1. 石野純也のモバイル活用術:躍進中のIoT特化MVNO「ソラコム」が新サービスを発表

石野純也のモバイル活用術:躍進中のIoT特化MVNO「ソラコム」が新サービスを発表

  IoT(モノのインターネット)に特化したMVNOとして、契約数を伸ばしている会社がある。それが、ソラコムだ。同社は2015年にスタートアップとしてサービスを開始し、2017年にはKDDIに子会社化され、規模を拡大している。

  専用のハードウェアが必要だった携帯電話のコアネットワークをクラウド上に実装し、ユーザー自身が手軽に通信を管理、制御できるのが、同社のサービスの画期的なところといえる。

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IoT専業のMVNOとして2015年にサービスを開始したソラコム

躍進中のIoT特化MVNO「ソラコム」とは

  ソラコムはB2Bに特化しているため、一般のユーザーにはあまりなじみがないかもしれないが、実はさまざまなところで同社の回線が利用されている。

  中でもコンシューマー向けデバイスとして知名度が高いのは、ソースネクストが送り出した携帯翻訳機の「POCKETALK」や、その後継機の「POCKETALK W」だろう。

  同デバイスを購入する際に、「グローバル通信2年つき」を選ぶと、ソラコムの「SORACOM IoT SIM(旧グローバルSIM)」が同梱される。ユーザーは世界各国でWi-Fiなどに接続する必要なく、翻訳機を利用できるというわけだ。

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翻訳機として大ヒットした「POCKETALK」にも、ソラコムの国内外で使える「IoT SIM」が採用される

  POCKETALK以外にも、福岡で展開されている自転車のシェアリングサービス「メルチャリ」や、自動で水を再注文するウォーターサーバーの「FRECIOUS Slat」、スマートロックの「akerun」などのIoTデバイスが、同社の回線を採用。

  ユーザー数は企業、個人を合わせて1万5000を超え、回線数も6月には100万を突破した。

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企業や個人を合わせたユーザー数は、1万5000を突破した

データ通信料を1/10に値下げ、遅延も改善

  そのソラコムが、自社イベントの「SORACOM Discovery 2019」に合わせ、数々の新サービスを発表した。

  通信関連での新サービスの1つが、料金の値下げだ。上記のIoT SIMは、ドイツに拠点を置く通信事業者から回線を借りたサービスで、日本で使うとドコモに接続し、1MBあたり0.2ドル(約22円)の料金がかかっていたが、接続先にKDDIを追加。料金を1/10の0.02ドル(約2円)にまで引き下げた。もともと1MBあたり0.08ドルで(約9円)で提供していた欧州の主要国でも、料金を0.02ドルに設定した。

  IoT SIMはローミング経由でつながっていたため、欧州以外で使ったときに遅延が目立っていたが、これを解消するため、日本と米国に同社が「ランデブーポイント」と呼ぶ通信の経路を設定。接続の管理自他はドイツを経由する一方で、実際に流れるデータを日本や米国経由にすることで、欧州以外での遅延を減らすことを実現した。

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KDDI回線を使うことで国内の料金を1MBあたり0.02ドルに下げ、遅延も減らした

  先に挙げたPOCKETALKを例に取れば、料金改定によって、ユーザーに提供する際の通信料を下げる余地が生まれた格好だ。また、欧州以外の地域で使った場合の遅延が少なくなるため、翻訳のスピードが向上することも見込まれる。ソラコムの直接的なユーザーはもちろん、IoTデバイスを実際に使用するユーザーにとっても、メリットがありそうだ。

  また、ソラコムは、監視カメラなどの需要に合わせ、アップロードに特化した料金プランも発表した。こちらは、ドコモ回線のみで日本専用になるが、料金は上り10GB、下り1GBで月額1200円、上り50GB、下り2GBで月額2900円になる。

  同社はこれまで、速度に応じた料金を設定していたが、その最大値を2Mbpsから8Mbpsに拡大することも発表した。

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監視カメラなどの回線需要に合わせ、上りが大容量の料金プランも発表した

eSIM対応の実験にも成功し商用化にも期待

  これらの新サービスに加え、SORACOM Discovery 2019では、「テクノロジープレビュー」として、iPhoneのeSIMにソラコムのプロファイルを書き込むデモも公開している。

  eSIMは、iPhone XS、XS Max、XRの新機能で、書き換え可能なSIMカードのこと。キャリアの業界団体GSMAの規格に準拠しており、これを使うと1台の端末で2回線の同時待受けが可能になる「DSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)」を利用できる。

  eSIMのデモは、あくまで技術の先行展示といった位置づけで、サービス化は「お客様やパートナーのご要望をいただいたうえで」(代表取締役社長 玉川憲氏)になるため、すぐに利用できるようになるわけではない。ただ、過去にはソラコムをMVNE(MVNO支援事業者)的に活用し、MVNOが訪日外国人向けのデータ通信サービス提供した事例もあるため、同様のビジネスモデルを取ることはできそうだ。

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同社のイベントでは、技術プレビューとして、eSIMプロファイルのダウンロードを披露している

  eSIMはiPhoneでの提供が始まったものの、サービスを提供しているのは海外のキャリアが中心。KDDIが海外事業者のGigskyと手を組み、日本のユーザー向けに海外用の通信サービスを提供しているが、日本での事例はまだまだ少ないのが現状だ。ソラコムの技術を活用する事業者が登場することにも、期待したい。

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