1. 【書き起こし】どんな言語でも6ヵ月で習得する方法。心理学者による「5つの原則、7つの行動」の中身

【書き起こし】どんな言語でも6ヵ月で習得する方法。心理学者による「5つの原則、7つの行動」の中身

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 「どんな外国語でも6ヵ月で習得できる」と言われたらほとんどの人は半信半疑になるだろう。なぜなら外国語は長年にわたる努力と忍耐、環境や才能でやっと習得できるものだから。

 しかし米心理学者のクリス・ロンズデール氏だったらこれに異議を唱えるだろう。彼は「誰でも6ヵ月で言語を習得できる」と断言した。そのためには「5つの原則と7つの行動」に則って学習しなければならない。

 言語習得への近道はどこにあるのだろうか。今回はそんな彼のTEDスピーチ『どんな言語でも6ヵ月で学習できる方法』を書き起こす。

『どんな言語でも6ヵ月で学習できる方法』

みなさんは、長年の疑問が自分の考え方を形成していたということがあるだろうか。時にそれが人格を形成することさえある。私にはかねてからの疑問があった。それは「どうしたら学習をスピードアップできるか」。

これは興味深い疑問だ。なぜなら学習スピードを上げることができれば、学校にいる時間も短縮できるから。もし学習を超速化できれば、学校に行く必要が無くなる。

若かりし頃、学校を嫌っていたわけではないが学校教育が学習の邪魔になることが多々あった。そこで思いついたのが「どうしたら学習スピードを上げられるんだろう」という疑問。

この疑問は私がとても若いとき――つまり、11歳のとき――に思いついた。そうして私はソ連の研究家へ睡眠学習について一通の手紙を送った。睡眠学習とは、ベッドの脇にテープレコーダーを置き、寝ている間にテープを再生し学習する、というものだ。

面白いアイデアだが残念ながら、睡眠学習に効果はない。だとしても睡眠学習は多岐にわたる分野の研究の発端となり、「学習」についての驚くべき発見があった。それから今日という日まで私は心理学に情熱を注ぎ、様々な方面でそれに携わってきたのだ。

1981年、私は中国へ渡り2年で中国語をネイティブレベルまで学習することにした。留意して頂きたいのは、この時代中国語はとてつもなく難しい言語だと思われていて、10年やそれ以上勉強していた西洋人でさえもマスターできないほどであったこと。

私にはもう1つのもくろみがあった。それはそれまでの心理学の研究を学習プロセスに活用すること。結果、私は6ヵ月で北京語を流暢に喋れるようになり、その少し後にネイティブレベルまで達した。

しかし周りを見渡してみると中国語習得にすごく苦労する人ばかり。同様に英語などの外国語を習得するのに苦心する中国人もいた。それを見て、私の疑問は「どうしたら一般的な大人の外国語習得を早く、シンプルに、効率的に行う手助けができるのだろうか」というものへとブラッシュアップされた。

この疑問は現代においてとても重要だ。環境問題や戦争による社会混乱などの大きな試練があるというのに、意思疎通ができないと、それらの問題解決が困難になる。だからお互いの言語を話せるのはとても大切。

問題はその方法だ。実のところ、外国語を学ぶのはすごく簡単である。既にその言語を習得した人が、言語を活用する場面を観察することから言語の法則を導き出し、応用するだけ。

これはモデリング(対象を見本にして真似るという心理学用語)と呼ばれていて、私は言語学習と言語モデリングについてかれこれ約15年から20年研究している。

先に、その研究結果をもとに私の見解を述べると、どんな大人でも第二か国語を6か月で流暢なレベルまで習得することができる。このような意見を聞くと、多くの人は「気が狂ったのか」や「不可能だ」と思うかもしれない。

そこで思い出してほしいのは「人類の進歩史は限界を突破すること」であった事実。

人類の歴史(要約)

ロンズデール氏は、1950年代には1マイルを4秒切ることは不可能だと思われていたことを説明した。さらに、100年前には重い物質が飛ぶのは不可能だと思われていた、と指摘する。「しかし今では車でさえ飛ぶことができる」。

それらは鳥やモモンガなどの自然を観察することによって実現されたと彼は語る。

5日間で絵が描ける(要約)

続いて彼は、5日間で絵を描けるようになったという実体験をシェアした。彼によると、5つの原則を念頭において5日間絵を描いた結果、格段に成長したらしい。

才能と現地学習の通説の否定

誰もが5日で絵の描き方を学べるのと同じ理論で、誰もが第二言語を6ヵ月で学べる。ではその方法とは何なのか。そこには5つの原則と7つの手順がある。もっと多いとしても、これらは確実に主となる要素だ。

説明に入る前に2つの通説を否定したい。

才能と現地移住

1つ目の通説は才能が必要である、ということ。ゾーイの話をしよう。ゾーイはオーストラリア出身で、オランダへ旅立ちオランダ語の習得にとても苦労した。最終的に人々は彼女に「君はまったく使えない」「才能がない」「あきらめろ」「時間の無駄だ」と言い放ち、彼女はひどく落ち込んだ。

それから彼女は「5つの原則」に出会い、ブラジルへ引っ越したところポルトガル語が6か月で流暢レベルに達した。つまり才能は関係ない。

2つ目は外国へ訪れることが言語習得の方法であるという通説だ。しかし香港にいる西洋人を思い出してみよう。10年間も香港に居住しているにも関わらず、彼らは一切中国語を話せない。反対にアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダに移住して10年、20年と経つのに英語を話せない中国人もいる。

移住するだけでは効果は全くない。なぜなら溺れゆく者は泳ぎを学べないから。言語を習得していない人は乳幼児みたいなもので、仮にみなさんが理解できない会話を大人たちがするような状況に身を置いても、学習はできない。

5つの原則

 では注意すべき5つの法則とはなんだろうか。

第1原則:自分に関係する言語内容に集中する

1つ目は4つの言葉だ。それらは「注意」、「意味」、「関係性」、「記憶」。そしてこれらには、学習において特に大切な相互関係がある。

私と森を散歩しようか。森を歩いていたら、まず木の幹につけられた跡を目撃する。注意するかもしれないし、しないかもしれない。もし注意していなかったら、さらに50メートル先まで歩いて、次は熊の足跡らしきものを見つける。その時点で絶対に「注意」をする。

そしてこれには「熊」という「関係性」があることから木の跡には重大な「意味」があるのを学ぶ。自分の命に「関係」するすべての情報は「注意」するものであり、すなわち「記憶」することである。

自分の目的のためだったら「注意」を払い、「関係性」がある物事だったらそれを「記憶」する。

だから言語を学習するための第1の原則は、自分に関係する言語内容に焦点をしぼることだ。

第2原則:「ツール」としての言語を初日から使う

次にツールの話。我々はツールを使うことによってそれを習得し、自分に一番関係のあるときに最も早く学習する。

ここで一例をシェアしよう。キーボードはツールだ。キーボードで中国語を入力するには方法がある。それがツールというもの。

何年も前に夜間学校で中国語を学ぶ同僚がいた。火曜夜、木曜夜それぞれ2時間ずつ彼女は学校に通う。その上自宅でも勉強していた。それらに9か月かけたものの、彼女は中国語でキーボードを打つ方法を学んでいない。

ある晩危機が訪れる。というのも中国語の研修用マニュアルを納品するために48時間しか残されていない。そして彼女はその職務を任された。

保証しよう。彼女がその48時間で中国語のタイピング方法を学んだことを。なぜならそれは彼女に「関連」し、有意義で重要であるに加えて、価値を生み出すためにそのツールを使っていたのだから。

したがって言語学習の2つ目の原則は初日からその言語をコミュニケーションツールとして活用することだ。子どもがそうするようにね。

第3原則:まずは「理解すること」がカギ

中国に訪れた当初、私はまったく中国語を話せなかったが、2週目には夜間列車に乗らねばならなかった。夜間列車で8時間、私は食堂車両に居座り車掌と会話した。どういうわけか彼は私に興味津々で、我々は一晩中語り合った。彼が描いてくれた絵、ジェスチャーや表情――1つ1つが私の理解を深めたのだ。

なにがすごいかというとその2週間後、周囲で中国語が話されていたときに、私は学習になんの努力もしなかったにもかかわらず、断片的に内容を理解することができた。

説明すると、私は夜間列車での一夜で吸収したんだ。それが第三の原則。メッセージを理解すれば、無意識に言語を習得できる。

これについては多くの書籍がある。「インプット仮説」と呼ばれていて、20年や30年もの間研究されているのだ。

この仮説を提唱したスティーブン・クラッシェン氏はこの仮説について多岐にわたる分野の書籍を出版しており、これはほんの一部。

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出典:www.ted.com

この棒グラフは様々な言語テストのスコアを示している。紫は文法や正式な教育で学んだ人々のスコア。一方、緑は「インプット仮説」に則って学んだ人のスコアである。したがって「理解」は効果を発揮するのだ。

第4原則:表情筋のトレーニング

「理解」は言語学習のカギであり、言語学習は知識の蓄積ではない。多くの意味で言語習得は身体的なトレーニングなのである。

知り合いで、学業としての英語の成績は常にA判定だったにもかかわらず、渡米したらアメリカ人の話していることを理解できなかったという台湾人女性がいる。

次第に人々は彼女にこう尋ねるようになった。「あなたは耳が不自由なのですか?」と。そしてそれは正しい。彼女は英語を聞く耳が不自由だったのである。

我々の脳には聞き慣れた音を取り入れ、聞き慣れない言語の音を拒絶する習性があるのだ。そして聞こえなければ理解できず、理解できなければ学習はできない。だから実際、音を聞けるようでなければならないのだ。

そうするには方法があって、それが身体的トレーニングなのである。言葉を話すのには筋肉が必要。顔には43つの筋肉が存在し、人に理解できる発音をするのにはそれらを連動させなければならない。

新しいスポーツをはじめて何日か経ったとき、身体がどうなるかはご存じだろう。身体が痛くなるんだ。もし顔が痛くなったのであれば正しい身体的トレーニングができているということになる。

第5原則:「精神状態」

最後の原則は「状態」だ。精神状態である。怒りや悲しみ、心配や動揺があると学習は妨げられてしまう。絶対にだ。

嬉しかったり、リラックスしていてアルファ脳波が発生していたり、好奇心旺盛であれば学習は高速化される。理解できないことへの耐性はとりわけ必要だ。

あなたがもし聞いていることを100%理解しないと気がすまないタイプの人間であるなら、常に深く混乱してしまい気が狂うだろう。だって誰も完璧ではないのだから。

ある情報が理解でき、はたまた理解できなくてもオッケーで、理解できることにのみに注意を向けられるタイプの人間だったら、大丈夫。あなたは速く学習できるだろう。

5つの原則のまとめ

5つの原則

  • 第1原則:自分に関係する言語内容に集中する
  • 第2原則:「ツール」としての言語を初日から使う
  • 第3原則:まずは「理解すること」がカギ
  • 第4原則:表情筋のトレーニング
  • 第5原則:「精神状態」

7つの行動

 これらの5つの原則に則って、取るべき7つの行動はなんだろうか。

第1の行動:たくさん聞く

1つ目の行動はたくさん聞くこと。私はこれを「ブレイン・ソーキング(脳を浸すこと)」と呼んでいる。理解できるかは関係なしに多くの言語が聞ける環境に身を置くこと。このとき、リズムや繰り返される語彙、目立つ言葉に注意を向けるといい。そういった環境に脳を浸すんだ。

第2の行動:言葉よりも意味を先につかむ

2つ目の行動は言葉よりも意味を先につかむこと。「言葉がわからないのに、一体全体どうしろというんだ?」と諸君らは思うかもしれない。でもこれらのポーズの意味はわかるだろう。

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出典:www.ted.com

人間のコミュニケーションの大部分はボディーランゲージが占めている。ボディーランゲージからコミュニケーションの多くを理解できて、したがって「インプット仮説」を通じて意味をつかむことができるのだ。

さらに既に知っているパターンを活用できる。北京語と広東語を話せる状態でベトナムに行けば日常会話の60%を理解できるのだ。なぜならベトナム語は北京語と広東語それぞれ30%ずつで構成されているから。

第3の行動:組み合わせる

3つ目の行動、それは組み合わせること。考えたことはないだろうけど動詞、名詞、形容詞をそれぞれ10ずつ把握していれば1000の表現が可能になる。言語とは創作だ。

乳幼児は何をする? 「僕、風呂、今」これが彼らのコミュニケーション方法。だから言葉を組み合わせるのをはじめ、クリエイティブに楽しむこと。完璧である必要はない。意味が通ればいいのである。

第4の行動:コアに集中する

その過程で、コアに集中する。これはすべての言語には高頻出の語彙がある、ということ。英語では、1000単語が日常会話で使う85%の用語をカバーする。3000単語で95%。つまり3000単語つかめば、その言語が話せることになる。残りは飾りみたいなものだ。

言語学習を始めたてのときは、ツールボックスからはじめよう。第1週目は「どうやってこれを言うの?」「わかりません」「もう一度お願いします」「これはどういう意味ですか」これらを習得したい外国語で話す。言語をツールとして使って自分にとって便利にし、その言語の他のことを学ぶために「関係」させる。

第2週目には「私」「あなた」「あれ」「渡す」「暑い」などの簡単な代名詞、名詞、動詞、形容詞を操り、乳幼児のようにコミュニケーションをはかっているべきだ。

第3、4週目では、私が呼ぶ「言葉ののり付け」期に突入するだろう。「とはいえ」「しかし」「したがって」これらは言葉を繋げる論理変転語彙で、さらに複雑な言葉を言い表すことができるようになる。この時点で君はもう話せるようになっているのだ。

第5の行動:言語の親を見つける

そしてそのとき、学習者は「言語の親」を見つけるべきだ。子と親の会話を見れば、この意味がわかるだろう。子どもは発言するときに簡単な言葉とその組み合わせを用いる。時にそれはとてもヘンテコであり、またすごくヘンテコな発音で、家族以外の人に意味は通じない。しかし親には伝わる。

それによって子どもたちは安全な環境が与えられ、自信を得られるのだ。また、親自身も子どもが理解できるように、ボディーランゲージと簡単な語彙を駆使して話しかける。

つまり子と親の関係があれば、安全な「インプット仮説」環境が与えられていて、それは効果的であるに決まっている。そうでなかったらみなさんが母語を話せることの説明がつかない。

したがって、学習者は「言語の親」を得るべきなのだ。「親」として適切なのは、あなたに人間的な興味を持っていて、本質的に同等なコミュニケーションをはかってくれ、諸君がメッセージを理解するのに気配りをしてくれるような人だ。

「言語の親」には4つの条件がある。まず結婚相手はあまり相応しくないことを述べておこう。

1つ目は、かなりズレているときでさえも伝えたい内容を理解しようと努力する姿勢。次に間違いを正さないこと。

3つ目は学習者が適切な反応をできるように、意図を汲んでフィードバックしてくれることだ。そして最後に学習者が習得済みの語彙を使うこと。

第6の行動:表情をまねる

取るべき6つ目の行動は顔をまねること。人が理解できる発音をするためには、正しい筋肉の動きが必要。そのためにはいくつかの方法がある。1つ目は聞いた感触に注意し、どういう音か感じ取ること。

しかし理想はネイティブスピーカーを見て表情筋の動きを観察し、無意識に規則を吸収すること。そうすれば段々と発音方法がつかめるようになる。もし観察するネイティブスピーカーがいないなら、映像でもいい。

第7の行動:「直接連結」

そして最後の行動は、私が「直接連結」と呼ぶ行動。これはどういった意味か。第二言語を習得しようとする人の多くは、頭の中で母国語単語と習得言語単語を行ったり来たりさせておぼえようとしている。これはとても非効率的だ。

気づかなければならないのは、すべての知識は頭の中のイメージ、その感覚であること。仮に「火」について話したとしたら煙の臭い、「パチッパチッ」という音、炎の姿を感じ取るはずだ。

したがってするべきなのはイメージと記憶をたどったのちに別の経路をつくりだすこと。だから私はこれを「同じ箱。別の経路」と呼んでいる。

みなさんは別の経路をつくりだし、次第に既にあるイメージと新たな音を繋げることで上達する。そして時間が経つにつれてそのプロセスも自然と上達し、それさえも無意識のうちにできるようになるのだ。

7つの行動のまとめ

7つの行動

  • 第1の行動:たくさん聞く
  • 第2の行動:言葉よりも意味を先につかむ
  • 第3の行動:組み合わせる
  • 第4の行動:コアに集中する
  • 第5の行動:言語の親を見つける
  • 第6の行動:表情をまねる
  • 第7の行動:「直接連結」

最後に伝えておくこと

したがって、語学には取り組むべき5つの原則と7つの行動がある。これらの中のどれでも実行すれば上達につながるに違いない。そして、これらの原則や行動は学習者自身がコントロールできることを覚えておこう。

これらすべてを実行すれば、第2ヵ国語は6ヵ月で流暢に話せるようになる。

ご清聴ありがとうございました。

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