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韓国発・新パンデミック映画「新感染」は、どこがどう震撼させるのか?

清藤秀人

2017/07/28(最終更新日:2017/07/28)


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 ゾンビとパンデミック(爆発感染)を掛け合わせた大ヒット映画が韓国からやって来る。昨年のカンヌ映画祭に出品された際、各国のジャーナリストから絶賛され、実に156ヶ国から買付オファーが殺到したという「新感染 ファイナル・エクスプレス」だ。

 さて、瞬きする間もなく猛スピードで走り去る“密室移動パニック映画”の気になる中身とは……。

ウィルスを乗せて疾走する特急列車

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 ある朝、ソウル駅を出発したプサン行特急列車KTX101号で、謎のウィルスに感染した女性が突如凶暴化し、近くにいた女性乗務員に襲いかかった。

 それを機に、狂気はウィルスを媒介して列車内を一気に飲み込み、偶然この列車に乗り合わせていたファンドマネージャー親子、妊娠中の女性とその夫、高校の野球部員とその恋人などが、一致協力してサバイバルに挑むが、感染者の増殖パワーには及ばない。

 助け合うべき側が各々のエゴによって分断される中、韓国政府は国家非常事態宣言を発令。列車内の断末魔を封印し、ノンストップで疾走するKTX101号は、果たして、終着駅のプサンまで辿り着けるだろうか?
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 つまり、本作の肝はゾンビ(正確にはウィルスの感染しているだけで死者が蘇ったわけではない)とパンデミックに密室劇とノンストップアクションをプラスしている点だ。

 最初の感染者が女性乗務員を襲い、その乗務員が乗客たちを襲い、襲撃を免れた他の乗客たちが急いで車両を移動し、その車両が感染するとまた次の車両へと移動する。

 途中で感染者は車両ドアを手で開ける術を知らないことが分かる。車内のTVモニターでは全国規模での感染拡大のニュースが流れている。
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 やがて、列車は事態収拾のために一旦は途中のテジョン駅で停車するものの、そこにも予想通り感染者が蔓延っていた。こうして、生き残り組はからくも列車に再乗車。

 感染者はトンネルの暗闇では動きが止まる習性があることが発覚する。
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感染者にはその弱点をカバーして余りあるスピードが!!

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 感染者には幾つかの弱点があるものの、それをカバーして余りあるのがその俊敏さだ。人間の気配を察知するや否や、群れをなし、猛スピードで襲いかかってくる様は、ブラッド・ピット主演作「ワールド・ウォーZ」(13)に登場したゾンビ軍団以上。

 テジョン駅のシーンでは、感染者がまるで大波のように押し寄せ、数珠繋ぎになって列車に引き摺られるという、かつて見たことのない演出が用意されている。

 カンヌほか世界各国の映画関係者を驚嘆させたのは、舞台転換の巧みさもさることながら、それら画期的なCGI効果がもたらすアジアならではの独創性だったのではないだろうか。

感染の半島南下が意味するものとは?

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 恐るべき感染がソウルからプサンへと南下して行く。この設定に、南北の境界線を跨いで襲来する北の驚異を重ね合わせる向きもある。もしかして、韓国で昨年度の興収ナンバーワンに輝いたのは、そんなリアルな背景に人々が反応したからかも知れない。

 折しも、去る7月16日にはゾンビ映画の父と呼ばれたジョージ・A・ロメロが77歳で惜しまれつつ他界した。ロメロの代表作「ナイト・オブ・リビングデッド」(68)は、前記「ワールド・ウォーZ」から大ヒットドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」(10)まで、あらゆる映画、カルチャーに影響を与えたと言われる。
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韓国映画の新たな才能、ヨン・サンホ監督(中央)。
 「新感染」はロメロの遺志を受け継ぐアジア発の終末映画として、日本でも好意的に迎えられることを期待する。

【作品情報】
「新感染 ファイナル・エクスプレス」
9月1日(金) 新宿ピカデリーほか、全国疾走!!
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