1. LINEマンガがセミナー開催!“スマホ発”のヒット作創出に向けてマンガアプリ各社が目指すもの

LINEマンガがセミナー開催!“スマホ発”のヒット作創出に向けてマンガアプリ各社が目指すもの

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 2013年4月にサービスを開始した「LINEマンガ」。このサービスの登場を契機に、“スマホアプリ”で連載形式のマンガを読む習慣が根付き始めたのは記憶に新しい。

 いまでは、各出版社が独自のマンガアプリをリリースし、既出の作品を配信するだけでなく、新作を発表する場にもなりつつある。

 そんなLINEマンガが2017年7月25日に、プレスセミナーを開催した。本セミナーにはLINEマンガをはじめとする各サービスの代表者や、作品を提供する側の出版社の面々が登壇。

 スマホからヒット作を生み出すことに焦点を当てた、各社の動向について紹介しよう。

利用シーンに応じた紙とマンガアプリの使い分けが進む

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LINEマンガ 編集チーム マネージャー 村田朋良氏
 LINEマンガ 編集チーム マネージャーの村田朋良氏によると、「マンガを読む際に利用している媒体については紙で読む人が圧倒的に多いものの、スマホでマンガを読むユーザーの伸び率が高い」という。
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 同社の調査によると、新たなマンガ作品を認知する経路として、書店に続き、スマホマンガアプリだと答えたユーザーが多かった。
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 さらに、「おもしろかった」というフィルターを通すと、書店の割合が高いものの、スマホマンガアプリの割合も高い。

 中身を読む前にマンガのおもしろさを判断するポイントとして、圧倒的に「絵柄」と答える人が多い。

 村田氏は「スマホマンガアプリだから面白いと感じているのではなく、読者はあくまでも絵柄で評価している」と強調した。

 1人あたりの読書時間に関しては、紙よりもスマホのほうが長い。

 「マンガを読む媒体として紙を選ぶ読者が圧倒的に多いが、読書時間は紙よりもスマホが逆転している」ことを村田氏は指摘。
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 「電車や学校など、スキマ時間でのマンガの読書体験でスマホマンガアプリが上手く機能している。紙のほうが選ばれるシーンもあるが、より気に入った作品は集中して紙で読み、スキマ時間はスマホアプリで探しに行くという使い分けが見て取れる」と話した。

 今後は、スマホマンガアプリが面白い作品と出会える場所へとシフトしていくことがが考えられる。
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 LINEマンガをはじめとするスマホマンガアプリでは、WAU(Weekly Active Users)を重視しているそうだ。

 これは、スマホマンガアプリにおいて、週に1回新しいストーリーを公開する連載形式をとっていることに由来し、WAUが今後も重要な指標になるだろう。
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 これまでは良質な作品があれば、雑誌やコミックを通して書店で流通していた。それに対し、これからのスマホマンガアプリに期待されているのは、“そのアプリでしか読めない作品”だという。

 どれだけのユーザー数の目に留まるかというところから、いかに良質なコンテンツを届けるかが求められるフェースに入っているそうだ。

IT企業発のマンガサービスのコンテンツ戦略

 セミナーのトークセッション1部では、Cygamesのサイコミ編集部 編集長の葛西歩氏、ディー・エヌ・エーのマンガボックス編集部 編集長の安江亮太氏、LINEのLINEマンガ編集部 編集長の中野崇氏が登壇。

 いずれも“IT企業発のマンガサービス”という共通点があり、それぞれのコンテンツ戦略についてスピーチした。

ゲーム化やアニメ化を視野に入れる「サイコミ」

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Cygames サイコミ編集部 編集長 葛西歩氏
 Cygamesは、ゲームの企画・開発・運営事業を展開するIT企業だが、講談社と書籍・デジタル書籍の販売に関する業務提携を締結。コミックスレーベル「サイコミ」を7月28日に創刊した。

 「Cygamesというとゲームを思い浮かべるイメージが多い」と話しながらも、今後はオリジナル作品の配信にも力を入れることを葛西氏は話した。

 同社の強みは、ゲーム化はもちろん、アニメ化をすることも可能な点。“エンタメ総合企業”としての強みを活かしたコミックづくりをしていくことを目指す。

 同社の作品からコミックス化された「グランブルーファンタジー」の1巻は初版が40万部。「創刊レーベルでこれだけあるのは心強い」と葛西氏は言う。

 「ゲームチームとの垣根が低いので、非常に協力的。監修に関しても売り方に関しても安心して出せるかなと思っている」と語った。

 今後はコミックス事業の認知度を高めながら、書店とのタッグを組んでいく。10年後、20年後に向けたコンテンツの作成が必要だと感じているそうだ。

攻めの姿勢を加速する「マンガボックス」

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ディー・エヌ・エー マンガボックス編集部 編集長 安江亮太氏
 マンガボックスの安江氏は、「これまではモバゲーというプラットフォームを提供していたが、それをマンガアプリでも同じようにやっている」と話した。

 オリジナル作品に関しては、ディー・エヌ・エーとNTTドコモによる小説やコミックなどの投稿コミュニティサイト「エブリスタ」の作品を中心に、8作品の連載を開始するそうだ。

 同サービスで提供する他社作品でいえば、「恋と嘘」は140万部を超えるヒット作品。「アニメも好調で、海外の配信でも視聴率が好調だ」と安江氏は話す。

 「サービスを初めて3年強。定常黒字化しているのであとは攻めるだけ。これからはマルチメディア化を加速していこうと思っている」と、かなり強気の姿勢。

 「ただし、ディー・エヌ・エーはコンテンツ作りの面ではまだまだなので、パートナー企業と組んで頑張っていきたい」と語った。

年内に連載30本を目指す「LINEマンガ」

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LINEマンガ編集部 編集長 中野崇氏
 LINEマンガの中野氏は、「IP(アニメやマンガの版権)を使う取り組みよりは、オリジナル作品を作ることに注力している」と明言。年内に連載30本を目指しているそうだ。

 出版社が新人発掘に苦労している現状は、スマホのマンガサービスでも変わらない。そのため、「LINEマンガオリジナルのアワードや他社コンテンツと組んでの新人賞などで、新人発掘をしていきたい」とも話した。

 さらに、「ヒット作が出る土壌が整ってきたので、3年以内に100万部レベルのタイトルを作りたい」と今後の展望を語った。

出版社はLINEマンガで新たな方向性を模索中

 トークセッション2部では、LINEマンガにコンテンツを提供している出版社として、講談社 なかよし・ARIA・エッジ編集部 部長の中里郁子氏、集英社 別冊マーガレット 編集長の勅使河原崇氏、秋田書店 メディア事業部 主任の藤井基氏が登壇。

 コンテンツ展開におけるLINEマンガの活用事例について語った。

講談社はLINEマンガを初出媒体として作品を発表

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講談社 なかよし・ARIA・エッジ編集部 部長 中里郁子氏
 講談社は、「これはきっと恋じゃない」という作品をLINEマンガで2015年12月に週刊連載を開始。この作品はLINEマンガが初出媒体となっており、すでにコミックスは5巻の発売が目前だという。

 中里氏は「紙の雑誌を読まない、なかよしを読まない人はどこにいるのだろうというので始めた。作品の売れ行きはまぁまぁだが、ウェブ上は95%が無料なので、どれぐらいが有料で買ってくれるのかを体感したかった」と言う。

 実際、マンガアプリでの無料連載がだいぶ市民権を経ていることをこのコンテンツを通して感じているそうだ。

 「紙で読まれようとウェブで読まれようと、一番読まれやすい場所に置くのが編集者の使命。読者にどうやって参画してもらうか、新しいメディアにふさわしい新たな最適化の形を追求した」と語った。

集英社は新人賞の発掘でLINEマンガを活用

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集英社 別冊マーガレット 編集長 勅使河原崇氏
 出版社にとって、新人の発掘や育成は生命線となる。雑誌は対象読者があって作るものだが、常に読者が入れ替わるという特徴がある。そのため、ベテランだけでなく、新人作家も大切にしなければならない。

 そんななか、LINEマンガから声がかかり、「マーガレット」と「別冊マーガレット」では「集英社少女マンガグランプリ」を開催。

 勅使河原氏は「雑誌独自の賞には日頃から取り組んでいるが、雑誌が苦戦している状況で、新しい読者を開拓するのにLINEマンガはうってつけのパートナーだと思った」と話す。

 ウェブサイトの投稿機能を使ったこの新人賞について、「原稿の持ち込みには抵抗があるようなので、心理的なハードルが下がるのではないかと思っている。普段、別マに興味がなくても、気軽に投稿してもらえるのではと期待している」そうだ。

 作画についても、「アナログよりもデジタルのほうが1人で完結できる部分が多いので、応募しやすいのでは?」と話した。

秋田書店ではLINEマンガが重版のきっかけに

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秋田書店 メディア事業部 主任 藤井基氏
 2014年8月から80作品以上無料連載でのプロモーションとして作品を提供している秋田書店。社内での反響について藤井氏は、「連載を始める前は、社内のなかでも無料で見せてもいいのかといった声があり、全面的な社内の協力のもとというわけではなかった」と話す。

 とはいえ、LINEマンガに出すことで、重版になる打率を上げることはできたそうだ。

 たとえば、4年前に紙での連載が完結している「エンジェルボイス」という作品では、LINEマンガで連載を始めると、いままで動いていなかった数の部数が動くようになったという。

 これらの流れを受け、連載を雑誌以外でもやる際はLINEマンガやマンガボックスでやりたいという声がある。藤井氏の分析では、マンガボックスはヤンキーものが強く、スポーツ漫画は両者での反応が強い。

 「今後は各メディアの特性をいかした作品や、タッチポイントを増やすことを重要視している」と語った。
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 今後の「LINE」アプリのアップデートにより、LINEアプリ内でLINEマンガとのタッチポイントを構築する予定だ。

 コンテンツポータルを共有することで、よりシームレスに可処分時間をLINEマンガに使ってもらうことがLINEの狙いである。

 スマホ時代ならではのマンガの楽しみ方は、IT企業や大手出版社も動かす新たな潮流を生み出していることは確実だ。ウェブの世界ではフリーミアムモデルが広まるなか、いかにして収益を上げるかが今後も大きな課題となっていくだろう。

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