1. Snapchat創業者エヴァン・シュピーゲルが卒業生に贈った「お金よりも価値があるものを見つけ出す」方法

Snapchat創業者エヴァン・シュピーゲルが卒業生に贈った「お金よりも価値があるものを見つけ出す」方法

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 一世を風靡したSNSアプリ、Snapchat(スナップチャット)。Statistaによると、2017年第4四半期において、Snapchatのデイリーアクティブユーザーは1億8,700万人である。

 Snapchatの快進撃を目撃して、当時のGoogle社は300億ドルでの買収を試みた。しかしなんと、Snap社のCEO、エヴァン・シュピーゲル氏はオファーを断ったのだ。2015年、同氏は、南カリフォルニア大学マーシャル経営大学院の卒業式スピーチを務めた。

彼は「Snapchatがお金よりも価値があること」、「同調圧力に反抗する大切さ」、そして「次世代に自分が作ったものを消させること」について話す。以下がその書き起こしである。

エヴァン・シュピーゲル氏の卒業式スピーチ

エヴァン・シュピーゲル氏:エリス学部長、賓客たち、家族と友人、そして卒業生のみなさん、このような機会をいただき、感無量です。卒業式に招いてくださり誠にありがとうございます。

3年前だったらこのような機会、想像すらつきませんでした。本当に、本当に、ありがとうございます。

同調圧力は自由を奪う看守であり、成長を阻む敵

エヴァン・シュピーゲル氏:およそ3年前の今日、私はあなた方と同じところにいました。パイプ椅子に座り、卒業式キャップとガウンを着用。今に壇上に呼ばれるのを待っていました。

しかし、当時の私は卒業しません。握手をし、写真撮影が行われたとき、私は空のクリアファイルを渡されます。スタンフォード大学には卒業単位未修了でも、卒業式の“ウォークスルー”を認める制度があります。つまり、卒業するフリができるのです。

これは、夏期に単位を取り終える生徒たちに用意した大学側の配慮です。とはいえ、私は卒業できないのがただただ恥ずかしく、周りに取り残されたくないためにこの制度を利用しました。

他にどうすればよかったというのでしょう。学友たちが会場へ向かい、帽子を投げている間、寮室に待機する? そんなことはありえませんでした。

そういうわけで、炎天下の中、コーリー・ブッカー氏の長いスピーチを拝聴し、卒業「しない」私を見るために、遠方から来た両親に手を振りました。

この茶番がとてつもなくヘンテコであることに気づいたのは、本日のスピーチを準備していたときです。我々は奇異の目で見られないために、しばしば馬鹿げた真似をします。

「同調」が自然すぎるゆえに、その力を忘れてしまいます。同輩に認められたいのです。これは、本能的なことです。

しかし、我々を「人間」たらしめるのは、魂のささやきに耳を傾けて、別方向へ身をゆだねるときです。

同調の不思議さと普及具合から、かなり長い期間にわたって研究されてきました。結果、集団で同調意識を劇的に減らす2つの方法がわかりました。

まずは異議を唱えること。2つ目はメンバー内の人と個人的に話合いをすることです。同調圧力を緩和するために、政府は「表現の自由」を設けました。

民主主義は、一般化した思想を強要する目的で誕生したわけではありません。反対意見を保護するために設けられたのです。ケネディ元大統領が仰ったとおり、「同調圧力は自由を奪う看守であり、成長を阻む敵である」です。

次世代に譲ることが重要

エヴァン・シュピーゲル氏:最近、アメリカ芸術の名作の秘話が大好きになりました。というのも、ロバート・ラウシェンバーグ氏の作品についてです。

青年期、ラウシェンバーグ氏は崇拝している芸術家であるウィレム・デ・クーニング氏を訪ねました。彼はジャックダニエルを片手に持ち、ひどく緊張していました。彼には「クーニング氏の作品を譲ってもらう」という目的があったのです。クーニング氏は、それを察していました。

若き芸術家は「自分で絵画を創造し、消す」という研究をしていたのです。しかし、自分のだけでは飽き足らず、彼は崇拝するアーティストの絵を消したかったのです。

クーニング氏は悩んだ末、承諾しました。青年は絵画を選ぶためにウロウロしている間、苦しみました。お気に入りの作品を選びたかったのです。

絵を選出する中、特に消去が困難なものを見つけました。木炭と黒鉛で描かれた絵です。クーニング氏は青年に絵画を譲りました。

ラウシェンバーグ氏によると、絵を消すのに約2ヵ月かかったそうです。

この作品を額縁に収め、『消えたクリーニング(Erased de Kooning)』と名付けたのはジャスパー・ジョーンズ氏。ラウシェンバーグ氏がクーニング氏の作品を消す過程において、斬新で独自性のある芸術を生み出したことを、彼は見逃しませんでした。

このエピソードの美点はウィリアム・デ・クーニング氏が謙虚にも、「次世代のためにできる最善の行動は、最高の基盤を譲ることだ」と気がついた点です。我々も彼のように、創出したものが消去されることを、快諾しなければなりません。




お金よりも価値のあるもの

エヴァン・シュピーゲル氏:よくこのような質問をされます。「なぜSnapchatを売却しなかったんだ? Snapchatは一時的なブームにすぎないのに。高いボートを買うことだってできたんだぞ。金持ちはボートが好きだろう? 一体なにを考えていたの?」

今になって、真に大切なものを確かめる最速の方法は、買収目的でお金を積まれることだ、と私は確信しています。一番すばらしいのは売ろうが売るまいが、自分自身について非常に大事なことを学べる、という点。

売却した瞬間、真に大切ではなかったことがわかり、逆に売却しなければ、自分にとって価値があることがわかります。有意義なことへの手がかりをつかめたかもしれないのです。

売却しても、悪く感じることはありません。ただし、そこで終わってはいけませんよ。

最初に起業した会社でしたら、間違いなく譲っていたでしょう。しかし、誰も欲しなかったのです。「売却しない」という結論を出したとき、ビジネスパーソンたちは私たちを“クレイジー”以外の言葉でののしりました。“傲慢”や“お偉いさん”とね。

これらは我々の世代を表す形容詞として、耳なじみのある単語です。“ミレ二アル世代”。“自己中心世代”です。まあ、あまり間違ってはいませんけど。

たしかに、我々には権利意識や当事者意識があります。なぜなら、我々世代が生まれたのはこの世界ですし、責任がありますから。

『消えたクーニング』は興味深いことに、非売品です。現在もサンフランシスコ近代美術館で、無事保管されています。ものすごく価値があるのに、価格がつけられていないのです。

卒業生へのメッセージ

エヴァン・シュピーゲル氏:夢を追求するのに必要なすべてのことは、あなた方の中にすでに備わっています。行き詰まったら、情報はインターネット上にいくらでもあります。

“今”と“将来”の自分に希望を持ちましょう。

周りやあなた自身が求めるすべての成長は、あなたなら達成できるはずです。あなたは前途にあるすべての挑戦に臨むことでしょう。仮にそうしなくても、努力不足ではありません。

批判はあなたを常に取り巻くでしょう。どれだけ頑張っても周りは満足しません。だからこそ、真に大切なものを探しましょう。愛せるものを見つけましょう。

この先、たくさんの過ちを犯すことになるでしょう。私自身、数え切れないほどの失敗をしてきました。ときには公共の場で。ひどく落ち込むでしょうが、大丈夫です。乗り越えられるときがいつか来ます。できるだけ早い段階で謝罪し、許しを乞いましょう。

卒業後、あなた方の多くは「就職」という大きな挑戦に直面します。答えがない事柄を解決するのには骨が折れるでしょう。打ちひしがれたとき、「たった1人では世界を変えられない」という皮肉屋の言葉を真に受けることもあると思います。自分の価値を見失うこともあるでしょう。

どうか自分自身の努力がどのような影響を及ぼすかなんて、知るすべがないことを覚えておいてください。それは、神のみぞ知ることなのです。

同調圧力を否定し、次世代のために制作物を消去することを予期し、お金以上に大切なものを見つけ出してください。

卒業生のみなさん、おめでとうございます! 頑張ってください!

(会場拍手)

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