1. 「ビューティフル・デイ」右手にハンマー左手に鎮静剤を持った必殺仕事人演じるホアキン・フェニックスがやばい!

「ビューティフル・デイ」右手にハンマー左手に鎮静剤を持った必殺仕事人演じるホアキン・フェニックスがやばい!

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 クライム・サスペンスはジャンル映画の中でも特に人気が高い。

 主人公が巻き込まれる怪事件の背後から、闇の世界に棲む魑魅魍魎が次々浮かび上がる恐怖の連鎖と、なかなか解き明かされない謎の究明が、終映直前まで観客の好奇心を捉えて離さないからだ。

 来月早々公開される「ビューティフル・デイ」も一応クライム・サスペンスに属するけれど、作品のテイストはもっと複雑で魅力的。

 ホアキン・フェニックス扮する元軍人で、今は行方不明者の捜索を生業にする主人公のジョーが、失踪した少女の行方を追っていく過程で、事件の裏側に潜む人間の薄汚れた素顔が露わになっていく。

性格俳優トップ、ホアキン・フェニックスがノリノリで主人公を演じる

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 しかし、本作の場合、まず、ジョーの人物像が定形外だ。幼少期に受けた虐待と戦場での体験に起因する心理的外傷、さらにFBI捜査官時代(こんな仕事もしていたのだ)に見た地獄絵の残像に苦しめられているジョーは、さらに自殺願望の持ち主でもある。

 幾度となく自ら命を絶とうとして絶てないジョーは、常用する睡眠薬の効果で朦朧としながらも、失踪事件の黒幕が派遣したと思しき刺客たちを、愛用のハンマーで確実に叩き殺していく。

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 右手にハンマーを持ち、左手に持った鎮静剤(多分)を半殺し状態の刺客の口に突っ込み、事件の手掛かりをゲロさせるなんて、クライム・サスペンスのヒーローとしては捻れすぎていないか?

 そんな型破りなアウトローを、今やハリウッド最強のキャラクターアクター(性格俳優)へと上り詰めたホアキン・フェニックスが、ノリノリで演じている姿を堪能できるのは、まさに映画ファンの至福。

 ちゃんと覚醒しているのかしていないのかあやふやなジョーが、身の危険を感じた瞬間、沸点に達してハンマーを振り下ろすシーンの爽快さと可笑しさは、混沌とした物語の刺激剤にもなっているのだ。武器がハンマーだから、殺戮シーンの痛さと流血度は推して知るべしである。

そのホアキンより上手の脚本と演出に唸る!!

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 結果、ホアキンには昨年のカンヌ映画祭で男優賞が授与された。

 しかし、そのホアキンより凄いのが、同映画祭で脚本賞に輝いた監督、リン・ラムジーの描写力。

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 ジョーの記憶に浮かんでは消える過去と、血みどろの捜索が展開する現在、そして、同じくジョーが頻繁に垣間見る幻覚と現実を、各々何の区別もなく画面に共存させるラムジーの演出は、やがて観客に“ある疑念”を抱かせる。もしかして、これは単なるクライム・サスペンスではなく、全く別ジャンルに属する作品ではないか?という疑念を。

 ラムジーは前作「少年は残酷な弓を射る」(2011年)でモンスターチャイルドのその母親の格闘の日々を描きながら、表面上では察知できない子供の本心を連想させる巧みな演出で世界中を唸らせた人。そんな監督の最新作が「ビューティフル・デイ」なのである。

【作品情報】
「ビューティフル・デイ」
6月1日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:クロックワークス
公式サイト:http://beautifulday-movie.com/
©Why Not Productions, Channel Four Television Corporation, and The British Film Institute 2017. All Rights Reserved.
©Alison Cohen Rosa / Why Not Productions
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