HOMEビジネス 【当方の意味・使い方】ビジネスメールの一人称は「当方・私・小職・当社」どれが正しい?

【当方の意味・使い方】ビジネスメールの一人称は「当方・私・小職・当社」どれが正しい?

U-NOTE編集部

2018/07/03(最終更新日:2020/05/14)


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ビジネスシーンでは、しばしば「当方」というフレーズが使用されます。聞きなれない言葉なので「どんな意味があるのだろう」と疑問に感じた方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ビジネスメールや書類で使用される「当方」について解説。「当方」の意味や使い方から、ビジネスメールにおける適切な一人称について詳しくご紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • 「当方」の意味と読み方
  • ビジネスシーンにおける「当方」の使い方と使用する際の注意ポイント
  • 「当方」と似た意味を持つ言葉

 

「当方」の意味とは?

社会人として働くなかで、一度はビジネスシーンや書類のなかで頻繫に登場する「当方」を目にしたことがあるのではないでしょうか。正しい意味や使い方を知らずに、なんとなく使用している方もいらっしゃるかもしれません。

まずは、「当方」の意味や読み方、対義語から詳しく確認していきましょう。

 

「当方」の意味、読み方

ビジネスシーンで頻繫に登場する「当方」は、とうほうと読みます。自分の属している方・自分・こちらを意味する言葉で、ビジネスシーンでは自分が属している企業やチームを指すときに用いられている一人称です。

<「当方」を使った例文>

  • 当方は14時から会議に参加予定です
  • 当方も本日出た意見に異存ございません

 

「当方」の対義語は「先方」

先述したように、ビジネスシーンにおいて「当方」は自分の属する企業やチームを表現する言葉です。「当方」の対義語として使用されている言葉が「先方(せんぽう)」で、相手の属するチームや企業を意味する言葉です。「先方(さきがた)」と読む場合は、ちょっと前のとき・さっき・先ほどを意味する別の言葉になるので注意しましょう。

なお、「先方」には相手を強く敬う意味はありません。敬語表現にする場合には「先様(さきさま)」を使用する方が賢明です。

「当方」と「先方」の意味
  • 当方(とうほう):自分の所属を意味する一人称
  • 先方(せんぽう):当方の対義語で、相手の所属を指す言葉
  • 先方(さきがた):ちょっと前のとき、さっき、先ほど
  • 当方の敬語表現は「先様(さきさま)」

 

ビジネスシーンにおける「当方」の使い方

先ほどご紹介したように「当方」は自分側を指すときに使用される一人称で、ビジネスシーンでは自分の所属する会社やチームを表現する言葉です。

次は、ビジネスシーンにおける「当方」の使い方をより詳しく確認していきましょう。

 

ビジネスシーンにおける「当方」は所属する会社、部門を表す

ビジネスメールや会話内で「当方」を使う場合、自分や同席メンバーが所属している会社やチームを表しています。個人の意見を伝えるのではなく、所属する会社やチーム全体の意見を伝えるときに使用します。

<ビジネスシーンでの「当方」を使った例文>

  • 当方の考え方を説明させていただきます
  • 当方としてはまったく問題ございません

 

男女問わず使える言葉

言葉のなかには、男性が自分をへりくだって呼ぶ一人称「小生(しょうせい)」のように使用される性別が限定されるものも存在します。女性が使ってしまうと、誤った使い方になってしまうので注意が必要です。

しかし、一人称のひとつである「当方」は男女関係なく使用できる言葉です。女性であっても、何の問題もなくビジネスシーンで使用できますよ。

ビジネスシーンでの「当方」
  • 自分の所属する企業やチームを表現するときに使用する
  • 男女問わず使用できる、便利な言葉

 

ビジネスシーンで「当方」を使うときの注意点

性別問わず使用でき、さまざまなシーンで使用できる「当方」。非常に便利な言葉ですが、使用するときにはいくつか気を付けるべき注意点があります。言葉の誤用は予期せぬトラブルにも繋がるので、正しい意味と使い方を知ったうえで使用しましょう。

次は、ビジネスシーンで「当方」を使用するときの4つの注意点をご紹介します。

 

一人称「私」としての意味では使わない

「当方、田中太郎です」「当方は○○所属です」といったように、自分自身を指す一人称として「当方」を使用しているビジネスパーソンもちらほら。しかし、先ほど解説したようにビジネスシーンにおいて「当方」は、自分の所属するチームや企業を指す言葉です。個人を表す一人称として「当方」を使ってしまうのは、誤った使い方なので注意しましょう。

ビジネスシーンで個人的な見解や自分自身のことを話したい場合には、一人称を「当方」ではなく「私」と表現しましょう。

ビジネスシーンにおける「当方」と「私」の使い分け
  • 当方:ビジネスシーンで自分が属している企業やチームを表すときの一人称
  • 私:ビジネスシーンをはじめ、幅広いシーンで個人を表すときに使用する一人称

 

社内では利用しない

「当方」は対外的な相手、つまり自分の属している企業やチームメンバー以外に使う言葉です。自社内の人に対しては使うのは誤りなので、使用しないように注意しましょう。
 
自社内のメンバーに対して、自分の所属する企業やチームについて話す場合には「当社(とうしゃ)」を使用するのが最適です。「当社」の使い方について詳しく知りたい方は、ぜひ下記のページをチェックしてみてくださいね。

 

個人的な意見を伝えるときには使用しない

先述したように「当方」は自分が属している組織を表す言葉で、一人称「私」を意味する言葉ではありません。個人の見解や自分のことを話す場合に「当方」を使用してしまうと母数が大きくなってしまい、第三者に誤った印象を与えてしまう可能性もあります。

ビジネスシーンにおいても個人的な意見を伝えたい場合には、自分の意見であると強調しましょう。

<ビジネスシーンで個人的な意見を伝える例文>

  • わたくしの率直な意見は~~でございます
  • 先ほどご送付したように、私といたしましては
  • わたくし個人の見解なのですが

 

ビジネス文書・ビジネスメールでは「弊社」「当社」を使うことも

ビジネス相手とかわすメールや会話のなかでは、しばしば自分の会社を指すときにへりくだった表現を使用します。自分を下げることによって相手への敬意を伝えられる方法で、日本のビジネスシーンでは頻繫に登場します。

自分の所属する企業やチームをへりくだった言葉で表現する場合、ご紹介した「当方」だけでなく「弊社(へいしゃ)」「わたくしども」も一人称として使用されます。弊社は「当方」と同様に対外的な相手に使用される言葉なので、自社内の相手には使用されません。

また、銀行を指す場合は「弊行・当行」、お店を指す場合には「弊店・当店」といったように、対象によって言葉が変化する場合もあるので注意しましょう。

<「当方」と似た意味をもつ、「弊社」「当社」「わたくしども」の使い方>
・当社と他社データの比較は、資料の3ページ目をご覧ください
・弊社では~~に関して、積極的に取り組んでおります
・誠に残念ではございますが、わたくしどもといたしましては~~

ビジネスシーンで「当方」を使用するときの注意ポイント
  • 個人を指す言葉や個人的な意見を伝えるときには使用しない
  • 自社内の相手に使用する場合には使用せず、「当社」を使用する
  • クライアントや顧客に使用するときには「弊社」「わたくしども」が望ましい

 

小職(しょうしょく)をはじめとする「当方」の類語

「当方」と似た意味を持つ言葉として、「小職」「弊方」などが挙げられます。最後に、「当方」の類義語と使い方を詳しくチェックしていきましょう。

【「当方」の類義語】
類義語1.小職
小職(しょうしょく)」は、官職が自分をへりくだって表現する言葉として誕生しました。以前は公務員や官職が使う限定的な言葉でしたが、現在ではさまざまなビジネスシーンで使用されています。管理職・弁護士・医師など、比較的高い役職に就いている人間が自分を謙遜して使う言葉です。

類義語2.小生
小生(しょうせい)」は、小職と同じように自分の立場を謙遜して表現する言葉で、男性のみが使用します。

類義語3・弊方
弊方(ヘイホウ)」は、「当方」よりもさらにへりくだった表現です。自分よりも立場が上の相手や目上に人に使用される言葉です。

<小職・小生・弊方を使った例文>

  • 小生も変わりはございません
  • 何かございましたら、小職までお問い合わせください
  • 弊方の見解を申し上げます

 

誤解を生まないように「当方」の意味と使い方を理解しておこう

本記事のまとめ
  • 「当方」は自分側を指す言葉、「先方」は相手側を指す言葉
  • 「当方」は男女ともに使用できる便利なフレーズ
  • 個人的な意見を伝えるときの一人称は、「当方」ではなく「私」を使用する
  • 社内の相手に使うと失礼な印象を与える可能性もあるので要注意
  • 「当方」の類義語=小職・小生・弊方

自分の所属する企業やチームを表すときに用いられる「当方」は、男女問わずに使用できる万能なフレーズです。個人的な意見ではなく、企業やチーム全体の考え方を伝えるときに使用してみてくださいね。

言葉のストックが多い人は、クライアントや社内の仲間ともコミュニケーションがとりやすいはず。ビジネスパーソンとしてより大きく成長していくためにも、「当方」はもちろん「小職」「弊方」といった類義語も使いこなしていきましょう。

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