1. 「モラル」とは何か?大人として知るべき“モラル”に関する基礎知識

「モラル」とは何か?大人として知るべき“モラル”に関する基礎知識

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 「モラルがない」などという言い方をするが、「モラル」とは一体何なのだろうか?

 今回は「モラル」の意味をはじめ、「モラル」を含む言葉の意味、大人として知るべき「モラル」に関する基礎知識について説いていきたい。

「モラル」の意味

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「モラル」の意味とは?

 「モラル(moral)」とは、一言で説明すると「道徳」「倫理」という意味。

 「倫理観」「道徳意識」という言い方をする場合もある。 

「モラル」の詳しい意味

 元々は英語の「moral」から来ている言葉で、形容詞としては「道徳上の」「倫理的な」「善悪の判断に関する」「(個人の)良心の、分別の」といった意味を持つ言葉である。

 名詞としては「教訓」「金言、格言」といった意味がある。

 「モラル」の意味を深掘りするために、知っておきたいのが「道徳」と「倫理」の意味だ。

 言葉を知っていても、なかなか説明しづらい「道徳」と「倫理」には下記のような意味がある。

【“モラル”と同義】「倫理」「道徳」の意味

  • 倫理:人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの
  • 道徳:人のふみ行うべき道。ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体

 「倫理」「道徳」という意味を持つ「モラル」は、どんな時代にも世代にも共通する「善悪を判断する基準」と考えてもらえるとわかりやすいだろう。

 公正な取引を行う・公序良俗に反さない考え方、良心による個人の決断・判断など、そういったものが「モラル」なのである。

 どういったものが「モラル」に反するのか知りたい人は、下記を参考にしてもらいたい。

「モラル」に反することの一例

  • 「不倫」:結婚相手がいるにも関わらず、第三者と肉体関係を持つことが、“結婚相手以外の人と肉体関係をもってはいけない”という個人の良心・倫理(モラル)に反する
  • 「殺人」:法にふれること、人の命を奪う行為が“人を殺してはいけない・法を犯してはいけない”という個人の良心・公序良俗(モラル)に反する
  • 「詐欺」:人を騙して金品を奪う行為が“人を騙してはいけない”という個人の良心(モラル)に反する

「モラル」の類義語

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 「モラル」の意味について、より多角的に知りたいという人は「モラル」の類義語をチェックしてみよう。

「モラル」の類義語一覧

  • 【ものの善悪をわきまえて正しく振る舞おうとする気持ちのこと】
    道徳的観念 ・ 倫理観 ・ 道徳心 ・ 道義心 ・ モラル ・ 良心 ・ 己を律する心 ・ 道徳意識 ・ 正義感
  • 【人として守るべき筋道のこと】
    節義 ・ 節操 ・ 道義 ・ 倫理 ・ 道 ・ 人道 ・ 道理 ・ 道徳 ・ 義理 ・ 公徳 ・ 公衆道徳 ・ 社会倫理 ・ 社会道徳 ・ 仁義 ・ モラル

【参考】Weblio類語辞書

「モラル」の対義語

 「モラル」の対義語は「インモラル(immoral)」。意味は「背徳」「不道徳」。

 英語の「moral」に、否定を表す接頭語「im-」がついた言葉だ。

 「背徳的な」「みだらな」「ふしだらな」という意味合いが強く、下記のように英語でも“不倫”や“浮気”を示す言葉として使われる単語である。

「an immoral relationship between a man and a woman(みだらな男女関係、男女の不義の関係)」

「モラル」の使用例

 「モラル」という言葉の使い方を、「モラル」を含む単語から見ていこう。

「モラル」の使用例①:〜としてのモラル

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 会話や文中の中で使われるのが「〜としてのモラル」という表現。

 「政治家としてのモラル」「経営者としてのモラル」「環境保護の一端を担う団体に所属する者としてのモラル」「日本人としてのモラル」などという使い方をする。

 いずれも、“〜の条件に当てはまる場合に守るべき規範”という意味だ。

 「〜としてのモラル」は、しばしば「政治家のモラル」「日本人のモラル」などという言い方もされる。

「モラル」の使用例②:モラルハラスメント

 さまざまな場面における「嫌がらせ・いじめ」を指す「ハラスメント」。そんなハラスメントの一種が「モラルハラスメント」である。

企業や施設の外部あるいは内部において、とりわけ行動、言辞、脅迫、行為、身振り及び一方的な書き付けによって表現され、労働の遂行の際に、労働者の人格、尊厳あるいは肉体的あるいは心理的な統合性を損なうことを目的とするあるいはそのような効果をもたらし、その雇用を危険にさらし若しくは威嚇的な、敵対的な、品位を貶める、屈辱的なあるいは攻撃的な環境をもたらすあらゆる性質の、一定の時間生じている、類似のあるいは種々の濫用的な複数の行為

出典:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11910000-Koyoukankyoukintoukyoku-Koyoukikaikintouka/0000201236.pdf

 上記は厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」に記載されていた、モラルハラスメントの説明だ。

 モラルハラスメントとは、言動や態度、身振りや文書などによって、労働者の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることである。

 「言葉」「態度」による嫌がらせが道徳に反するものであるため、モラルという言葉が使われているようだ。

「モラル」の使用例③:モラルハザード

 日本だけでなく、海外でも使わる「モラルハザード(moral hazard)」。

 「モラルハザード」の日本語での意味は、「倫理観の欠如」「道徳の喪失」

 一方、英語では「moral hazard(モラルハザード)」は保険用語で、「保険をかけることによって、かえって故意や不注意から起こす事故の危険性」のことを指す。

 英語における「moral hazard」は、本来の「モラル」の意味とは異なる。危険回避の仕組みによって注意力が散漫になり、事故や不注意が増え、規律が損なわれることをいうのだ。

「モラル」の使用例④:モラリスト

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 道徳家、道徳的な人といった意味のある「モラリスト」。「モラルを大事にする人」「良識家」といった意味合いのある言葉だ。

 モンテーニュやパスカルといった哲学者たちは「モラリスト」と呼ばれ、人間性と道徳についての思索を随想などに書き記している。

「モラル」の使用例⑤:情報モラル

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 急激に進んだIT化によって、教育が追いついていないとされているのが「情報モラル」である。ネットモラル、情報倫理などという言い方をする場合もある。

 情報モラルとは、情報化社会で適切に活動するための倫理のこと。

 インターネットの利用によって、自らを危険にさらしたり、他者を害したりしないようにするための考え方、道徳上の規範を指している言葉だ。

 SNSを使ったいじめだけでなく、守秘義務のある書類をネットにアップロードすることも情報モラルに反する行為といえる。

「モラル」「マナー」「モラール」の違い

 「モラル」と意味を混同してしまいがちな「マナー」「モラール」。

 「マナー」も「モラル」も、実は「モラル」とは全く別の意味を持つ言葉である。

「モラル」と「マナー」の違い

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 意味を混同している人も多い「モラル」と「マナー」だが、厳密には意味が異なるのだ。

 ナビゲート ビジネス基本用語集では下記のように記載されている。

モラルとは、倫理観や道徳意識のこと。世代や状況によって徐々に変化するマナーよりも普遍的な価値観を含んでいる。

出典:モラル(もらる)とは - コトバンク

 上記の引用を参考にすると、「マナー」と「モラル」には以下のような違いがある。

■モラル:世代や状況に左右されない、普遍的な価値観・倫理観

■マナー:世代や状況によって徐々に変化する常識

 また、「モラル」は主観的ものである場合が多く、「マナー」は客観的なものである場合がほとんどである。

 「モラル」には「(個人の)良心」という意味があるが、「マナー」には「方法、態度、行儀、作法、習慣、風習」のように客観的な意味しかない。

「モラル」と「マナー」の違いとは?

  • モラル:個人の判断・決断の際に規範とすべきもの。普遍的な善悪の判断規準
  • マナー:集団生活における行動規範・パターン。世代、状況によって変化する常識

「モラル」「モラール」の違い

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 「モラル」と音が似た言葉に「モラール」という言葉がある。

 「モラール」は、目標を達成しようとする意欲や態度、勤労意欲、やる気といった意味。

 字面は似ているが、意味がまるで異なるため注意しておこう。

「モラール」の意味

  • 目標を達成しようとする意欲や態度、勤労意欲、やる気


ビジネスパーソンが知っておきたい「モラル」に関する知識

「モラル」に関する知識①:道徳性の発達

 「モラル」とは、日本語でいうところの「道徳」である。

 「モラル」と「マナー」の違いについて説いた際に述べたが、「モラル(道徳性)」は普遍的な善悪の判断規準のこと。

 どんな時代・世代にも共通する「モラル、道徳」は、どのようにして人間に備わっていくのだろうか?

 「モラル(道徳性)」の発達には、3つの水準・6つの段階があるという研究結果がある。

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出典:原田唯司「青年の社会的発達」

 道徳性の発達段階を見ていくとわかるが、最終段階においては「他者の立場になって物事・気持ちを考え、他者の気持ちを大切にする」ということができている。

 「モラル(道徳性)」を向上させるためには、他者理解・他者の尊重が必要であるのだ。

 上記のことを踏まえると、モラルハラスメントが横行している職場では他者理解・他者の尊重が足りていないということが考えられる。

「モラル」に関する知識②:「最高の道徳とは何か?」を示したガンジーの名言

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 「モラルとは何か?道徳とは何か?」ということを考えるとき、役立つのが先人たちの言葉だ。

 非暴力・不服従運動を行い、インドをイギリスから独立させた指導者・ガンジーは「最高の道徳」について以下のように説いている。

最高の道徳とは他人への奉仕。
人類の愛のために、働くことである。

出典:

 ガンジーは「最高の道徳(モラル)」を、「他人への奉仕」「人類の愛のために働くこと」と説いた。

 どこまでも利他的なガンジーだが、ガンジーは「失望したときには、歴史全体を通して、いつも真理と愛が勝利したことを思い出す」と話している。

 「真理と愛」を信じ、他者へ奉仕することこそが、「モラル(道徳)」に準じた行動をとる上で重要になってくるのだろう。 

 「モラル」の意味をはじめ、「モラル」を含む言葉の意味、大人として知るべき「モラル」に関する基礎知識について紹介してきた。

 モラルハラスメントという言葉が一般的になった今、「モラルの意味」「モラルの在り方」について、もう一度考えてみるべきなのかもしれない。

 本記事で「モラル」についての理解を深めてもらえたならば幸いだ。

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