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「額面給与」と「手取給与」の違いが転職後の待遇を左右する? 知っておきたい給与の仕組み

U-NOTE編集部

2019/11/21(最終更新日:2019/11/21)


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 転職活動をする上で「額面給与」と「手取給与」「手取り」というワードは必ずといっていいほど目にするが、明確な違いがわからないという人も多いはず。

  そこで今回は「額面給与と手取りの違い」について解説する。

 転職における重要な参考要素でる「給与」について理解し、転職後のトラブルを回避しよう。

「額面給与」とは

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「額面給与」:勤務先から支給される給与の総額のこと

  額面給与とは「基本給」「残業代」「各種手当」など、勤務先から支給される給与のすべてを合算したものである。

 社会保険料や源泉所得税、その他の控除項目が引かれる前の「総支給額」が収入に当たるため、収入にその他賞与を加えた金額が「年収」となる。

 転職時に提示される給与は額面給与であることが多いため、手取りと間違えて転職後の給与想定を誤らないよう注意したい。

「額面給与」と「手取り」の違いとは

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「手取り」:額面給与から控除分を引いた額のこと

  「手取り」とは、上記で説明した「額面給与」から、所得税や住民税といった各種税金、年金や健康保険料などの各種保険料を「控除」した金額のことである。「手取給与」とも表される。

 実際に給与として支払われるのはこの「手取り」であり、控除されている分だけ額面給与と比較すると低い金額になる。

  下記にある控除項目を総支給額から引くことで、正確な手取りの金額を算出することができる。控除の目的も合わせて確認しておくといいだろう。

「額面給与」と「手取給与」の違い

  • 額面給与
    →基本給・残業代・各種手当を含む、勤務先から支給される給与の総額。税金や保険料が控除される前の総支給額。
  • 手取給与
    →「額面給与」から、所得税や住民税といった各種税金、年金や健康保険料などの各種保険料を控除した金額。

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額面給与から控除される一般的な項目とその目的

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額面給与から控除される項目①:健康保険

 健康保険とは怪我や病気になった際、3割の負担で病院にかかることができる医療保険のこと。

 保険料は事業主と被保険者が折半で負担し、任意継続被保険者の保険料は本人が全額負担する。

 保険料率は加入する健康保険組合によって違いがあるので注意が必要だ。

額面給与から控除される項目②:介護保険

 介護保険とは、介護が必要になった際、1割、または2割の負担でサービスを受けることができる保険だ。

 40歳以上から加入義務が発生し、医療保険と合わせて徴収される。

 保険料率は加入する保険の種類、住んでいる場所や収入によって異なるのが特徴だ。

額面給与から控除される項目③:厚生年金

 厚生年金とは、年金をもらうために支払う掛け金のことである。

 保険料は事業主との折半で、税率は2016年9月からは18.182%に引き上げられている。

額面給与から控除される項目④:雇用保険

 雇用保険は失業したときに失業給付を受けるための保険である。

 事業の種類によって保険料率が異なり、一般事業の労働者は0.4%を負担することになっている。

額面給与から控除される項目⑤:住民税

 住民税は都道府県や市町村に納める税金のこと。

 一般的には、前年の所得に応じて課税される所得割と定額で課税される均等割を合算した額を支払う。税率は一律10%となっている。

額面給与から控除される項目⑥:所得税

 所得税は国に収める税金であり、給料から非課税となる諸手当を引いた残りに税率が掛かる

 所得金額の増加に応じて税率が上がる累進課税制度が採用されている。

 税率は5%〜45%の範囲で源泉徴収によって給与から天引きされるが、年末調整・確定申告によって適切な税額が算出され、精算することとなる。

所得金額別の所得税率(平成27年分以降)

  • 195万円以下→5%
  • 195万円を超え330万円以下→10%
  • 330万円を超え695万円以下→20%
  • 695万円を超え900万円以下→23%
  • 900万円を超え1,800万円以下→33%
  • 1,800万円を超え4,000万円以下→40%
  • 4,000万円超→45%

年金や保険は4〜6月の額面給与をベースに算出される

 厚生年金や、健康保険、雇用保険などといった「社会保険」。

 「標準報酬月額」に、地域や介護保険の有無によって定められた保険料率を掛けることで1年間に支払う保険料が決まる

 この「標準報酬月額」は、4〜6月の3ヶ月の額面給与を平均したものが用いられる。

 7月以降に前職より給与の少ない企業に転職したり、給与が下がったりしてしまうと保険料の控除率が上がるため注意が必要だ。

額面給与から控除される一般的な項目まとめ

  • ①健康保険
    →事業主と被保険者が折半する。保険料は健康保険の種類によって異なる
  • ②介護保険
    →40歳以上から加入義務が生じる。保険の種類・住んでいる場所・収入によって保険料が異なる
  • ③厚生年金
    →保険料は事業主と折半。保険料率は2016年9月から18.182%に
  • ④雇用保険
    →事業の種類によって保険料率が異なる。一般事業の場合は0.4%を負担する
  • ⑤住民税
    →税率は一律10%
  • ⑥所得税
    →所得金額に応じて税率が変わる(累進課税制度)





手取り額から「額面給与」を計算する方法

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手取り額は「額面給与の8割程度」

 一般的に手取りとして受け取れる額は、額面給与の約8割程度になることが多い。

 手取り額から額面給与を大まかに逆算する場合、自分がほしい手取り給与を1.25倍にして換算することで算出できる。

 例えば、手取りで月25万円の収入が必要な場合は、「25(万円)×1.25=31.25万円」という計算をもとに、月給が31万2,500円以上となる求人を探せばいい。

 ただし、控除される金額の割合は年収に応じる累進課税によって変動するため、注意が必要だ。年収ごとの控除割合は以下のとおりである。

額面給与から控除される年収別控除割合の目安

  • 300〜600万円:20%
  • 700〜800万円:25%
  • 900万円:26%
  • 1,000万円:27%

雇用契約の際にチェックすべき「額面給与・手取り額」のこと

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給与形態の契約が「額面」か「手取り」の違いによってもらえる額が異なる

 雇用契約を結ぶときは、給与に関する事項が「額面給与」か「手取り」かをチェックしなければならない。

 「額面給与」で契約を結んだ場合と、「手取り」で結んだ場合では、月にもらえる金額が異なってしまうからだ。

 例えば、「額面給与30万円」で契約した場合、そこから2割程度の金額が控除されるので、手取りは24万円となる。これが「手取り30万円」ならば、あらかじめ控除分が考慮されているので、30万円をそのまま受け取ることができる。

 したがって、雇用契約を結ぶときは「額面給与か手取りか」をしっかりと確かめておかなければならない

 これまで解説してきたように、額面給与と手取りの違いは大きく、30万円の例で見ても年収に換算すれば72万円もの差額が発生してしまう。

 このような事態を防ぐためにも、「額面給与」と「手取り」の違いはしっかりと理解しておくべきだといえるだろう。

 転職後のライフスタイルや給与想定を考える際、「額面給与」と「手取り」の違いをしっかりと理解していなければ、計画にズレが生じてしまう。

 転職の際は、給与が「額面給与」なのか「手取り」なのかを必ずチェックし、転職先で適用される保険の種類や手当、ボーナスといった待遇までしっかり確認した上で、転職後の生活予想や収支設計をしていただきたい。


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