HOMEビジネス どうして副業禁止なの?企業が社員に副業禁止を規定する理由と、副業がバレるケース

どうして副業禁止なの?企業が社員に副業禁止を規定する理由と、副業がバレるケース

Rikaco Miyazaki

2019/11/20(最終更新日:2021/01/31)


このエントリーをはてなブックマークに追加

「副業をしたいけれど、会社で禁止されている」「なんで副業が禁止なの!?」と疑問に思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、こっそり副業をしてバレるのか気になっている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、会社が副業を禁止している理由や、こっそりと副業をしたら会社にどのようなきっかけで判明するのかについて紹介します。

本記事の内容をざっくり説明
  • なぜ副業は禁止されるの?
  • 副業が勤務先にバレるのはどんなとき?
  • 正社員が副業をするときにチェックすべき4つの注意点

 

そもそも副業とは?

副業のメリットやデメリットなどに触れる前に、そもそも副業とは?ということを確認しておきましょう。

副業とは、本業とは異なる仕事を、本業と同時に掛け持ちしている形態のこと。別の会社で働くケースもあれば、個人で仕事を請け負うことも。

会社員などの本業の給料以外に収入が発生する仕事は、全て「副業」という扱いになります。

副業の例として、平日はフルタイムで働きながら、土日は別の会社でもうひとつの別の仕事をしたり、フルタイムで勤務したあとに別の会社で働いたりすることなどが挙げられます。

 

副業をするメリットとは?

副業のメリット・デメリットとは?副業の禁止理由や注意点を解説 2番目の画像

「働き方改革」により、これまで原則禁止とされていた副業が、認められるように変化しつつあります。その結果、2018年は「副業元年」とも呼ばれるほど、副業をする人が増えました。

「とはいえ、仕事をした後にまた仕事をするなんてしんどそう……」と副業に対してメリットをあまり感じられない人もいるのではないでしょうか。

まずは、副業はどのようなメリットがあるのか確認してみましょう。

 

副業のメリット1.働いた分だけ稼げてリスクが少ない

副業は、短い時間の勤務で確実かつ簡単に収入を増やせることが最大のメリットです。

例えば、時給1,000円のアルバイトを週に2回×4時間行った場合、1ヵ月で3万円近い収入になります。現在の収入に3万円プラスされることを考えると、夢が広がる人も多いのではないでしょうか。

当然個人差はありますが、副業の給与設定が高い、もしくは副業をするための十分な時間を確保できる人であれば、本業に近い金額を稼ぐことも可能なのです。

副業の種類はさまざまですが、ライターやアンケートモニター、家事代行など、働いた分だけ給与が得られるものが多いのも特徴です。

また、成果報酬制の副業の場合、スキル次第では短時間で高額な収入を得ることも可能です。場合によっては会社員として働いている時給よりも、高額を得られるケースも。

さらに、時給制の副業であれば、働いた時間がそのまま給与になるため、ある程度目測をつけながら収入を得ることができるでしょう。

上記のようにローリスクな副業がある一方、株やFXなどの資産運用は「ハイリスク・ハイリターン」な副業だといえます。

成功すれば多額の収入を得られることもありますが、運用する元手や難解な知識が必要不可欠であるため、始める際は注意しましょう。

 

副業のメリット2.副業で得たスキルを本業で活かせる

副業をするときには、本業と切り分けて考えている人もいるかもしれませんが、実は副業で得たスキルを本業でも活かすことができるのもメリットだといえるでしょう。

本業と副業の相乗効果を得るためにも、副業の職種を選ぶ際は、本業と関連した業種を選ぶのがおすすめです。

また、本業で培ったスキルを活かすことで、効率的に副業を行なうことも可能。むしろ、全くの畑違いのものを副業とするよりは、本業に関連したもののほうが効率的に稼げるでしょう。副業選びは「本業との相乗効果」を狙うのが無難であるといえます。

副業のメリット
  • 収入の額(労動量)をある程度ハンドリングできる
  • 株などの資産運用に比べてリスクが少ない
  • 職種によっては本業のスキルアップや副業での負担軽減に繋がる

 

副業をするデメリットとは?

副業のメリット・デメリットとは?副業の禁止理由や注意点を解説 3番目の画像

副業は、「収入や稼働量をハンドリングできる」「本業との相乗効果がある」などのメリットがあることがわかりました。では、副業をするときには、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。

 

副業のデメリット1.本業への支障や体力面の圧迫が懸念

副業をするデメリットの1つ目は、本業への支障や、体力面の圧迫が懸念されることです。

副業を行うことは、本業に加えて別の勤務をすること。たとえ短時間の勤務であったとしても、本業と並行して仕事を行なうのは体力的にも時間的にも楽ではありません。

また、休日が減ってしまうことも懸念点として挙げられます。

副業を始める際はスケジュールの調整はもちろん、自分にとって無理のない範囲で行うことを心がける必要があります。

副業を始めた直後に本業と相違ない業務量を設定したり、長時間労働をしたりすることは「疲労」につながってしまうからです。

副業の開始直後は、とくに「本業に支障を来さない」という姿勢や考えを念頭に置いて働く必要があるといえるでしょう。

 

副業のデメリット2.税金の管理が必要&所得税負担が増加

副業をするデメリット・注意点の2つ目は、税金の管理が必要ということです。

副業には収入が増えるというメリットがありますが、当然その分の所得税負担が増えてしまいます。

加えて年間20万円以上を稼いだ場合には、確定申告も必要になります。副業をする場合は、副業や自分に関連する知識を得た上で税金等の管理をしなくてはなりません。

これらを怠ってしまうと、課徴金など余計な支出が増えてしまい、本末転倒になるため注意が必要です。

副業のデメリット

  • 本業以外に拘束時間が増えて休憩時間が減る
  • 疲労が増すと本業に支障をきたしてしまう
  • 税金の処理を行なう時間が必要になる

 

なぜ副業は禁止されるの?兼業制限規定の合理性とは

副業のメリット・デメリットとは?副業の禁止理由や注意点を解説 4番目の画像

「副業のデメリットも理解した上で、副業をしてみたいけれど、会社の規定では副業は禁止されている」というケースもあるでしょう。働き方改革で副業の促進が進められていますが、それでもまだ社内規定で副業は認められていない企業もあるでしょう。

企業としては社員に副業してほしくないというのが一般的です。理由は様々ありますが、一番わかりやすいのが、「兼業禁止限定の合理性」と呼ばれるものです。

兼業禁止限定の合理性とは、企業と社員が副業の関係で裁判で争った結果、示された基準です。この「兼業制限規定の合理性」は、企業が副業を制限しても差し支えないという基準のため、企業が副業を禁止するもっともわかりやすい例となります。では、「兼業制限規定の合理性」各項目をみていきましょう。

 

兼業制限規定の合理性の5項目を確認

以下が、兼業制限規定の合理性の5項目です。

(1)副業によって遅刻や欠勤が多くなったと判断される場合
副業によって本業が疎かになってしまう場合があります。遅刻だけであれば少し迷惑がかかるくらいで済むかもしれませんが、特に工場などでは、ちょっとした気のゆるみによって、事故が発生する可能性が高くなってしまいます。

(2)会社の利益が損なわれると判断される場合(競合他社で仕事をするなど)
働いているということは、勤務先の企業の最新情報を持っていることになります。そのため、競合他社で自社が持っている機密事項を使って仕事をしたら、本業の企業は窮地に陥る可能性があります。

(3)会社固有の技術やノウハウが漏洩されると判断される場合
これと(2)と同様です。技術やノウハウは、その企業の競争の源泉。これが漏えいしてしまうと、企業が窮地に陥ってしまうため禁止しても差し控えないとされています。

(4)会社の名前や名刺を使って副業を行なう場合
会社の名前や名刺を使って副業をされた場合、仮にその副業でトラブルが起こった時には、会社にクレームが来ることもありえます。トラブルを起こした場合、企業の品位を落とすことに繋がるため、会社にとってリスクがあるといえるでしょう。

(5)副業によって会社の品位を落とす惧れがある場合(違法行為や風俗関連など)
副業が詐欺だったとして逮捕された場合、マスコミに○○社社員と報道されたらその企業は悪いイメージがついてしまいます。こうやって見てみると、社員の副業によって会社に問題が生じるのを防ぐために禁止するということが明白です。

 

副業をする前に必ず「就業規則」を確認する!

公務員の場合は、兼業や副業が国家公務員法や地方公務員法で制限されています

一方、民間企業の場合は、会社によって副業の可否が異なります。

副業が禁止されているかどうかは企業の「就業規則」に定められているため、副業を行なう場合は事前に確認しておきましょう。

もし、就業規則を見ても副業に関する内容がわからなかった場合は、人事や総務などに確認すると良いでしょう。

 

就業規則で禁止されている場合は原則「副業NG」

副業を就業規則で禁止している企業は、本業への支障を避けるために禁止しているケースがほとんどです。

また、副業の業種が本業と類似している、あるいは関連している場合、「情報漏えいのリスク」といった懸念から禁止されているケースもあります。

その他、過去に副業が原因のトラブルが発生して、禁止されているケースも。

【具体例】副業禁止になるケースとは?

  • 副業が本業の“就業時間”に影響を及ぼした
  • 競合他社、同業界での副業によって情報漏洩する可能性がある
  • 本業の会社名、名刺を勝手に使用して副業をした
  • 企業イメージを損ねる副業をした
  • 本業+副業での過労によって体調を崩した

どのような理由であったにしろ、就業規則で禁止されている場合にはこっそりと副業するのは避けましょう。場合によっては解雇になるケースもありえます。

「副業をこっそりとしても会社にはバレないのでは?」と思っている人もいるかもしれません。しかし、思わぬところから発覚することも多いもの。では次に、副業が勤務先にバレるのはどんなときが多いのか確認してみましょう。

 

副業が勤務先にバレるのはどんなとき?

副業が勤務先にバレるのは、確定申告を行った場合、申告に基づいて計算される住民税によって発覚するケースです。

副業をしている場合、本業の給与分以上の住民税が課されてしまうことから、経理で疑問が持たれてしまうのです。

また、疲労による本業への支障、スケジューリングのミス、内部情報に関連するトラブルなどから発覚するケースもあります。

副業が勤務先にバレるパターン例

  • 副業による疲労が本業に影響を及ぼしたとき
  • スケジューリングミスでWブッキングしたとき
  • 内部情報の漏洩などに関するトラブルに遭ったとき
  • 住民税が「本業の給与以上」になっているとき
  • 同僚に副業しているところを見られたとき

上記以外にもさまざまな懸念があるので、就業規則で副業が禁止されている場合は副業をするべきではありません。就業規則に違反すると、場合によっては解雇や減給といった厳しい処置が取られかねません。

また、副業による情報漏えいが原因で会社に不利益を起こした場合は、損害賠償請求されてしまうことも考えられます。

「バレるから」という理由以前に、就業規則に従うのが社会人の常識。何かの理由で副業をせざるをえない、というときには上司に相談し、許可を取ってから行うようにしましょう。

 

正社員が副業をするときにチェックすべき「4つの注意点」

副業のメリット・デメリットとは?副業の禁止理由や注意点を解説 5番目の画像

就業規則で副業が禁止されておらず、副業がOKだったケースでも、副業前には注意しておきたいポイントがあります。

最後に、正社員として働きながら副業をするときに、チェックしておきたい4つの注意点について紹介します。

 

副業の注意点1.副業を行う場合は本業に支障が出ないよう「スケジュール調整」を徹底する

副業するときの1つ目の注意点は、副業を行う場合は本業に支障が出ないよう「スケジュール調整」を徹底することです。

正社員の場合、副業を始めたからといって、勤務時間が減らせるわけではなく、これまでのプライベートな時間にプラスして業務をすることになります。

そのため、副業をすれば身体を休める時間も当然減ってしまうことに。

自分の体力を把握した上で、本業の業務進捗や自分自身の健康に悪影響が出ないように副業の業務量をコントロールをする必要があります。

ついつい副業に夢中になってしまいがちですが、副業が本業に支障を及ぼさないように、ライフスケジュールを工夫しましょう。

 

副業の注意点2.副業では「年末調整の書類処理」に十分注意

副業するときの2つ目の注意点は、副業では「年末調整の書類処理」に十分注意することです。

年末調整は、1年間の所得税を精算するために行われるもの。

一般的には、勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、もしくは「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を受け取り、必要事項を記入して提出することになります。

しかし、副業を行う際は年末調整が「1ヵ所でしか」行えないという点に注意しなければなりません。2ヵ所以上で年末調整を行ってしまうと課税が重複してしまう恐れがあるからです。

2つ以上の会社に勤務している場合は、一般的に収入がもっとも多い勤務先で年末調整を行うようにしましょう。

 

副業の注意点3.年末調整だけでなく「源泉徴収票の処理」にも要注意

副業するときの3つ目の注意点は、年末調整だけでなく「源泉徴収票の処理」にも注意が必要なことです。

源泉徴収とは、報酬を支払う際に、予め所得税や法人税などを差し引いて国に納税すること。

副業を行う際は源泉徴収票の処理にも気をつけなければなりません。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しない場合、源泉徴収税額表の処理は「乙欄」に基づいて行われます。

このため、副業の勤務先には乙欄で処理をしてもらう旨を伝える必要が出てくるのです。

 

副業の注意点4.副業で年間20万円以上の収入を超えたら「確定申告」を行う

副業するときの4つ目の注意点は、副業で年間20万円以上の収入を超えたら「確定申告」を行う必要があることです。

副業の収入が年間20万円を超える場合、確定申告を必ず行わなければなりません。

副業の収入が上記の条件を満たしたとき、翌年の2月16日から3月15日までの間に本業と副業の源泉徴収票を用意して、税務署で確定申告を行う必要があります。

申告書の作成や申告は国税庁のホームページから行うことが可能。事前に確認しておくといいでしょう。

 

副業行う前にもう一度チェック!

  • 本業の勤務先の「就業規則」を確認する
    →副業が認められない場合は副業は行うべきではありません。
  • 年末調整は本業の勤務先のみに提出する
    →副業の勤務先には「源泉徴収税額表」の処理を「乙欄」にしてもらいましょう。
  • 本業に影響が出ないようスケジュール調整を行う
    →業への影響は絶対にあってはなりません。疲労や体調管理にも配慮が必要です。
  • 副業の収入が年間20万円を超えたら必ず確定申告を行う
    →確定申告の期間は副業で20万円以上の収入があった翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。

 

副業を始める前には、会社の規則を確認しよう

本記事のまとめ
  • 副業を始める前には会社の就業規則を確認する
  • 税金面などで会社に副業がバレるケースが多い
  • 副業を始める際には、本業に支障がないように管理をする必要がある

近年、本業に対する収入の不満や、スキルアップを図りたいといった理由から、副業を行なう人が増えています。

また、働き方の多様化によって、全ての人が一つの会社だけで就業するとは限らない時代も訪れつつあるでしょう。

しかし、副業はメリットばかりではなく、体調やスケジュールの自己管理はもちろん、税務処理にも気を配らなければならないという側面もあることを忘れてはいけません。

副業を始める場合は、就業規則や確定申告など必要な知識を身に付けた上で、本業に支障が出ない範囲で行なうことを心がけましょう。

 

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード