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石野純也のモバイル活用術:ソフトバンクがLINEモバイルを傘下に収めた狙い

石野純也

2018/02/18(最終更新日:2018/02/18)


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 ほどほどの低料金と豊富な端末ラインナップ、大手キャリアと肩を並べる店舗展開がユーザーから評価され、勢いづくワイモバイル。

 いわゆる格安スマホは、回線を開放することが義務づけられていたNTTドコモを使うMVNOが多かったが、ソフトバンクのサブブランド戦略が功を奏し、形勢が逆転した格好だ。そのソフトバンクが、新たなサブブランドを増やしていく。

 同社が51%の株式を取得し、傘下に収めたのが、LINEの100%子会社であるLINEモバイルだ。

 LINEモバイルは、NTTドコモ回線を使うMVNOとして、2016年9月にスタート。当初はオンラインのみでの受付だったが、2017年には家電量販店にカウンターを設けるなど、販路を広げている。LINEモバイル最大の特徴は、LINEやTwitter、Facebookなどとの通信を使用量から除外する「カウントフリー」にある。

ソフトバンクが51%の株式を取得しLINEモバイルを傘下に

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 料金プランもシンプルで、カウントフリー対象を3つの中から選び、その他のサービスで使う容量を選ぶだけ。

 LINE、Facebook、Twitter、Instagramが対象になるコミュニケーションフリープランと、ストリーミング音楽サービスのLINE MUSICが含まれるMUSIC+プランは、3GB、5GB、7GB、10GBの4つから容量を選択できる。LINEならではの特徴としては、これまでMVNOでは不可能だった、LINEの年齢認証も可能になる。

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特定のサービスが通信料無料になるカウントフリーを特徴としていた

 こうした料金プランなどが受け、各種満足度調査では、上位に名を連ねる常連になっていた。MVNOとしては後発だったが、ユーザー数も徐々に増えていたという。

 一方で、早くから展開していたMVNOとは、規模で大きな差がついていた。薄利多売になりがちなMVNOは、100万回線以上のユーザー基盤がないと大きな利益を出すのが難しいといわれる中、“次の一手”が求められたいた。

 このLINEモバイルに、ソフトバンクがソフトバンクやワイモバイルで培ってきた、マーケティングや端末調達のノウハウが注入される。

 ソフトバンクの宮内謙社長によると、「LINEではインターネットでの顧客を増やしたいと思っているが、我々はAndroid Oneを独占的にやっていたりと、性能がよくて安い端末がある。マーケティング的にも一緒にやっていける」という。

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ソフトバンクは端末調達やマーケティングのノウハウを提供する

 MVNOはSIMフリースマートフォンをメーカーから調達して販売することが一般的だが、結果として、どの会社も並ぶ端末は横並びになりがちだ。ここに、ソフトバンクの調達力を活かせれば、他社にない独自の端末を並べられるようになる。ワイモバイル用に開発したAndroid Oneや、型落ちになったiPhoneをLINEモバイルで販売する可能性もありそうだ。

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ワイモバイルが半独占的に手掛けるAndroid Oneを、LINEモバイルが導入する可能性も高い

 ソフトバンクにとっては2つ目のサブブランドを持つことになるが、宮内氏は「3つ目のポジションを(LINEモバイルと)一緒に作っていける」と自信をのぞかせる。

 上で述べたように、LINEモバイルににはカウントフリーという特徴があるうえに、価格もワイモバイルよりは一段安い。一方で、販路はインターネットが中心。51%の出資には、ワイモバイルと競合する部分が少ないという判断があったことがうかがえる。

 現状、LINEモバイルはNTTドコモから回線を借りているが、ソフトバンクの傘下になれば、これも変わっていくはずだ。

 利用中のユーザーの回線が強制的に切り替えられるということにはならない見込みだが、複数のキャリアから回線を借りるMVNOのように、ソフトバンク回線を使ったプランが登場する可能性は高い。

 ソフトバンクも競合であるNTTドコモの回線数を増やそうとは考えていないため、将来的には、その新プランがメインになっていくはずだ。


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