1. 初めて会う人と効果的な協力できてる?現代社会で必要不可欠な「チーミング」を得る方法

初めて会う人と効果的な協力できてる?現代社会で必要不可欠な「チーミング」を得る方法

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 グローバル化が進む現代において、「協力」は必要不可欠だ。特に社会人になると、初対面の人とチームを組む機会は、珍しくないだろう。

「初めて組む人とだから、十分な仕事ができなかった」そんな言い訳は社会において通じない。だからこそ、「即席チーム」の場合に、必要なマインドセットを学ぼう!

 今回我々に即席チーム、「チーミング」に不可欠であるマインドセットを教えてくれるのは、ハーバード・ビジネス・スクールでリーダーシップとマネジメントの教授を務める、エイミー・エドモンソン氏。

 エドモンソン教授はTEDのステージに登壇する。

コピアポ鉱山落盤事故

エイミー・エドモンソン教授:2010年8月5日、チリ共和国北部にあるサン・ホセ鉱山で落盤事故が起きました。世界一硬い岩の地下0.5マイル地点に男性作業員約33名が閉じ込められたのです。深さはエンパイア・ステート・ビルディング2塔分に匹敵します。

このような非常事態に備えて造られた避難所へ彼らは到達しました。そこで待ち受けていたのは、過酷な温度と衛生環境、そして人間2人が10日間困らない量の食物。

地上にいる専門家たちが「救出は不可能」と判断するまで、そう長くかかりませんでした。鉱業界の掘削技術では、彼らが生きている間にこれほど硬い岩を深くまで砕くことができません。

避難所の位置や作業員の怪我の有無、責任者すら不透明だったのです。にもかかわらず、事故発生時から70日後、作業員たちは全員生きて地上へ救出されました。

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この奇跡のような話は、「チーミング(Teaming)」の力が証明された事例です。

「チーミング」とは?

では、「チーミング」とはなんでしょう? 

即席のチームワークを指します。目標を達成するべく境界線――つまり、専門分野や距離、時間帯、なんでも――を超え、協力することです。

一番好きなスポーツチームを思い浮かべてください。これはチーミングではありません。スポーツチームは共に歩み続け、勝利へのマジックを起こします。それは、練習をしているからです。

チームでの練習が可能なのは、同じメンバーと長い時間を過ごせる場合のみです。スポーツでの「チーム」は、「共通目的を達成する上で、安定的で、結束している相互依存関係の小グループ」という意味を体現しています。

対して「チーミング」は「公園で遊ぶだけの即席チーム」と考えてよいでしょう。試合をしたら、どちらが勝つかは明白ですよね。

にもかかわらず、私が「チーミング」を研究するのは、現代の労働環境にそのような傾向があるからです。

現代の労働環境

24時間稼働のグローバルで急を要する業務やまったく定まらないスケジュール、そして未だかつてないほど細分化された専門分野の中、仕事を完遂させるには協力が必要不可欠です。「安定したチーム」という贅沢は我々にはありません。

可能なら、無論そうするべきです。しかし、多忙極める業務量をこなさなければならない現代において、大半の人にはその選択肢がありません。

たとえば病院です。私は長らく病院で研究をしていました。病院の稼働時間は24時間。これはマストです。そして患者たちは、各々が複雑な理由で入院します。

そんな中、入院患者が通常、退院までに出会う看護師の数は約60名です。

それぞれ別のシフトを抱えていて、専門分野や得意分野が異なる看護師たちは、お互いの名前を知らないことだってあります。しかし最高の看護を提供するためには、協力をしなければなりません。それを怠ると、悲惨な結末を招きます。

もちろん、常に生死にかかわるわけではありません。受賞アニメ映画の制作行程について考えてみましょう。

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幸運なことに、ディズニー・アニメーション・スタジオへ伺い、900名以上もの科学者やアニメーター、作家、コンピューター科学者が、常に変動しているチームの中、『アナと雪の女王』のようなすばらしい成果をもたらすことを研究する機会がありました。

彼らは2度、同じチームに属することなく、次なにが起きるのか予想がつかないまま、ただただその場のメンバーと共に作業しました。

緊急治療室での看護とアニメーション制作は明らかに別物ですよね。しかし、共通項は多いです。時と場合によって違う専門分野の人が担当しますし、役割も目標も定まっていません。予測できないことに対し、安定したチームで臨めないのです。

大きな社会課題の解決に必要な「チーミング」

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エイミー・エドモンソン教授:このように働くのはむずかしいです。しかし、先ほど申し上げた通り、このような環境下で働く人は年々増えているので、理解しなければなりません。

特に、複雑で予測不可能な仕事や大きな課題を解決するときに必須となるでしょう。

ユニリーバのCEOポール・ポールマン氏はかつてこう言いました。「現在、我々が直面している課題はとても大きく、困難を極める。1人で解決できないのは明白だ。ゆえに人と協力する謙虚さを学ばなければならない。食糧不足や水不足のような課題を見てみると、個人での解決が難しいのは明らかだ。1社、1国でも厳しいだろう」

だからこそ、我々には大規模なチーミングが必要なのです。

スマートシティ・プロジェクト

スマートシティ・プロジェクトを例に見てみましょう。スマートシティ・プロジェクトとは、「多目的なデザインやエネルギー使用が実質ゼロのビル」などを掲げる、すばらしい街構想を指します。需要は当然ながら、ビジョンや実現に必要なテクノロジーも揃っています。

都市化と気候変動という2つのメガトレンドを受けて、イノベーションを求める街は増加しています。現在、世界中の地域でスマートシティを実現するために、たくさんの専門家が協力しています。

正直、かなり大規模な挑戦です。

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より深い理解を得るために、スマートシティ・ソフトウェアのスタートアップ企業について研究しました。彼らは不動産開発業者や土木技師、市長、建築家、テクノロジー企業と協力し、スマートシティのデモバージョンを1から創ることを目標に掲げています。

しかし、プロジェクト開始から5年、多くは成されませんでした。6年目、変革は未だ起きません。業界という垣根を越えることが、かなり難航しているようです。ここで私は偶然にも「専門家の文化的衝突」を発見することになりました。

ソフトウェアエンジニアと不動産開発業者はタイムフレームを筆頭に、価値観や言語など、まったく違う思考をします。そのため、彼らの目線が平行になることはありませんでした。多くの人が感じているよりも、これは大きな障害です。実際、我々が待望する未来のビル創造にとって「専門家の文化的衝突」は重大な壁となるでしょう。

ゆえに、問題を理解し、打ち砕く方法を探さなければなりません。それでは、チーミングを成功させるにはどうすればよいのでしょうか? 

これこそが、様々な現場において私が解決しようとしている命題です。

コピアポ鉱山落盤事故の救出劇

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エイミー・エドモンソン教授:では、答えの一部を覗くために、チリの大落盤に話を戻しましょう。この事故で我々は、何百人もの多岐にわたる専門分野、会社や業界、国に属する何百人もの個人たちのチーミングを目撃しました。救出過程において、彼らは試行や研究を繰り返し、日常的に絶望を感じながら、歯を食いしばって前進しました。

大きな問題を前にして、彼らはつつましくなり、異なる専門分野や国に属す個人によるアイデアを真剣に聞くようになりました。また、早急な解決策を知るために、リスクを背負いました。

最終的に、この奇跡的な話の17日目、アイデアは各所を行き交っていました。非常に優秀な鉱山技術者であり、政府に救出作戦のリーダーを任命されたアンドレ・ソウガレット氏から、NASA、チリの特殊部隊、そして世界中のボランティアたちからアイデアが押し寄せられました。

そして私を含め遠くから見ている者たちは、彼らがもがきつつもゆっくりと、岩を掘削するのを目撃したのです。

運命の17日目、避難所への道が開かれました。この小さな穴を用いて、実験的な方法を試すことができました。以降53日、この狭いライフラインから食物や医薬を届け、コミュニケーションが可能になりました。その間、地上ではより大きな穴を掘り、カプセルをつくる奮闘が53日続きました。

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こちらがそのカプセルになります。事故から69日目、22時間に及ぶ辛抱強い作業の末、作業員を1人1人救出することができました。


「チーミング」に必要なマインドセット

エイミー・エドモンソン教授:救出者たちはいかにして「専門家の文化的な衝突」を乗り越えたのでしょうか? 一言で言うと「リーダーシップ」ですが、もう少し説明させてくださいね。

チーミングが発生すると、例えどんなリーダーだとしても、「答えがわからないことを明確にしている」という確信が持てます。「状況的謙虚さ」とでも呼びましょうか。先ほどのとおり人々は互いの意見に強い関心を持ちました。「状況的謙虚さ」と「関心」の組み合わせは、他人に対してリスクを冒す心理的な安心感を生み出します。

正直に受け入れましょう。発言をするのも、助けを求めるのも大変ですよね? よく知らない相手に馬鹿かもしれないアイデアを出すのはむずかしいことです。それを可能にするためには精神的な安心感が必要です。

私が好んで人間の基本的な課題と呼ぶのは「すでに知っていることを学ぶのは難しい」です。悲しいことに、我々は「知っている」と信じ込みがちです。だからこそ、「他人のアイデアに関心を持つ」ということを念頭に置かなければなりません。「関心」こそが解釈する余裕を生み出します。

しかし、障害はもう1つあります。みんなも体験したことがあるでしょう。自覚があるからこそ、この講演に来ているのです。

映画『ペーパー・チェイス』から1節引用します。有名な教室のシーンで、教授はロースクールの1年生にこう告げます。「左の人を見て。次は右。どっちかが来年はいなくなる」と。生徒たちはこのメッセージをどう受け取ったでしょうか? 「残るのは俺か、お前か」です。つまり、自らが成功するためには、相手が失敗しなければなりません。

現代において、ここまであからさまな歓迎文句は少ないでしょうが、多くの人はこのような心持ちで現れます。俺かお前か。うかつにも人を競争相手とみなしてしまったが最後、協力がとても難しくなります。ですからこのような考え方も乗り越えなければなりません。

それができれば、結果はすばらしいものになるでしょう。リンカーン大統領の格言のとおり「あの人は好ましくない。だからこそ彼のことをもっと知りたい」です。嫌いだということは、相手のことを深く知らないのです。効果的なチーミングには、このマインドセットが必要です。

我々個人でも、できることはありますが、一歩退いて協力を求めれば奇跡が起きるのです。鉱山作業員たちや患者たちを救い、すばらしい映像だってつくれます。

「左の人を見て。次は右。隣人の才能やスキルに期待し、代わりに、自分が持つものを届けましょう」そのマインドセットに到達するためのアドバイスはこれに尽きます。

未来を創るために協力することによって、我々1人では到底できないことが可能になります。だからこそ、「他者を仲間とみなし関心を持つ」というマインドセットは不可欠なのです。

ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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