1. 5G商用化目前、ドコモが展示会で見せた決済・充電・AIの新たな方向性【石野純也のモバイル活用術】

5G商用化目前、ドコモが展示会で見せた決済・充電・AIの新たな方向性【石野純也のモバイル活用術】

  ドコモは、1月23日、24日の2日間にわたって「DOCOMO Open House 2020」を開催した。商用化を間近に控えた5Gを前に、関連した技術をまとめて展示する狙いがある。基地局やアンテナなどの通信技術から、5Gを応用したサービスまで、展示内容は多岐に渡っていた。

 5Gとは直接的な関係はないが、非接触決済の新たな方向性を示す実証実験のデモも行われていた。ここでは、その中から筆者が注目した技術をダイジェスト的にお届けしていきたい。

5Gの商用目前、ドコモが展示会で見せた非接触決済の新たな方向性【石野純也のモバイル活用術】
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1月23日、24日に開催されたDOCOMO Open House 2020 

タッチ不要で支払いが可能になる「タッチレス決済」

  おサイフケータイの進化版として紹介されていたのが、「タッチレス決済」だ。現行のおサイフケータイは、非接触ICチップのFeliCaを使って、決済端末と至近距離で通信を行うことで、決済データをやり取りしている。タッチレス決済は、Bluetoothでこの距離を大幅に伸ばしたもの。ユーザーが決済端末に近づくだけで支払いが完了するため、この技術が普及すれば、今のようにスマホを取り出す必要もなくなる。 

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離れた決済端末と通信を行うことで支払いが可能なタッチレス決済 

  Bluetoothだけだと決済端末側がスマホを特定することができないため、ここでは、UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる測距技術が用いられている。無線を使って、位置や距離を特定したあと、決済端末とスマホをBluetoothでつなぎ、決済を行うという流れだ。デモでは決済されたことが分かるよう、スマホをかざしていたが、実際にはポケットに入れたままでもスマホが反応するという。

  このUWBと決済を組み合わせた応用例として、スマホを車の鍵として使うサービスも展示されていた。対応端末を持って車に近づくと開錠され、代金が自動で支払われるというのがデモの内容だ。現状では、UWBに対応したAndroid端末はなく、展示では外付けの通信機器を接続していたが、実はiPhone 11シリーズがいち早くこの技術を採用している。インフラをどう定着させるかの課題はあるが、それほど遠くない将来に、実現できそうな技術と言えそうだ。 

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タッチレス決済は車の鍵に応用することも可能だ
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端末の裏側に取り付けられたUWBのアダプターで位置や距離を特定していた 

レーザーを使ってワイヤレス充電を進化させ「Wi-Charge」

  スマホはもちろん、スマートウォッチやイヤホンなどにも採用されるようになったワイヤレス充電だが、ケーブルが不要になっただけで、充電台の上に固定させる必要があることに変わりはない。場所がズレていて充電されていなかったといったトラブルも起こる。こうした問題を解決するのが、「Wi-Charge」だ。

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天井に設置された充電器から赤外線レーザーを出し、台の上に置かれたスマホを充電している

  技術的には、天井などの離れた場所から赤外線のレーザー光を照射することで実現したもの。送電可能な距離は約4メートルで、現行のQi方式を使った充電とは異なり、端末を充電器の上に固定させる必要がない。天井に充電器が設置されていれば、部屋に入って端末をテーブルの上に置くだけで充電が始まるため、充電という作業を意識する必要もなくなるというわけだ。 

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モバイルバッテリーや充電台への実装も考えられそうだ 

  同様の長距離ワイヤレス充電はKDDIが出資した米Ossia社が開発し、2016年のCESにKDDIと共同で出展していたが、こちらは2.4GHz帯の無線を使う方式で、規制をクリアしなければならないうえに、Wi-FiやBluetoothなどとの干渉するリスクもあった。対するWi-Chargeは、遮蔽物にさえぎられてしまう弱点はあるものの、レーザー光を使うため、導入のハードルが低い。

  ただし、現状では「1.6Wぐらいが限界」とのことで、充電に時間はかかるのが難点。当初は、一晩かけてゆっくり充電するといった形で、利用シーンは限定されそうだ。ストレスフリーな充電を実現する技術として、今後の展開に期待したい。 

音声認識AIサービスの「Otter」を日本で展開、翻訳サービスとの組み合わせを支援

   DOCOMO Open House 2020に合わせ、ドコモは、米スタートアップのAIsense社が開発した「Otter」を日本で展開していくことを発表した。

 Otterは、英語に対応したクラウドベースの音声文字起こしサービス。その精度の高さから、日本でも注目を集めていた。ドコモは、100%子会社のNTTドコモ・ベンチャーズを通じて、AIsenseに出資。日本での普及に向けたビジネスモデルの検討に取り組んでいく。

  また、Otterで文字化された英文を、みらい翻訳の「Mirai Translator」にかけ、日本語化するサービスの開発も進める。英語で行われた会議や講演の議事録を、短時間で日本語化することで、業務効率の改善を図るというのがその狙いだ。

 Mirai Translatorは、TOEIC 960点相当の翻訳精度を誇るのが特徴。正確な英文を高精度の翻訳サービスに通し、同時通訳として使うというのが、この提携で実現することだ。

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Otterで文字化した英文をMirai Translatorで即座に翻訳 

  DOCOMO Open House 2020の会場では、実際にその場で話した英語を、Otterが英文化し、それを即座に日本語に翻訳するデモが行われた。英語の文字起こしの正確さに対し、翻訳にはやや甘いところもあったが、大意は十分つかめるレベル。英語で行われる講演の概要をつかむといった用途であれば、今のままパッケージ化するだけでも十分活用できる。

  Otterは、その場で音声のデータをクラウドにアップロードするため、アプリが使用するデータ量が大きくなりがち。上りの回線が遅いと、文字が表示されるまでに時間がかかるのも難点だ。逆に言えば、大容量通信が特徴の5Gに向いたサービスとも言える。Otter自体はすでに商用でサービスを行っているため、日本市場にもスピーディに展開できそうだ。

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