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廃棄予定の食材を染料として活用する「FOOD TEXTILE」がLily Brownとのコラボ商品を新発売

白井恵里子

2019/12/16(最終更新日:2019/12/16)


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豊島株式会社は、廃棄される運命にある野菜や食材を染料として活用するプロジェクト「FOOD TEXTILE」を展開している。

同プロジェクトでは12月中旬に、株式会社マッシュスタイルラボのブランド「Lily Brown」とコラボレーションし、新商品3型を発売する。

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天然染料を90%以上使用

「FOOD TEXTILE」では、これまで捨てられていた、規格外の食材やカット野菜の切れ端、コーヒーの出し殻などを買い取り、植物に含まれる成分を抽出して染料として活用。独自の技術により、Tシャツやエプロン、ベビー服など、多岐に渡る商品を展開している。

この技術は数カ国での特許を取得しており、海外では真似できない方法だという。

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提供:豊島株式会社

天然染料を90%以上使用しているため、素材独自のナチュラルカラーが特徴だ。

小松菜は、食材そのものを見れば強い緑色だが、染料として活用すると爽やかな緑色になる。コーヒー豆も、こげ茶色がそのまま表現されるわけではなく、染め上げると優しい色合いに仕上がる。

「この色の原料はどんな食材だろう」と想像するのも楽しそうだ。

生地はすべて染色堅牢度(色の丈夫さ)の試験をクリアしており、色落ちしにくく、長く使用できることも強みだという。

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提供:豊島株式会社

独自のトレーサビリティシステム

商品はすべて、「トレーサビリティシステム」を採用。「どの原料を使っている色なのか」「その製品にどれくらいの残渣が使用されているのか」「誰が製造したのか」など追跡が可能となっている。

商品に付いているQRコードを読み込むと、このような情報を追いかけられる。これは環境先進国の欧州への輸出販売条件にも適合するという。

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提供:豊島株式会社

様々な困難を乗り越え現在に至る

「FOOD TEXTILE」プロジェクトが始動したのは2015年2月。

当初は同社の営業社員が、食品メーカーや工場、農園などに足しげく通い、賛同者・協力者を得ることからすべてが始まったという。契約締結後も、順風満帆な道のりとは程遠く、商品化に至るまでは様々な困難を乗り越えなければならなかったそうだ。

「トマトから染めた」と言えば、大抵の消費者は「赤」を想像するだろうが、実際に出た色は黄色。これをどのように消費者に理解をしてもらうかが課題だった。

また、食品から作った染料は生ものなので、そのままの長期保存は難しい。生地の在庫を持つために、社内外との調整も一筋縄ではいかなかった。

そして、商品の完成後は、どのように手に取ってもらうかという課題にも直面。使いやすさ、デザイン、知名度、そして価格。あらゆる面で、消費者に選んでもらえる商品に仕上げる必要があった。

このような課題を一つ一つクリアしながら、「FOOD TEXTILE」の事業は確実に拡大していった。

同社によれば、国内の繊維工場を守ること、日本企業の価値向上、そして捨てるものを生まれ変わらせるという日本の発想を海外へ発信するという、3つの大きな想いがこのプロジェクトの背景にあるという。

現在は、15社を超える国内食品関連企業、農業、農園と連携し、フードロス削減に貢献すべく活動を広げている。

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提供:豊島株式会社

企業やファッションブランドとのコラボレーション

「FOOD TEXTILE」は、日常使いからビジネスシーンまで、幅広いラインナップを展開しているオリジナル商品も人気だが、これまで様々なファッションブランドとの連携から生まれた商品も多数世に出してきた。

フランスのファッションブランド「MAISON KITSUNE」 のトートバッグ、老舗江戸菓子店「榮太郎」の200周年記念シャツ、株式会社アダストリアが運営する自社オフィス内カフェ「A CAFE」のユニフォームなど、「FOOD TEXTILE」の想いに賛同した企業は多岐に渡る。

今回発売される「Lily Brown」コラボレーション商品は、エスプレッソコーヒーの出涸らしを染料とした「ブラウン」、ハーブの一種・ブルーマロウの「ラベンダー」、そしてハーブの一種・エキナセアの「オフホワイト」の3色展開だ。

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同社は今後も、「FOOD TEXTILE」を通じ、持続可能な社会の実現に向けたメッセージを国内外に発信していきたいとしている。


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