1. 【書き起こし】日々タスクに追われている人へ「未来の時間を増やす」新しいタイムマネジメント論

【書き起こし】日々タスクに追われている人へ「未来の時間を増やす」新しいタイムマネジメント論

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 タスクに追いつけず、悩んでいる人は多い。そのような時、タスクを見送ったり、優先度の高い順にタスクをこなしたりするだろう。

 著作『意図的に先延ばしにすること(Procrastinating on Purpose)』の筆者ローリー・ヴァ―デン氏によると、それは従来のタイムマネジメントが「優先順位を主軸に考えている」から。彼は「タイムマネジメントに関するすべての知識が誤っている」とさえ断言した。

 ローリー・ヴァ―デン氏はTEDスピーチにて「時間を掛ける方法」を伝授。彼が提唱する現代にふさわしいタイムマネジメント論を紹介する。

「時間を“掛ける”方法」

0:25~より抜粋

ヴァーデン:コツや裏技、技術やツール、カレンダーやチェックリストがいまだかつてないほどあるというのに、予定通りに物事を進められないのは一体なぜだろう?

昔よりも長時間働き、歴史上最もせわしなく動いているというのに、予定に追いつかないのはなぜなのだろうか? また、タイムマネジメントについて現代人の方が知識を蓄えているはずなのに、なぜストレスは史上最高値に達しているのだろう?

答えはタイムマネジメントについて貯蓄したすべての知識が誤っているから。

「実際タイムマネジメントなんて存在しない」

 ヴァ―デン氏はまず、その考えに至った経緯を語った。これは数年前、ある日曜日の朝、彼が国際リーダー会議に出席すべくビジネスパートナーを車で拾ったときの話。

 ビジネスパートナーには娘ヘイヴンがいて、娘は彼が仕事に行かないように泣いてせがんだのである。「お願いパパ、今日は働かないで」と。

ヴァーデン:その瞬間、僕は2つのことに気が付いた。1つ目は、まだ父親にはなれないということ(笑)。

(会場笑)

2つ目は、今日までタイムマネジメントについて学んだこと――コツや裏技、技術やテクノロジー、カレンダーやチェックリスト、アプリ――はすべて合理的なのにもかかわらず、現代のタイムマネジメントは合理性だけでは不十分ということ。

現在、タイムマネジメントは感情的でもあるんだ。罪悪感や恐れ、不安は、カレンダーやToDoリストに書いてあることと同様、時間の使い方に影響を及ぼす。

実際、タイムマネジメントなんて存在しないんだ。時間を管理するなんて不可能。望んでも望まなくても時間は進むんだから。だから“タイムマネジメント”なんて無理。あるのは“自己管理”だけ。それが最初の大きな気付きだったんだ。

タイムマネジメント論の歴史

ヴァーデン:2つ目の気付きについて教える前に、“タイムマネジメント論”の歴史について簡単に説明しよう。タイムマネジメントは50年代後半、60年代、つまり第二次産業革命中に誕生した。

早期のタイムマネジメントは1次元的なもので、効率に基づいていた。その効率性というのが、「ツールや技術を開発することによってスピードを上げられたら、理論上、時間を増やせるのではないか」というもの。

効率が悪いわけではないよ。すべての条件が同じなのであれば、効率的なのはいいことだ。しかし、タイムマネジメントの戦略として“効率性”には残念ながら限界がある。

これは小さなコンピューター、スマホをポッケに運んでいるにもかかわらず、僕らがスケジュールに追いつけない事実から明らかだ。

そして80年代後半に2代目のタイムマネジメント論が到来。それは偉大なるスティーヴン・コーヴェイコーヴェイ教授がほとんど単独で発見したように思える。彼は我々が“2次元的思考”と呼ぶものを紹介した。

その内容はX軸が緊急度でY軸が重要度である“時間管理マトリクス”というもの。この論のすばらしい点は、タスクを記録できて、領域ごとでのスコアに応じてタスクの優先度を決められることだ。

優先順位は最も重要な事項に焦点をしぼることに尽きる。そしてここ20年間、タイムマネジメント論としてこれが一番主流だったんだ。

優先付けることに問題があるわけではないよ。実際、“優先順位を決定するスキル”は昔から重宝されてきたように、今でも大切だからね。僕らはそれが最重要であるか如く「優先順位を整理しろ」や「優先順位を間違えているんだよ」と言うよね?

しかし、優先順位は最重要でもないんだ。みんなが目をそらす、巨大な欠点があるからね。それは優先順位を決めるのは、決して時間をつくることにはならないこと。

優先順位を決めるときにするのは、リストにある7つ目の項目を1番上にあげたりすることのみ。それ自体は価値のあることなのだけど、優先順位が本質的に時間をつくるわけではないよ。そして、ToDoリストから1番上の項目以外を達成するのに、なんの手助けにもならない。

過去のタイムマネジメント

ヴァーデン:効率について考えてみると、それはハムスターの回し車の上を走るようなものだし、優先に関して言えば、時間を借用するようなものだ。

他の優先事項に費やすために1つのToDo項目から時間を借りることはジャグリングのようなもので、それは我々の時間についての話し方にさえ当てはまる。僕は今ジャグリングをして、バランスを取ろうとしているよ。

そしてその枠組みでは、2つしか方法がない。タスクをこなすスピードを上げること――これは世界の風潮だよね? 僕らはただ破滅へ進みジャグリングをするハムスターにすぎないと知る気分はどうだい?

(会場笑)

現代のタイムマネジメントに関する問題は、過去のタイムマネジメント論では解決できっこない。

新たなタイムマネジメント、マルチプライヤーの到来

ヴァーデン:僕たちが発見したのはニュータイプの考え方の持ち主の到来。僕らは彼らをマルチプライヤー(掛け算をする人)と呼んでいる。彼らは3次元的思考を使うんだ。多くの人が緊急度と重要度(2次元的思考)で決定する一方、マルチプライヤーは有意性に基づく計算をしている。

緊急度がどれだけ近いうちに重要になるかで、重要度が決まるなら、有意度はどれだけ長くそれが重要かどうか。まったく違う枠組みで、以前あったものに付け加えた形。

現代の最高峰ツール、ToDoリストを考えてみると、ほとんどの人は自分に「今日することの中で一番大切なのはどれかな?」と考える。しかしマルチプライヤーは違う。

マルチプライヤーはその代わり次のような問いかけをする。「今日することの中で、明日をよくするのはどれかな?」「今できることの中で、将来をよくするのはどれかな?」とね。彼らは有意度を計算しているんだ。

「時間を掛け算しよう」というと不適切な発言に感じるかもしれない。もしくは、誇張だと疑うかもしれない。でも本当に違うんだ。

未来の時間を増やすという考え

ヴァーデン:たしかに僕らが1日に持つ時間は同じだよ――24時間、1,400分、86,400秒。そして1日の時間を増やすことは不可能だ。それが問題。その考え方が問題なんだ。

僕らはその枠組みから抜けて、今日ではなく明日について考えなければならない。それが時間を掛けるのに必要な条件を満たしてくれる。

時間を掛ける方法は単純。達成すれば明日もっと時間を得られることに焦点をしぼり、それを今日実行することに心理的な許可を与えるんだ。それが有意度の計算。こうすることによって、すべてが変わる。

「時間を掛ける者、マルチプライヤー」の思考回路

 『フォーカス・ファネル』はマルチプライヤーが時間について選択するとき無意識下に経る思考過程を図式化したものだ。平坦な結果しか残せていない人がいる一方、ある人々が桁外れで、飛躍的な結果を残しているのはこの思考過程が理由。

第一ステップ「除外」

ヴァーデン:タスクがファネル図に入るとして、マルチプライヤーが最初に問うのはこれ。「これは除外できるだろうか? 実行する価値はあるだろうか?」ということ。

これは従来のタイムマネジメントに関するすべての認識が誤っていること、変化したことを示す一例でもある。ほとんどの人はToDoリストを使うけど、マルチプライヤーは次世代のタイムマネジメントは「すること」よりも「しないこと」の方が重要だということに気付いているんだ。

マルチプライヤーにとっての「完璧」はこれ以上足すものがない場合ではなく、これ以上除くものがない場合に達成されることを知っている。それは無視することを受け入れること。

今日タスクに「ノー」と言うことは明日の時間を増やすことになるからね。それによって問題になるのは良心の呵責。タスクを断りたいけど、「イエス」と言いたい気分になることに苦心する。だから僕らは普段断らないように日常を過ごす。

マルチプライヤーを対象としたインタビューで、僕は人生を180度変えること教訓を学んだ。「いいかい君。極力ノーと言わないように生きようとするのは無意味だよ。何かに対して常にノーと言っていることに君は気付かなければならない」と彼は語った。

何かに対して「イエス」と承諾するときはいつだって同時に他すべてのことに「ノー」と断っているからね。

第二ステップ「自動化」

ヴァーデン:タスクを除外できなかったとして、次に来る問いは「自動化することができるだろうか?」。一連の過程を自動化することは、結果として明日の時間をつくる。

例えば、オンライン決済を設定すること。僕にはオンライン決済を設定するために2時間も割くことができない。だって時間がないんだから。仮に2時間空いていたとしてもそれに時間を割いたりはしないだろう。

しかしマルチプライヤーだったらこう見る。仮にオンライン決済を設定することによって月30分節約できるのであれば、その日2時間割くことは理にかなっている、と。4か月経てば、投資時間とイコールになる。そしてその月以降、投資利益ならぬ投資時間利益を得ることができるからね。

時間を自動化するのは、お金に対する複利のようなものだ。複利を得るには元となる金銭が必要で、それで金銭を増やすように、自動化には時間がかかって、結果として時間を増やすことになる。

富裕層がお金に対して持つ考え方は、マルチプライヤーの時間に対する考え方とまったく一緒。そして彼らは自動化に要する時間やエネルギーの投資を許す。

第三ステップ「委任」

ヴァーデン:自動化できなかった場合、次に問う質問はこちら。「これは委任できるかな? 誰かに方法を教えて任せられないかな?」

 彼はこの話をするとき、自らの体験談を思い出すと言う。当時7歳の彼はシングルマザーである彼の母親に対して「ママ、僕にパパっているの?」と質問。そこで母親は初めて過去の話を彼にしたのだ。彼女は彼の出生6か月後、夫と別れた。

 そして22歳の彼女は彼に言う、「2度と結婚しない」と。しかし、父親が欲しい若き質問者は、母親にそう伝える。彼女はそんな彼に無茶なことを要求。「そんなに父親が欲しいなら、自分で探してきなさい」。

 それを聞いた日はちょうど新たな少林拳センターの初日。そこで彼は長髪で腕にタトゥーを彫った年の離れたいかつい青年、ケヴィンとペアを組むことになる。

 ケヴィンとヴァ―デン氏は次第に仲良くなり、気が付いたら母親との距離も縮まっていた。そして彼らは結婚し、ヴァーデン氏は母の言葉通り「父親を自分で探した」のである。

ヴァーデン:この体験談から僕が伝えたいのは、あらゆる事柄に委任は可能だということ。一般人に「誰かに委任できるタスクはありますか?」と問うと「はい」と答える。しかし、「なんで他の人に教えて、任せないの?」と聞くとほとんどの人は「自分には及ばないから」と答えるだろう。

なるほど、それは事実かもしれない。しかし、それは有意度の計算を度外視したときのみだ。長い目で見ると、彼らは君らと同じくらい上手になれることがわかる。

有意度の計算はすべてを変え、それが時間を掛ける方法なのだ。短期間は不完全であることを受け入れさせてくれる。

第四ステップ「集中or先延ばし」

ヴァーデン:除外も、自動化も、委任もできないとしたら、そのタスクはファネルから出てくることになる。その時点で最後の質問「今このタスクを行うべき? 後でも大丈夫か」を問う。

タスクは今処理されなければならないのであれば、それは我々が呼ぶ「集中」という状態。守りの姿勢を受け入れることになる。要は集中して、妨害要素を排除すること。そして正直に言って、それについて何も新しい発見はないよ。

しかし、「後でも大丈夫だろうか?」という問いに対して、「はい」と答えたならば、除外でも自動化、委任でもなく、それは「意図的な先延ばし」だ。それを永遠に先延ばすわけではなく、再びファネルに入れることになる。

そして来たる日にそのタスクは以上4つの方法で処理されるんだ。そしてタスクが何度も先延ばしにできるものであるなら、それは第一ステップ「除外」で処理すべきものだったことに気付く。そして次第に「除外」する勇気も付随する。

もしくは「自動化」する方法に気が付くかも。誰かが立ち上がってリーダーとなり、最終的に「委任」という形を取るのかもしれない。または、自分の時間を割けるほど重要なタスクになるかも。

意図的な先延ばしの正当性

ヴァーデン:多くの人は「ヴァ―デン氏、ちょっと待ってください。『テイク・ザ・ステア(2012年)』であなたは“先延ばしはサクセス・キラーだ”とおっしゃいましたよね。また、先延ばしは現代のビジネスにおいて、最も高値で、透明の出資だとも。果てにあなたは“先延ばしはすべての凡庸性の起源”とさえおっしゃいました。そんなあなたが、今になってわざと先延ばしをしろと言うのですか?」と非難するかもしれない。

僕は確かにそう言ったとも。そしてそれを撤回するつもりはない。

しかし、気付かなければならない大きな違いがある。それはやらなければならないと知りつつ、気が進まないから先延ばしにすることと、今は実行すべき日ではないとしてタスクを先延ばしにすることの違い。

やらなければならないと自覚しつつ、気が進まないから後回しにするのはサクセス・キラーの先延ばし。

しかし、意図的に今ではないと決断するのは先延ばしでも、サクセス・キラーでもない。それは忍耐という美徳。どうでもいいことを後回しにする忍耐。例えば、一日中メールのチェックに費やすのを後にすること。


「産めよ、増えよ(Be fruitful, and multiply.)」

ヴァーデン:時間の掛け算は未来の時間を増やすタスクに、その日時間をささげるのを許すこと。どの宗派に属していようと、みなさんは世界の創生方法について聖書の叙述に敬意を示しているだろう。

創世記にて、神は完璧な世界を創り、我々は神のイメージ通り創られたことが書かれている。そして、創世記では第1章、28節にて、神は一番初めの命令を人類に下す。それはなんだったかな。

「汝、主以外の神を持つことなかれ」だっけ? 違うね。「汝自身を愛すように隣人を愛せ」だったかな? これも違う。

神による人類への第一命令は「産めよ、増えよ(Be fruitful, and multiply.)」だ。

ご清聴ありがとうございました。

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