1. ファーウェイから最後のAndroidスマホが発売。自社プラットフォームへの切り替えはどうなる?【石野純也のモバイル活用術】

ファーウェイから最後のAndroidスマホが発売。自社プラットフォームへの切り替えはどうなる?【石野純也のモバイル活用術】

ファーウェイは、11月29日に、SIMフリースマホの「nova 5T」を発売する。

大手家電量販店に加え、MVNO各社もこれを販売。大手では、IIJmioやmineo、LINEモバイルなどが取り扱いを表明している。価格は、5万4500円の予定だ。

ファーウェイからSIMフリースマホ「nova 5T」登場

nova 5Tは、ミドルレンジ上位の価格を実現したハイエンドモデル。

ファーウェイは、フラッグシップモデルとして「P30」シリーズや「Mate 30」シリーズを用意しているが、こうした端末のエッセンスを凝縮しながらも、コストダウンを徹底した、いわばジェネリック・ハイエンドとも呼べる端末だ。

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11月29日に発売される、ファーウェイのnova 5T

たとえば、チップセットにはP30シリーズと同じ「Kirin 980」を搭載しており、処理能力は非常に高い。背面カメラも標準、広角、マクロ、深度測定用カメラの4眼。標準カメラは4800万画素で、センサーサイズも1/2と大きい。

一方で、上位モデルとは異なり、ライカと協業していなかったり、指紋センサーが側面に搭載されていたりと、ハイエンドモデルとの差分もある。小さな違いを積み上げ、コストダウンを図ったというわけだ。

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背面にはクアッドカメラを搭載するが、P30シリーズからコストダウンした跡も見え隠れする

Mateシリーズは米国制裁の影響で発売見送りに

例年、12月にはフラッグシップモデルのMateシリーズを投入してきたファーウェイだが、9月にドイツ・ミュンヘンで発表された「Mate 30」「Mate 30 Pro」は、「4G版は日本で発売しない」(ファーウェイ 日本・韓国リージョン プレジデント 呉波氏)という。

背景には、米国制裁下で、自由に端末を開発できないファーウェイならではの事情がある。2020年春に開始される5Gに合わせ、5G版の投入を計画しているというが、事実上、発売が見送られた格好だ。

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nova 5Tや同社の今後の方針を語る呉波氏

2018年はnova 5Tの先代にあたる「nova 3」と同時に「Mate 20 Pro」を発売していたが、ラインナップをnovaに集約した形になる。

ファーウェイは、米国商務省のエンティティリストに登録され、米国企業との取引が原則として禁止されてしまった。Androidとその上に乗るサービスを提供するグーグルも、その1社だ。

結果として、海外ではMate 30シリーズを“グーグル抜き”で発売することを余儀なくされている。

GmailやGoogleマップだけであれば他のアプリやブラウザからのアクセスで代替できる可能性はあるが、Playストアが利用できない影響は大きい。

ファーウェイは、Playストアの代わりとなる「App Gallery」を用意してアプリの配信を行っているが、ユーザーが必要とするアプリが100%そろうわけではない。

いくら端末が優れていても、これでは魅力が半減してしまう。正式なAndroidでないため、キャリアも導入に対しては二の足を踏むことになりそうだ。

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9月に発売されたMate 30シリーズは、“グーグル抜き”のまま海外で発売された

一方のnova 5Tは、グーグルのサービスにフル対応したAndroidスマホとして発売される。これは、グローバルで発表されたのがMate 30シリーズよりやや早く、グーグルの認証を制裁発動前に通過していたからだという。

そのため、nova 5Tは従来のファーウェイ端末と同様、OSのアップデートでも提供される見込み。海外では8月から提供が開始されているが、これにもAndroidが採用されていた。

自社プラットフォームへの切り替えがマスト

nova 5Tには、ギリギリでAndroidの搭載が“間に合った”格好だが、制裁が続く限り、これが最後のAndroidスマホになることに変わりはない。制裁がいつ解除されるかは不透明で、ファーウェイとしては自社のプラットフォームへ切り替える道を模索せざるをえなくなる。

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nova 5Tにも、OSのアップデートが提供される予定だ

そのため同社は「HMS(Huawei Mobile Service)」と呼ばれるプラットフォームを強化している。

HMSはグーグルサービスの代替になるもの。オープンソースのAndroid上で動き、アプリなどにAPIを提供する。先に触れたMate 30シリーズも、海外ではHMSを搭載したうえで発売されている。

日本でも、HMSのエコシステムを強化する動きが始まろうとしている。

12月には、ファーウェイ主導のアプリ開発者大会が日本で開催される予定。HMSをベースにしたApp Galleryへの参加を促す方針で、アプリ開発者のサポートにはグローバルで10億ドル(約1100万円)が拠出されるなど、大規模な資金も投じられている。

ファーウェイの端末販売台数は2019年ですでに2億台を超えているが、その規模を背景にアプリのエコシステムを強化する構えだ。

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HMSと呼ばれるエコシステムを強化。10億ドルの資金を投じ、日本でも開発者大会を開催する

これはファーウェイにとっての代替案であるのと同時に、米国やグーグルに対するけん制にもなる。

グーグルサービスが採用できなければ、年間2億台を超える端末を一気にHMSに切り替える——こうなれば、困るのはグーグルだ。

ファーウェイが「Androidやグーグルサービスの搭載を最優先にしている」(呉氏)という方針を掲げていることからも、同社の思惑がうかがえる。

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