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2019年「休廃業」7年ぶりに増加へ。後継者不足で廃業リスク高まる2025年が迫る 帝国データバンク調べ

鈴木京

2020/01/23(最終更新日:2020/01/23)


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帝国データバンクは1月20日、「休廃業・解散」に至った事業者(法人、個人含む)を集計し、倒産件数との比較や、代表者年齢別、業種別、都道府県別に傾向を分析した調査結果を公表した。

2025年に日本企業全体の3分の1が廃業する可能性も

企業の休廃業・解散による経済的損失の影響は非常に大きい。中小企業庁は、2025年には日本企業全体の3分の1にあたる127万社が、後継者不足などで廃業の危機に瀕すると試算している。

得意先の廃業などで販路を失い、事業継続を諦めた企業も多い。企業の数が大都市に比較して少ない地方ほど、休廃業・解散による影響が広がり始めている。

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今回の調査概要

今回の調査の調査概要は以下。

■調査は、経営実体が確認されていた企業の休廃業・解散を対象に集計

■「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースを含む)。調査時点では当該企業の活動停止を確認できているが、将来的な企業活動再開を否定するものではない

■「解散」とは、主に商業登記等で解散を確認した場合を指し、経営実体のない登記整理(「みなし解散」等)は含まない

「休廃業・解散」件数が3年ぶりの増加

調査結果の要旨を見ると、

1.2019年の「休廃業・解散」件数は、全国で2万3634件(前年比2.6%増)。前年(2万3026件)を608件上回り、3年ぶりの増加に転じた。経営者が自主的に経営や事業を畳む「休廃業」(1万2764件)の件数は、2012年以来7年ぶりに増加している。

2.代表者を年代別に見ると、リタイア適齢期に当たる「70代」が7197件(構成比37.6%)となり、3年連続で全年代中で最多だった。集計可能な2000年以降でも最多。2019年で最も多かった年齢は「71歳」で過去最高を更新した。

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3.業種別では、全7業種中5業種で前年を上回った。なかでも「サービス業」(5221件、構成比22.1%)は前年から2.7ポイント増加。業種細分類の件数では、最も多かったのが「木造建築工事」の1231件。休廃業・解散率では牛乳配達などを手掛ける「牛乳小売」(4.09%)が前年から2.53ポイント急増して全業種中トップという結果に。

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4.地域の休廃業・解散動向では、9地域中8地域で前年を上回った。都道府県別の件数では最多は「東京都」の2582件。休廃業・解散率では「福井県」の2.27%がトップだった。

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後継者不足などによって廃業リスクが高まる来る2025年には、大きな数字の変化が起こる可能性もある。日本社会全体が危機感をもち、今から問題を直視して対策に取り組む必要があるだろう。

株式会社帝国データバンク


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