外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンが、日本・マレーシア・シンガポール・香港・中国の3000社の従業員を対象に「ワークライフバランス」について意識調査を行った結果、日本が随一に悪いことが判明した。
実際、日本での労働時間は、世界でも話題になっている。“Karoshi(過労死)”とウィキペディアの英語記事ができてしまうほどだ。
Summit Series(サミット・シリーズ)社は、若き起業家、芸術家、活動家に向けて、討論会や講演会を開催するイベント会社。2017年11月4日の“Summit LA17”のプログラムには、Amazon社のジェフ・ベゾス氏と、弟マーク・ベゾス氏を招いた。
そこで、弟マーク・ベゾス氏は、兄に「ワークライフバランス」について質問したのである。世界で最も成功した起業家の1人であるジェフ・ベゾス氏は、「問題は、労働時間ではない」と語った。
「ワークライフハーモニー」
マーク・ベゾス氏:みんなが悩む「ワークライフバランス」について、どうやって解決した? 君はすごく忙しいだろうに、どうやってバランスを保っているの?
ジェフ・ベゾス氏:これについては、よく質問されるよ。専務取締役など、Amazonで指導者の地位についている人から、インターン生まで、実に多くの人に「ワークライフバランス」について、話をしている。
どんな立場の人間からも、「ワークライフバランス」について問われるんだ。
僕の意見を述べると、そもそも「ワークライフバランス」というフレーズが気に入らない。この表現は、誤解を招く。
より適切なのは「ワークライフハーモニー(仕事と私生活の調和)」という言い方。仕事に満足し、活気にあふれていているなら、そのプラス効果は、家庭の自分にも現れるはずだからね。
僕は、仕事のおかげでより良い夫、父親になれている。逆も然りで、家庭に満足していたら、より良い働き手、上司になれるよ。
たしかに、忙しい時期は、週に何時間も働くこともある。しかし、労働時間は本質的な問題ではない。
本質は、自分に活力があるか。つまり、仕事から活力を奪われているのか、仕事から活力を得ているのか、なんだ。
君たちにも、この2つのカテゴリーのいずれかに当てはまる知り合いがいるはずだよ。ミーティングを控えていて、会議室に従業員が入室してくる場面を想像してごらん。
ある人は、ミーティングに出席して、全体へ活力を加える。一方ある人は、出席すると、全体の士気を下げる。
後者の人々は、活力を奪うんだ。
自分がどちら側のタイプになりたいか、よく考えて。
マーク・ベゾス氏:家庭においても、同じことが言えるよね。
ジェフ・ベゾス氏:そうだね。仕事と家庭は、バランスというよりも、サイクルなんだ。
ワークライフバランス、という言い回しがはらむ危険性は、厳格なトレードオフ(どちらかの上昇には、一方の犠牲が伴う、という考え)を暗示しているところにある。
仕事から離れ、たくさんの時間を家族と過ごせたとしても、仕事状況にまったく意欲がなく、憂鬱になっていたら、家族たちは近寄りがたい。「休暇を取ったらいいのに」と家族は思うだろう。
だから、一番の問題は、労働時間ではないんだ。週100時間以上働かされて、病気になってしまったら話は別だけどね。
仕事と私生活の調和に、僕は問題を抱えたことがない。それは、どちらも僕に活力を与えてくれるからだ。
インターン生や役員たちには、このようにアドバイスしているよ。
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