1. 【書き起こし】Twitter創業者ジャック・ドーシーQ&A「140字の理由」「経営体験の教訓」編

【書き起こし】Twitter創業者ジャック・ドーシーQ&A「140字の理由」「経営体験の教訓」編

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by jdlasica

 今はその存在を知らない人の方が少ないであろうTwitter。Twitter(当時はTwttr)は2006年、テキストメッセージをもとにしたサービスとして発表された。

 この画期的なアイデアは3人の若者によって実現した。1人目は以前卒業式スピーチを紹介したエヴァン・ウィリアムズ氏。2人目はObvious社、Medium社及びJelly社など様々な会社を起業したことで知られるビズ・ストーン氏。そしてもう1人が、Twitterを発案したジャック・ドーシー氏である。

 ドーシー氏はTwitter社を起業したのち、2010年にモバイル決済企業Square社を創業。そして2013年にはウォルト・ディズニー・カンパニーの取締役に任命された。

 そんな輝かしい栄光を重ねたドーシー氏は今回オクスフォード・ユニオンというオクスフォード大学のディベート団体からインタビューを受けた。

 そのインタビューのQ&Aで彼は「Twitterに140字の文字制限がある理由」「Twitter社のCEO体験から学んだこと」を語る。

Q:なぜTwitterは140文字なのですか?


ドーシー氏:素晴らしい質問だ。答えは2つあり、1つ目は実用性面で、2つ目はコンセプト面での理由になる。

実用性面

まず実用性面での話だが、僕たちはまずSMS(ショートメッセージ)に目をつけた。ウェブは後からツイートを見直すためのアーカイブにすぎなかった。当初のヴィジョンからすると、ウェブはわずかな一部分でしかなかったんだ。

というのも僕たちはリアルタイムな体験を欲していたから。通知が来て、物理的にポケットの揺れを感じるような体験をね。

SMSから着想するにあたってもう1つ重要だったのは、アプローチやユーザー体験がシンプルであること。だから、1つのメッセージを送信するというのは、そのシンプルさに見合っていた。メッセージが分割されないような要素がね。

SMSには当時、160字という文字制限があった。僕はノキア製の安価なプリペイド機種を持っていて、そのVirgin社による携帯を愛用していたんだ。だからTwitterがその携帯でも使える必要があって、実際それはすばらしいユーザー体験だったよ。

あの携帯のキーボードはT9(米Tegic Communications社によるシングルタップ入力を可能にした製品)だったんだけど、誰も使ったことないだろうね(笑)。

(会場笑)

僕はそれを愛用していた。文字入力が格段に速くなるんだ。

160文字というアイデアを採用して、テキストメッセージ1通ごとにお金を払っていたから、ツイートするたびにテキストメッセージを受信して2回分のお金を余計に払うような仕組みにすることは避けたかった。

これは僕にとって大事だっただけではなく、世界に羽ばたくためにはコストパフォーマンスが高い形で人々に提供しなければならなかったんだ。

だから160字制限。そこからユーザーネーム分の20字を引いた。それで最終的には140字に。

コンセプト面での理由

コンセプト面での理由は、制限はクリエイティビティを助長すると僕たちが信じていたから。また、キャンバスの範囲を狭めれば人々はよりリアルタイムで投稿できるように感じたからだ。

繰り返しになるけど僕たちはリアルタイムで、人間的な体験を欲していた。以下は僕たちが使う比喩。

「赤いペイントブラシとここの壁ほど巨大なキャンバスを君に渡したとしたら、自然に身構えてしまうだろう。大きなキャンバスに適切なことを描きたい、という思考に陥るから。しかし同じブラシ、赤いペイントとビジネスカードを渡してマークを付けるんだって指示したら何も考えず瞬時につけられる」

こんな感覚が欲しかったんだ。というのも何をツイートしても、それは誰かにとって価値がある。話すくらいの心持ちでそれらを投稿できるものが必要だった。そうして解釈者それぞれが価値をつけるようなね。

このコンセプトは僕たちにとっていつも重要だった。

サービスの立ち上げから日が経たないうちは、140字制限とそれによるTwitterの無能さについてたくさんの批判の声が上がったよ。「たった140文字では朝ごはんに何を食べたかくらいしか投稿されないだろう」と人々は言ったんだ。

僕自身、朝ごはんはなんだったかたまに投稿するし、ほとんどの人からしたらそれは無意味な情報で、あまりの無意味さに怒りさえおぼえるだろう。とはいってもその情報に関心を持つ人間が世界にたった1人だけ存在する。

それは僕の母親。彼女がそのツイートを見ると大喜びする。ちゃんと食べてて、生きていることがわかるからね(笑)。

(会場笑)

これが批判に対する僕の答え。

興味深いのは、すべてはそのメッセージの受信者の解釈にかかっているということ。送信者はその価値を計ることはできない。そのメッセージやツイートに対する価値の付加は各個人に任せなければならないんだ。これは僕たちの理念の重要な点。

Q:Square社を創業するときに影響した、あるいは役立ったTwitter社時代での教訓はなんでしょうか?

ドーシー氏:たくさんあるよ。そもそも僕はCEOやリーダーになることを望んではいなかったんだ。企業を興すことさえもね。僕はただTwitterを創って、そのサービスを使用したかっただけ。それに対して大きな期待を抱いていたよ。

それを成立させるために必要なことは何でも学ばなければならない。

現在、企業というのはアイデアを流布させて繁栄させるのに至極適切な手段だ。しかし、アイデアと目的が常に先導し、企業は先導しない。企業はアイデアや目標をサポートするだけで、ビジネスはその酸素みたいなもの。

そして起業することが必要になると、少なくとも僕は、早まってストラクチャーを作り込みすぎたり、間違えた骨組みを作ってしまう傾向にある。それが本質的に必要なことから脱線させてしまう。

2つの大きな教訓をTwitter期に学んだ。

第1の教訓

1つ目は社内で起きていることすべてを完全に把握することの重要性や、その設備を整える力。加えて、システムや企業内の透明性の大切さだ。

Twitter社の初期段階ではそういった設備がまったく整っていなかったから、状況は悪化していった。それは速度感覚を持たぬまま車や飛行機を運転するようなもので、かなり危険だ。

僕たちは、従業員が何をしているのか、どうリソースを使用しているかをまったく把握していなかった。何度か中断せざるを得なくなったこともある。

少しずつ、僕たちはそのようなシステムを設備し始めた。システムがしていることや、システムを従業員がどう使っているかを教えてくれるシンプルなものを導入したりね。

ダッシュボードを作ったり、データを見たりするのは至極当然のように感じるかもしれない。しかし、その場にいるときはそれが先行しないんだ。それらは多くの場合、後知恵だよ。

設備を整えたことで、問題を憶測することがなくなり、指摘できるようになった。指摘できるから改善できる。

その時期社内ではコミュニケーション上の問題が山積みだった。場合によっては、話し合ったりしなかったんだ。

エンジニアリングをしていて、オペレーションチームに相談をしないこともしばしばあった。そういった隔たりが社内で発生していると、その結果がユーザーへ実際に伝わる。

組織内のどんな問題であれ、サービスそのものにあらわれる。最終的にそれはユーザーに対して無礼で自己中心的になってしまう。自分たちの問題をサービスのユーザーや顧客に提供することになるからね。

システムを備えるにつれ、僕たちは以前よりも断然健康なコミュニケーションをとれるようになった。コミュニケーションの会社を興したのにもかかわらず、社内でコミュニケーションを取れなかったのはなんとも皮肉だ。

以上が1つ目の教訓。

ゆえにSquare社では第一に、管理ダッシュボードのコードを書いた。社内で起きていることすべてを常に管理できるようにね。

第2の教訓

2つ目の教訓は適切なチームダイナミクスを確実に作りあげること。それは自分と同じ目標やヴィジョンを持つ素晴らしい人物を雇うことを指す。逆にそうでない人とは決別することも意味する。

初期のTwitter社には他者とうまく作用しない人物もいた。これは僕がCEOとして初期に体験した一番辛かったことなのだけれど、システムすべてが頭の中にある人物を解雇しなければならなかったんだ。

そのような場面に直面し、僕は「この人を解雇できるわけがない。彼を解雇したらすべてのシステムが行き詰まり、それを復旧することはできないだろうから」と考えた。決断を下すのには長い時間を要して、全部で6ヵ月かかったよ。これについては後悔している。

最終的に解雇することにして、決別時には僕も彼も涙を流し、会社に戻り全部で7名の社員にそれを伝えると、会社全体が泣いていた。

あの時期はとてもエモーショナルな時期だったよ。僕らは絶えずストレスにさらされていて、落ち目が続いた。なのに起きたのはシステムを改善できるであろう人物との決別。

しかしその直後、興味深いことが起きる。リーダーたちが新たに立ち上がり、実際に会社が衰退することはなかったんだ。さらに、上に昇り詰めるために様々なすばらしい文化が生み出された。

企業にしろ組織にしろ、始めたての頃は人を迅速に集めようとするが、それからあまり変化させようとしないし、チームダイナミクスを適切にしようとしない。そうしないのは、企業文化にとって“毒”になりうるだけではなく、最終的に新たなアイデアやリーダーの到来を妨げるんだ。

こうした理由から、常にチームを見張り、メンバーの適材適所を確実にすることはSquare社でも活かしたよ。

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