1. 【書き起こし】「給与は開示すべき。さもないと市場が破滅する」作家デビッド・バーカスが警告する理由

【書き起こし】「給与は開示すべき。さもないと市場が破滅する」作家デビッド・バーカスが警告する理由

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 一般に現代社会では給料の話がタブー視されている。企業が一概に話し合うのを禁止しているわけではないが、やはりよほどの仲でも給与を教えることは少ないだろう。

 しかし、果たしてそれは得策なのだろうか? お互いの給与を知ることは、仮に他よりも少なかったら競争心が湧き、モチベーションアップにもつながる。

 少なくとも、「あの人は自分よりも給料をもらっている」という疑心をお互い持ちながら働くよりはよっぽど意欲につながるのではないか、と筆者は思う。

 ベストセラー作家、受賞歴のあるポッドキャスト配信者、大学の経営教授であるデビッド・バーカス氏は「給料をオープンに公開すべきだ」とTEDスピーチにて発言した。

 彼はそうしないことが市場の破滅へとつながる、とさえ警告したのである。

『同僚の給与を知るべき理由』

あなたは給料をどれだけもらっていますか? 声には出さないでくださいね。番号を思い浮かべてください。

では、隣の席に座っている人はどれだけ稼いでいるでしょうか? 繰り返し言いますが、口に出さないでくださいね。

(会場笑)

職場で、隣席の人がいくら給料をもらっていると思いますか? 知っているでしょうか。また、これは知らなければならないことなのでしょうか?

お気づきかもしれませんが、僕自身この質問をすることに少々抵抗を感じています。しかし、みなさんだって少し気になるでしょう。

多くの人は給料を公開することに抵抗を感じますよね。近隣住民に教えるものでもありませんですし、オフィスで席が近い人に教えるなんてもってのほか。

想定される理由は、全員がお互いの給料を知ったら悲惨なことが起きる、というものです。口論や喧嘩が勃発し、何名かは辞表を提出するかもしれません。

でも、秘密が対立の原因でしたらどうでしょう? その秘密主義を取っ払ったらどうなるのでしょうか。開示性が実際は社内の公平さと協調性を向上したらどうでしょう? 完全に給料を開示したらどうなるでしょうか?

ここ数年間、僕は従来の経営様式を疑う企業リーダー、起業家たちを観察してきました。やはり給料の問題はあがって、驚きの結果がでます。

給料の透明性

結論、給料の透明性――オープンに給料を社内で共有すること――は従業員と企業、両者にとってよい職場作りに貢献します。同僚たちと比べたときの自分の給与を知らないと、従業員は薄給であると感じる傾向にあり、差別をうけているとさえ疑うこともしばしば。

自分は安い給料を払われたり、差別をうけている、と感じさせる様式を容認するような会社で働きたいでしょうか? 

給料の秘密性がしているのはまさにそれで、アメリカ合衆国の法律は給料を話し合うことを認めているにも関わらず、その古い慣わしは続いています。

何十年も前の有名な例を挙げると、ヴァニティ・フェア誌の経営者が「従業員間の給料についての話し合いは禁ずる」と書いてあるメモを社内に回したのです。「禁止」だってさ。しかしその取り決めは全従業員からは受け入れられなかった。

ニューヨークの著作家であるドロシー・パーカー、ロバート・ベンチリー、ロバート・シェアウッドなどアルゴンキン・ラウンド・テーブル(出版関係者の社交サークル)のメンバーが透明性を求めて立ち上がり、次の日自分の給料を書いた看板を首に引っさげて出社しました。

(会場笑)

周りに見えるように給料を首にぶら下げて出社するのを想像してみてください。

なぜ企業は給料の話し合いを防止しなければならないのでしょうか? なぜある人が賛成する一方、異議を唱える者もいるのでしょう?

情報の非対称性

前述の想定される理由に加え、給料の秘匿性はコストの削減になることが判明しました。給料を隠すことは、経済学者が「情報の非対称性」と呼ぶものにつながります。

「情報の非対称性」は交渉の場において、一方が膨大な量の情報を相手側より所有していることを指します。そして雇用や昇格、年度の昇給会議において、雇用者は多くのコストを削減できるのです。

同僚の給料を知っていたら、どれだけ昇給の交渉がうまくいくか想像してみてください。

経済学者は「情報の非対称性」が市場を食いちがらせてしまう、と警告しています。誰かが給与明細をコピー機の上に忘れてしまい、突如みんなが怒鳴りあった――そんなことだってありうるのです。

どころか、「情報の非対称性」が市場を完全なる失敗へ導く、とさえ経済学者は警鐘を鳴らしています。僕が思うに、我々はもう少しでそこにたどりつくと思います。

以下がその理由です。

情報の非対称性→破滅?

まず、ほとんどの従業員が同僚の給与に皆目見当ついていません。

2015年におこなわれた7万人の従業員を対象とした調査によると、相場の給料をもらっている従業員うち3分の2が「給料が実際よりも低い」と訴えました。

そして「給料が不当に低い」と訴えた従業員の60%が「給料が低くても、実際より多かろうと、相場だったとしても辞めるつもりだ」と回答。

もしあなたがこの調査に参加していたらなんと答えますか? あなたの給料は実際よりも低いのでしょうか? 話し合うことすらも禁じられているのなら、そんなこと知る由もありません。

次に給与の秘匿性という「情報の非対称性」は現代社会の市場に存在する差別問題を無視されやすいものにしています。

2011年のInstitute for Women's Policy Researchの報告によると、男女の賃金差は23%だと言われています。「女性が77セントに対して男性は1ドル稼いでる」という話はここから来ています。

一方政府では、一定の額が決まっていて、それが周知されているため男女の賃金差は11%まで縮みます。そしてこれは経済学者が加味すべきかどうか議論している要素を考慮しないでです。

もし男女間の賃金差を縮めたいのであれば、給与を開示したらどうでしょうか。これが市場の完全なる失敗であるのであれば、給与の開示性というのが公平さを保証する唯一の方法です。

周りに給与を知られるのは少し抵抗を感じると思いますが、「不当な扱いを受けている」という考えが常に頭の片隅にあるよりはよくないでしょうか?

また妻や娘、妹や姉が不公平に給与を与えられていることよりはマシではないでしょうか。

給与の公開を実践した企業の実例

開示性が公平さを保証する最善の道で、給与の透明性がするのはまさにそれです。ゆえに起業家や企業のリーダーが何年間も給与の公開を実験しているのです。

例えばデーン・アトキンソン氏。

デーン氏は連続起業家で、彼は多くの企業を「給与を秘密にする」という条件で始めました。彼はその条件を利用し、どちらもそれだけの給与を得るにふさわしい2人の従業員を、交渉の成果によって大きな給与差をつけたりもしました。その結果起こる争いを彼は目撃することになります。

それを受けて彼の最新の会社SumAll社では、最初から給与を開示することにしました。その結果というのはすばらしいものです。

度重なる研究を経て、従業員が周りがいくらもらっているのか知り、同僚とくらべて自分の給与がどうか知ったとき、彼らは努力してジョブパフォーマンスを向上し、仕事に没頭し、退職しない傾向にあることがわかりました。

給与を開示しているのがデーン氏だけでない理由はそこにあります。Buffer社のようなスタートアップのテクノロジー企業からWhole Foods社のような何万人もの従業員を抱える企業も実践しています。

Whole Foods社では給与が開示されるばかりか、企業内ネットワークで全員が見えるように店舗、部署でのパフォーマンスデータが開示されています。

多様な公開方法

給与の開示は様々な形があります。それはワンパターンなものではなく、ある企業は企業外に給料を掲示する一方、ある企業は企業内にとどめます。

また、ある企業が給与の計算フォーミュラを掲示するのに反面、給与水準を掲示し、等級によって給与をわかるようにする企業も存在します。

したがって、従業員全員が着用するための給与プレートを作る必要も、それを自宅で作り、1人だけ着用する必要もないのです。

我々全員が給与の開示性の方向へ歩めばいいのです。開示性へ前進する権限を持つ方々へ、時は来ました。そして権限を持たない人へ、知る権利のために立ち上がるべきです。

あなたはいくらもらっていますか? 周りと比べてどうでしょうか? あなたは知るべきなのです。そして周りも。

ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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