1. 【ワークライフバランス重視】転職時に再確認する「ワークライフバランス」の定義と企業の取り組み

【ワークライフバランス重視】転職時に再確認する「ワークライフバランス」の定義と企業の取り組み

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 今後のキャリア、転職を考える上で重要な指針になる「ワークライフバランス」。

 本記事では「ワークライフバランス」について、「ワークライフバランス」の定義と企業の主な取り組み、具体例や課題を紹介する。

目次
+ + 「ワークライフバランス」の定義とは
+ + 「ワークライフバランス」の実現を取り巻くさまざまな背景
+ + ワークライフバランスを重視する企業の取組事例
+ + ワークライフバランスを重視する企業の具体的な取り組み例(2018年版)
+ + ワークライフバランスの充実に向けてはさまざまな課題も

「ワークライフバランス」の定義とは

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 ワークライフバランスとは、「誰もが仕事に対してやりがいを感じ責任を果たしながら、個人や家族といった仕事以外の生活もより豊かなものにできるような社会」の実現を目指すことである。

 一言でワークライフバランスの意味を説明するならば、生活の充実と仕事の充実が相互に良い影響を与え合う「生活と仕事の調和」

 ワークライフバランスを「仕事と生活の比率」などに置き換えて、どちらかを犠牲にするという概念ではない。

ワークライフバランスの3つの考え方

  • ①やりがいを感じ責任を持って、いきいきと働くことができる
  • ②体の健康の他に、仕事のスキルアップにも繋がる自分の充実した時間を持てる
  • ③育児や介護など、自分の能力に合わせた多様な働き方、生き方ができる

 以上、3点がワークライフバランスにおいて重要な考え方の根幹にあるものだ。

 日本の労働環境や労働に対する価値観は、1980年代から90年代にかけて大きく変化。

 時代の潮流に合わせ、ワークライフバランス実現の社会的ニーズは急速に高まっていったのである。

「ワークライフバランス」の実現を取り巻くさまざまな背景

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「ワークライフバランス」背景①:社会的なニーズ

 企業間競争や産業構造の変化によってビジネスパーソンの働き方は多様化し、派遣や契約社員など、正社員以外の働き方が増加した。

 より激しくなる企業間競争によって、企業はコスト削減のために正社員を減らし、非正規雇用を増やす方向性にシフトしたためだ。

 そして、正社員と比べ不安定な雇用形態が増加し、経済的に自立しにくい層が生まれた。その流れで経済的な理由から共働きをする家庭が増え、子育てや家庭に時間を割くことが難しくなった。


 このような社会的な問題を受け、安定した働き方と家庭生活を両立することができる環境の確立が求められるようになっていった。

「ワークライフバランス」背景②:就業環境の変化

 日本では70年代から現在にかけて製造業の産業比率が減少し、サービス・通信業の産業比率が増していった。

 この変化は後の「IT化」につながり、パソコンやインターネットの普及に影響を及ぼした。

 こうした産業構造や就業環境の変化にともない、働く場所や時間も多様化させることが可能になったのだ。

 リモートワーク推進や就業環境の多様化は、生産性が向上するだけでなく、時間の有効活用や私生活の充実も期待できる。

 「ワークライフバランス」を重視した働き方が実現しやすい環境になったのである。

「ワークライフバランス」背景③:長時間労働問題の解決策

  80年代までの日本は、現在のように効率重視ではなく、「長い時間働いて、量で企業に貢献する」という考えが主流だった。

 ゆえに、長時間労働が蔓延し、個人の時間や家族団らんの時間は限られた時間のみ。


 さらに、長い時間の労働による疲労やストレスも増加し、健康的被害やトラブルも多く見られるようになったのである。

 しかし先述の通り、IT化にともない業務の効率化が進み、仕事の価値は「量から質」にシフトしていった

 こうした価値観の推移によって短時間勤務やフレックスタイムなど、仕事量にとらわれない働き方が採用されるようになったのだ。


 加えて、近年では過労死などが深刻な社会問題になっているため、ワークライフバランスの早急な実現が急がれるようになった。

「ワークライフバランス」背景④:女性の社会進出や景気の変化

 1985年の「男女雇用機会均等法」の制定。バブル崩壊以降の景気悪化にともない、共働きや女性の労働者が増加した。

 しかし、育休や産休の制度は未整備のままであったり、世代間の価値観の違いから育休や産休に対して風当たりが強かったりと女性の社会進出が浸透しにくい現状だった。

  1980年代にアメリカで始まったといわれるワークライフバランスという概念は、もともと子育てをする女性の社会進出を促進するためのもの。


 90年代に入ると日本にも浸透し、子どものいない女性や男性にとっても重要な考え方であると捉えられるようになった。

 現在、ワークライフバランスの推進は国レベルで進められており
、内閣府は2007年に「ワークライフバランス憲章」を策定して毎年レポートを発表。

 国だけでなく、都道府県や市町村単位でも独自のサイトを設けたり、表彰制度を取り入れたりするなど力を入れている。

 こうした風潮の中で、ワークライフバランスはどの企業も取り組むべき課題の一つになっているのだ。

「ワークライフバランス」背景

  • ①社会的なニーズ
  • ②就業環境の変化
  • ③長時間労働問題の解決策
  • ④女性の社会進出や景気の変化

ワークライフバランスを重視する企業の取組事例

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 ワークライフバランスへの企業の取り組み方は、企業それぞれの持つ問題点や事情によってさまざまだ。大きくまとめると次のようになる。

「ワークライフバランス」取り組み①:質を重視した業務価値の浸透

 先述の通り、80年代までは「どれだけ長い時間を仕事に割けるか」が重視されていたが、現在では「限られた時間の中で仕事の質を上げる」という考え方へと変化した。

 長時間労働による自殺事件を発端に、長時間労働に対する規制はさらに強まっている。

「ワークライフバランス」取り組み②:残業の禁止

 残業そのものを禁止するというのが「ワークライフバランス」を維持する上で、もっとも効果的な取り組みだといえる。

 定時退社をルール化したり、残業をしたい場合は事前申請制にしたりするなど、企業によってさまざまな取り組みが伺える。


 また、定時でオフィスを消灯したりパソコンをシャットダウンするといった例もあり、ルール化だけでなく物理的に残業を禁止する動きがあるようだ。

「ワークライフバランス」取り組み③:長時間労働の削減

 求められる労働のあり方が「長時間」から「効率」へ重視されるようになったことで、労働時間も見直されることになった。

 始業・終業時間を自由に決められる「フレックスタイム制度」や、「短時間勤務」などが挙げられる。

「ワークライフバランス」取り組み④:産休育休・有給休暇を取得しやすい環境づくり

 長時間労働が重視されてきた日本では、「休みがとりづらい」というのがそもそもの現状であった。

 エクスペディア・ジャパンが発表した「世界28カ国の有給休暇消化率ランキング」によれば、日本は50%で最下位。依然として低い状況である。

 近年はその世界的水準の低さや長時間労働の規制が強化していることも相まって、休暇取得に対する取り組みが多様化しているのだ。

 共働きが増加する中で、男性も育児休暇を取得できる環境づくりが進められている。

 退職した場合であっても育児が落ち着いた頃に復帰できる再雇用制度や、休職中でもSNSなどのインフラを通じて職場の状況を共有できることなどが挙げられる。

「ワークライフバランス」取り組み⑤:有給休暇の取得促進

 有給休暇の取得率を上げるために、管理職に就く者が率先して取得することで有給休暇を取りやすくしたり、「有給は消化しなければならない」という厳格なルールを設けたりする例がある。

 有給休暇を取らなかった場合、その理由を報告しなければならないといった例も存在し、上司部下関わらず有給休暇を取らせる動きが当たり前になってきた。


「ワークライフバランス」取り組み⑥:その他の休暇取得


 一般的な有給休暇だけでなく、誕生日やさまざまな記念日、家族でのイベントのために休暇を取得できる制度がある

 配偶者の出産に立ち会うための休暇など、ユニークな制度を設けている企業も数多くあり、まさにワークライフバランスのライフの充実を優先した制度である。

「ワークライフバランス」取り組み⑦:育児・介護支援への取り組み

 法定では子供が1歳になるまでの間に育児休暇を取得することができるが、それだけでなく子育て全体を支援する動きも広まっている

 また、両親の介護のための支援も存在する。そして、休暇取得だけでなく、サービスの補助や手当などの経済的に支援する動きもあるのだ。

 育児・介護支援の取り組みとして挙げられるのは、事業所内に保育所そのものを開設したり、託児・ホームヘルパーなどのサービス補助のほか、保育料や介護料の経済的支援などである。


ワークライフバランスを重視する企業の具体的な取り組み例(2018年版)

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 ワークライフバランスそのものの取り組みについて、具体例をいくつか紹介していこう。

 ここでは、2018年に行われた「ワークライフバランスフェスタ東京2018」に出展された企業を中心に取り上げる。

【ワークライフバランス事例①】ライフスタイルに合わせた勤務制度で理想的な働き方を実現

 「従業員は会社の財産」を理念とした株式会社クレストコンサルティング

 女性の出産・育児だけでなく近年問題になっている“介護”にも目を向け、フレキシブルな勤務体制を実現した。

 こちらの企業では、勤務時間をフレキシブルに対応させることが可能。

 自分のライフスタイルも積極的に取り組むことができて、ワークライフバランスに近づけることができるようになっている。

ワークライフバランスの取り組み事例①<内容>【株式会社クレストコンサルティング】

  • ①時間外勤務・休日出勤の事前申請制
  • ②在宅勤務(テレワーク)制度
  • ③ライフスタイルに合わせて15分単位で調整可能な勤務制度
  • ④育児や介護と仕事の両立に関する社内研修の実施
  • ⑤子どもの看護休暇、介護休暇の取得単位の変更
  • ⑥産育休に入る従業員に対する休業前~復帰後のサポートを開始
  • ⑦育児による時短勤務の可能期間を延長

ワークライフバランスの取り組み事例①<効果>【株式会社クレストコンサルティング】

  • 残業の事前申請にすることで、残業が年間3分の1に
  • 柔軟な勤務時間の変更により、育児などにも積極的になり生活が充実
  • テレワークが可能なことで、育児で在宅しなければならない場合や出先での勤務ができ仕事が滞ることなくできる
  • 女性の活躍の場が増え、女性管理職が誕生

【参考】株式会社クレストコンサルティング資料

【ワークライフバランス事例②】保育士業界では珍しいノー残業で従業員の育休復職を支援

 かなりの精神力と体力を要する保育士が、少しでもストレスをかけず保育に集中して取り組めるように就業環境を整備する「一般財団法人 損保ジャパン日本興亜スマイルキッズ」。

 こちらの事例では保育以外の雑務の効率化を計り、長時間労働を防いだ。また、出産・育児後の復職をする際には面談をするなどケアがしっかりしている。

 また、保育士とは密にコミュニーケーションを取り、勤務条件などが保育士自身の家庭事情と合っているかを常に確認。

 ライフスタイルに合わせた働き方を行えるように管理部門が協力することで、過酷な環境になることを防いでいることがわかる。

ワークライフバランスの取り組み事例②<内容>【一般財団法人 損保ジャパン日本興亜スマイルキッズ】

  • ①周辺業務の効率化と隙間時間の活用により、長時間労働を抑制
  • ②産育休中の社員とのコミュニケーションの構築
  • ③復職前の「復職面談シート」による対話の実施
  • ④復職後、職員会議(夕方開催)参加の間お子さんをお預かり
  • ⑤毎月のシフト勤務希望の聴取や勤務変更希望に柔軟に対応

ワークライフバランスの取り組み事例②<内容>【一般財団法人 損保ジャパン日本興亜スマイルキッズ】

  • 密なコミュニケーションにより、急な欠勤となってもトラブルが生じにくい
  • 育児にも専念できる環境

【参考】一般財団法人 損保ジャパン日本興亜スマイルキッズ資料

ワークライフバランスの充実に向けてはさまざまな課題も

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 推進が促されている「ワークライフバランス」だが、企業は多くの課題も抱えている。

 とりわけ、世代間の価値観の違いから生じる認識の差異や、生産性の問題などが挙げられるであろう。

 それぞれの企業が抱える問題点を解決するだけでなく、社会全体で理解を深め、積極的な取り組みを行なう潮流を作ることも重要だ。

ワークライフバランス施策における課題①:「マタハラ」への対処

 ワークライフバランスが女性の社会進出をうながしたことで、育児休暇に積極的に取り組む企業は多くはなっているものの、妊娠・出産をきっかけに女性が不当な扱いを受ける「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」は後を絶たない。

 世代間や男女間の価値観を双方理解することはもちろん、女性を積極的に管理職起用することなどが対処のカギとなりそうだ。

ワークライフバランス施策における課題②:生産性の向上

 ワークライフバランスを推進させるためには、生産性に対する配慮が欠かせない。


休暇などに対するさまざまな働きかけを推進しすぎてしまうと、労働生産性そのものが低下しかねないためだ。

 代替となる労働力の確保はもちろん、在宅勤務や短時間出勤など「新たな働き方」を取り入れることや、「誰が休んでも対応できるような環境づくり」が生産性向上のために必要不可欠である。
【ワークライフバランス重視】転職時に再確認する「ワークライフバランス」の定義と企業の取り組み 7番目の画像

 本記事で取り上げたワークライフバランスの事例はほんの一部にすぎない。

 日本経済団体連合会(経団連)のWebサイトでは、各企業ごとにワークライフバランスへの具体的な取り組み状況を詳細に見ることができるため、ぜひチェックしていただきたい。

 ワークライフバランスを推進する取り組みが形骸化しないために重要なことは、ただ策定するだけでなく、企業・社会全体が現代の価値観の多様化に機敏に反応し、仕事と生活のどちらも充実させるという意識を持つことが重要だ。

 転職にあたって企業研究を行う際は、この「ワークライフバランス」がきちんと実現されているかも踏まえた情報収集をすることが望ましいだろう。

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