークはあくまで目安で、キャリアごと、端末メーカーごとに基準が異なるからだ。

実際、端末上では2、3本のアンテナが立っていても通信できなかったり、速度が低下してしまったりといったことが多々あった。大規模な施設はauローミングがカバーしているが、小規模な店舗の地下などは鬼門と言えるかもしれない

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建物内は、ローミングがないと電波が弱くなってしまうことも

ローミング料金はどちらが持つ…?

料金体系が発表されていないため何とも言えないがところだが、首都圏の場合、東京23区を離れるとすぐにau回線に切り替わってしまう。

いちユーザーとしては通信できているため問題はないが、楽天はauに対しローミング料金を支払わなければならない。KDDIによると、ローミング料金には定額部分と従量部分があるといい、対ユーザー向けの契約条件を定める約款には、1GBあたり約500円と記載されている。

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東京23区を離れたところ、au回線につながりっぱなしになった。写真は千葉県で撮影

仮にこの料金をそのままユーザーから徴収するとなれば、楽天モバイルの宣言とは裏腹にコストは割高になってしまうことになる。使い放題プランのようなものも、実現は難しいだろう

一方で、従量部分を楽天モバイル側がかぶるとなれば、自社エリアが狭いうちはKDDIへの支払いがかさみ黒字化が難しくなる。そのため、使い放題やそれに近い大容量の料金プランを提供できるのかが疑問視されている。





音声通話は楽天Linkで問題なし

音声通話やSMSには、「楽天Link」と呼ばれるアプリを利用できる。楽天Linkとは、データ通信上で音声通話やSMSを提供するためのアプリのこと。RCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)と呼ばれる規格を採用しており、本来は電話番号が必要になるはずの音声通話の発着信も行える。

単なるデータ通信の上に音声やSMSを通すアプリではなく、楽天モバイルのコアネットワークと連動しているからだ。

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音声通話のエリアは、楽天Linkである程度カバーできる

楽天Linkのお陰で、Wi-Fiにさえ接続していれば多少電波が悪い場所でも音声通話の発着信が可能になるのは大きなメリットだ。

上記のように、ネットワークがまだ万全ではないが、こうした仕組みがそれをカバーする。

現状では、楽天モバイル回線からau回線に切り替わる際に通常の音声通話だといったん切断されてしまうが、楽天Linkはそのまま通信することが可能だ。楽天モバイルユーザーが電話をかけるときは、積極的にこのアプリを使うようにするといい。

まずはエリアを確認してから決断を

第4のキャリアとして鳴り物入りで参入する楽天モバイルだが、現状では大手3キャリア並みのネットワークは期待できない

都市部でも、地下や高層階など電波の届きにくい場所では圏外になることも覚悟しておいた方がいいだろう。現在基地局の建設は急ピッチで進められており、サービス開始までには4000局に達する見込みだが、それでも大手3キャリアとは10倍以上の差がある。

3月3日に発表される料金がいくらになるのか次第だが、安いからと言って飛びつく前に、エリアを確認してみることをオススメしたい。

楽天モバイルは、自社回線以外にもドコモやauから回線を借りたMVNOのサービスを提供している。こちらの料金も割安なため、エリア重視の場合はまずMVNOを検討してみてもいい。

まずは2回線目として使ってみて、生活圏でしっかり使えるかどうかは事前に確認しておくようにしたい。


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