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ディズニー╱ピクサー最新作「リメンバー・ミー」はかつてないほど日本人フレンドリー!

清藤秀人

2018/02/27(最終更新日:2018/02/27)


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ディズニー╱ピクサー最新作「リメンバー・ミー」はかつてないほど日本人フレンドリー! 1番目の画像

 常に設定の奇抜さと最新鋭の視覚効果を駆使した斬新なビジュアルで進化を遂げてきたディズニー╱ピクサーのアニメーション。彼らの弛まぬ努力は最新作「リメンバー・ミー」でまたも前作超えを達成している。

 まずは、設定。舞台はメキシコのとある町。天才的な少年ギタリスト、ミゲルは同じ町出身の伝説的シンガー、デラクルスに憧れているが、ミゲル一家では過去に起きた悲劇をきっかけに、なぜか家族内で音楽を聴くことも、奏でることも禁止されていた。

少年ミゲルは突如、死者の国へとワープ!!

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 あちこちからアリアッチが聞こえて来る温かく、のどかなメキシコで、平和な一家を覆う謎に包まれた過去の記憶。このミスマッチな出だしから、早くも観客の心を掴み取るディズニー╱ピクサーのストーリーテラーぶりが際立つ。しかし、驚くのはまだ早い。

 やがて訪れる、メキシコの人々が先祖の魂を迎える年に一度の祝祭、死者の日。お祭りで賑わう町に飛び出したミゲルは、デラクルスのお墓に忍び込んで得意のギターを爪弾いた瞬間、突如時間の渦に巻き込まれ、気がつけば、何と彼は死者の国にワープしていた!

 そうして、ミゲルは亡き先祖たちが楽しく暮らす黄泉の世界で、家族が頑なに口をつぐんできた出来事の真実と向かい合い、そこでもカリスマ・ミュージシャンとして華々しく活躍するデラクルスと出会うことになる。

天国、そして“三途の川”、これってかなり日本人的!

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 さて、特筆すべきはそのビジュアル。ブルーからピンクまでのグラデーションで描かれた死者の国は、窓の灯りや花火など、細部にまで神経が行き届いたアニメーターたちの手作業によるもの。

 彼らがイメージソースにしたのは、ユネスコの世界遺産に登録されているメキシコの州都、グアナフアト。実物は映画で描かれている以上にカラフルで、ロサンゼルスから飛行機でたった3時間の場所に実在すること自体が信じられないほどだ。

 また、死者の国へと通じるマリーゴールドの花びらでできたオレンジ色に輝く幻想的な橋は、さながら“三途の川”のよう。そう、死者の魂を迎え入れるという“お盆”とそっくりな風習も含めて、最新作は未だかつてないほど日本人フレンドリー。

 天国に住む家族たちに日々思いを馳せる同じ死生観を、メキシコ人と日本人が共有しているというのも嬉しいが、それを新たなテーマに選んだディズニー╱ピクサーの着眼点の良さにも敬服する。

作品はアカデミー賞でも最有力

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 音楽の楽しさと漂うユーモアはいつも通りにハイレベル。

 死者の国の住人は全員、グロテスクなガイコツというブラックジョークを筆頭に、ミゲルの旅に密着する相棒のメキシカン・ヘアレスドッグ、ダンテのコメディリリーフぶり、そして、ミゲルの十八番で、来る第90回アカデミー主題歌賞にノミネートされているメインテーマ、“リメンバー・ミー”の聴き心地の良さは格別だ。本作は長編アニメーション部門の大本命でもある。

 何よりも、隣国メキシコの文化に敬意を表した作品のコンセプト自体に意味があるように思う。それは、壁を作って他者を排除しようとする現政権とは真逆の、エンターテイメントによる友好の架け橋と取れなくもないからだ。

 まあ、そんな理屈はさておき、この春、テーマ的にも視覚的にも絶対に観て損はない日本人向きハリウッドアニメ「リメンバー・ミー」に注目してほしい。

ディズニー╱ピクサー最新作「リメンバー・ミー」はかつてないほど日本人フレンドリー! 5番目の画像

【作品情報】
「リメンバー・ミー」同時上映「アナと雪の女王/家族の思い出」
3月16日(金)公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
©2018 Disney. All Rights Reserved.

  


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