1. eBay創設者ピエール・オミダイア「インターネットは本質的に世界を変えていない」その理由を語る

eBay創設者ピエール・オミダイア「インターネットは本質的に世界を変えていない」その理由を語る

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by OnInnovation

 世界最多のユーザーを誇るインターネットオークションサービス、eBay。Statistaによると、eBayのアクティブユーザーは2017年時点で1.7億名にものぼる。

 eBayは日本にも進出していた。しかし、Yahoo!オークションなどの人気に打ち勝てず、普及しなかったのだ。

 世界最多のユーザーを抱えるインターネットオークションサービスeBayの創始者は、ピエール・オミダイア氏である。彼は非営利団体、アカデミー・オブ・アチーブメントで「eBayのビジョン」と「インターネットが本質的に世界を変えていない理由」について過去に語っている。

 なお、映像は意欲的な若年起業家を応援するCorporate Valley社の提供。

インターネットが本質的に世界を変えていない理由

※00:43-13:17より抜粋

ピエール・オミダイア氏:「インターネットはすべてを変える」と業界の同業者たちは言います。

特に数年前、インターネットによって会社の価値が塗り替えられる、と大半が主張していました。

しかし、必ずしも正しくない、と私は思います。

インターネットはすべてを変えているのと同時に、何も変えていません。というのも、インターネットやWebサービスのユーザーたちは、現実に存在する、熱意を持つ人々だからです。

さて、私がeBayを創設した理由と背景にある理念を手短に話しましょう。

eBayの理念

ピエール・オミダイア氏:私がeBayを創設したのは、個人個人が効率的にビジネスをする場を設けたかったためです。eBay以前、Webサービス事業、特にeコマースに携わる人々は、より多くの顧客への販売に力を入れていました。ただ、企業収益を増やそう、という目的で。

私の目的は、一般人が公平な立場で参加し、利益を得られる効率的市場をつくることでした。eBayがりようしたのは、グローバルなコミュニケーション媒体である、インターネットの新鮮さです。前代未聞のスケールで、双方向性のあるマスコミュニケーションを可能にしたのです。

一部の人々は、eBayを「人民の人民による人民のためのサービス」と表現しました。

eBayを成功に導いたのは私である、と認識されつつありますが、私が特別なにかをしたわけではないのです。

私がしたのは個人個人が情熱を発信し、同じ熱意を持つ人とマッチングできるような土台を築き、サービスに招いて、ビジネスを促しただけです。

現在では、おおよそ2,000万人近くのユーザーたちがeBayに存在します。毎日1,500万ドル相当の取引、つまり、年間50億ドルのビジネスがグローバルスケールで行われているのです。過去数年で、サービス範囲をヨーロッパ国々及び国際的な取引へと展開しました。

ビジネスの未来はeBayのようなサービスにある、と私は信じています。どんな言語を話していても、どこに住んでいてもと有益な市場に参加できる、唯一の国際トレードコミュニティーをつくることが、私のビジョンでした。

つまり、消費者が生産者になれるような場です。

以上が大まかな説明です。ここからは質問タイムに移りたいと思います。

Q&Aパート

基本的に人は善

質問者:会員登録をしていないユーザーたちがどのようにeBayを使い、詐欺行為や不正行為を起こしたとき、どのような責任を負うのか教えてください。

ピエール・オミダイア氏:私はeBay社を「基本的に人は善」という考えをもとにつくりました。会場にいる皆さんを見ていても同じことが言えますが、社会において不正や有害因子の確率は極めて低いです。eBayでも、統計的に証明されたことです。

99.999%の取引がトラブルなく執行されます。残念ながら、100万中約30件の不正行為が報告され、対応することはありますが。

さて、効率的市場と、責任者という概念について話しましょう。

参加者の顔が知れている、というのは効率的市場の必須条件です。特に黎明期、インターネットは「匿名の場」として考えられていました。俗にいう、「インターネットでは、相手が犬でもわかりはしない」です。しかし、eBayには当てはまらない言葉です。

eBayの目的は、個人間の取引のマッチングをすること。取引を実現するには、お互いを知る必要があります。つまり、匿名の参加は認めていません。無登録の状態で取引に参加する、というあなたの発言は誤りです。常に脅威であるシステム外からの侵入でない限り。

したがって、質問に対して私の大まかな回答は、「基本的に人は善、という考えを抱いて会社をつくりなさい」です。

eBay社を創設するときに事業計画書を書き、フィードバックを得たとしたら、「不可能だ。インターネット上で他人同士が取引をするだって? バカいえ」と言われたでしょう。実際、起業したあとに苦言を呈されたことがあります。

自分のアイデアを追求しているときは、躊躇せず実行することを強くお勧めします。たとえ自分よりも経験豊富な人物から批判されても、ご自身の野心やイノベーションをあきらめてはいけません。

ユーザー自警のシステム構築

質問者:先日Washington Post誌で、選挙が近くなると投票権を売る人が出てくる、という報告がありました。そこで、eBay上で不正な販売物を管理するメカニズムがどう開発されたか教えてください。

ピエール・オミダイア氏:繰り返し申し上げますが、創設時の考えは「人は基本的に善」です。まず、取引者内でお互いのフィードバックを奨励する書き込み欄をつくりました。のちに、自警システムとなります。

狙いは、コミュニティに参加する人が規範に反していたら、コミュニティは不正をあばき、はじき出します。自警システムは、eBayではなく、コミュニティに頼ったものです。

駆け出しの日から、インターネット上であっても、ユーザーは現実世界の住人であることを忘れないように、と警告し続けてきました。

「インターネットはすべてを変える」と言われたとき、新しい技術である点で部分的には正解ですが、部分的に間違えです。理由はユーザーが現実にいることにあります。すべてが変わるわけではないのです。人間の行動規範も、接し方も変わりません。

ちなみに、投票権が販売されていたのはeBayではありませんよ。

しかし、インターネット上で起こるトラブルの大半は、eBayが関係していることも事実です。多くの良いこともですが。

私たちの見方は、善悪の教育と自己防衛するツールをユーザーに提供するのが、我々の義務であることです。「eBayが安全な取引の場を提供している」とは勘違いしてほしくないです。

現実問題、ロンドンは居住地として最高ですが、犯罪が起きることもあります。eBayもまた、他のコミュニティとまったく一緒です。

大部分では良いコミュニティで、良いことが発生していますが、悪いことも起きます。自己防衛する唯一の方法は、個人が責任を持つことである、と強調してきました。

これからも積極的に安全なコミュニティづくりに励みたいと思っています。しかし、我々の対策に加えて、責任感をもって取引を行うことを強く奨励しております。

コミュニティの大切さを再認識すること

質問者:私の質問は企業ではなく、あなたについてです。資産の1%以外をあるプロジェクトに手放す予定であるとおっしゃっていましたが、どのような企業を対象にしていますか。また、どのような基準を設けていますか。

ピエール・オミダイア氏:うれしいことに、我々は多きな市場価値を短期間でつくり、たくさんの株主がつきました。このように新しく、急速に得た財産は正しく使う義務がある、と感じております。

基金の使い道として重視しているのは、eBayから学んだ教訓です。というのも、抽象的ですが、人々の人生においてコミュニティの大切さと恩恵を再発見するようを促すことです。

eBayの体験から知ったのは、だれもが共通の興味から発展するコミュニケーションや人間関係に渇望している、ということです。これまでに、「eBayが人間への希望を取り戻してくれた」や「eBayで親友と出会った」、「eBayのおかげで結婚相手と出会えた」という旨のメッセージが、何千通も届きました。

普遍的ではありませんが、特別な何かが起きているのです。

共通興味を持つ人同士にコミュニケーションツールを与えれば、どのような国、階級出身であろうと、同じ人間であることに気づくのです。

したがって、私が社会奉仕として提供したいのは、コミュニティの大切さの再認識へのサポートです。

特にアメリカでは、この感覚が失われてしまったように思えます。個人がコミュニティにいて、コミュニティに属することに責任を持つのは、ヨーロッパ人にとってなじみのある感覚です。

しかし、たくさんの理由で、アメリカでは多くの人口が孤立し、隣人に話すことさえままならないケースも出てきています。しかし本心では、コミュニティに属したいのです。

ゆえに必要なのは、この気持ちをよみがえらせることです。私の使命です。

私と妻はまだ若く33歳(現51歳)です。取り組むには、少なくとも50年はあります。一生の探求となることでしょう。

以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)

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