1. 映画サイトRotten Tomatoesで満点!音楽が画面と客席を繋ぐ「ベイビー・ドライバー」

映画サイトRotten Tomatoesで満点!音楽が画面と客席を繋ぐ「ベイビー・ドライバー」

 今年3月にアメリカ、テキサス州オースティンで世界最大のマルチメディア・フェス「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」が開催された。

 そこでお披露目され、ヘッドライナー部門(有名監督の作品対象)の観客賞を受賞し、辛口の採点で知られる映画サイト、Rotten Tomatoesで驚異の100点満点!!をゲットした(「ラ・ラ・ランド」が93点)、今話題のクライム・カーアクション・ムービーが「ベイビー・ドライバー」だ。

主人公のモチベはずばり音楽?

 しかし、実は本作、犯罪とカーアクションがセットにはなっているものの、従来のジャンル映画とは少し違う。

 主人公のベイビー(プラダのモデルも務める身長191センチの23歳、アンセル・エルゴート)は「トランスポーター」(02)でジェイソン・ステイサムが演じたようなドライブテクに優れたプロの運び屋には違いないのだが、彼のモチベーション・ファクターになっているのは、なんと音楽なのだ。

iPodから流れる音と場面がリンクする

 運転席に身を沈め、予めiPodに収めた銀行強盗にマッチした曲をヘッドフォンで聴きながら、曲に合わせて、仲間の強盗団にゴーサインを出し、銀行に突入後の展開を音に乗せて想像し、大金をせしめた彼らを車内に匿い、パトカーと熾烈なカーチェイスを演じた後、無事に任務を完了する。その間、サウンドとシークエンスがベイビーの頭の中で完璧に連動していて、当然、観客もベイビーと一緒に音楽を聴きながら強盗の一部始終に付き合うことになる。

 これは、BGMが単に場面の雰囲気を盛り上げるために使用されてきた従来の映画音楽とは違う。主人公と観客がまさに音楽を“共有”するわけで、この一体感が半端ないのだ!

内と外でキャラ入れ替えは当たり前?

 ベイビーが音で外の世界を遮っているのは、幼い頃の交通事故が原因で生じた耳鳴りを消すためであり、結果的に、音への集中力が運転技術の急激な成長に繫がったという背景も描かれる。他者との面倒な対話より、自分の世界に籠もることで自然に才能が培われる。

 これは耳鳴りというハンデを取り払っても一般的にあり得ることだし、強盗団では寡黙で俊敏な運び屋でも、自宅では音楽好きの1少年に戻って寛ぐベイビーの切り替えに共鳴するビジネスパーソンは多いはずだ。

後半はベイビーVS組織の熾烈な攻防へ

 つまり、ベイビーにとって運転はあくまで金を稼ぐための手段に過ぎないのだが、かつて少年のベイビーを運び屋稼業に誘い入れた強盗団の元締め、ドク(ケヴィン・スペイシーがねっちりと怪演)は、ベイビーが恋するウエイトレスのデボラ(実写版「シンデレラ」のリリー・ジェームズ、キュートです)を盾に取り、ビジネスの続行を強要。ここから映画はさらにヒートアップし、ベイビーVS組織の熾烈な攻防がサウンドを明確に刻みながら一気呵成に描かれていく。

監督は映画界の若きイノベーター

 監督のエドガー・ライトはゾンビ映画を完璧にパロディ化した出世作「ショーン・オブ・ザ・デッド」(04)以来、スラプスティックSF「銀河ヒッチハイク・ガイド」(05)、ブラックジョーク炸裂の犯罪コメディ「ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」(07)と、常にジャンル映画の垣根を越えて来た映画界の若きイノベーター。

そしてロックマニアでゲームマニア

 本作は、アマチュア・ロックバンドのベーシストが彼女の元カレ7人とバトルする様子を、ロックサウンドとゲーム感覚(ライトは日本のゲームマニア)を投入して描いた「スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団」(10)と同じく、監督のマニアぶりが如何なく発揮された作品。

 映画のために厳選されたのは、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの“ベルトボトムズ”、ザ・ダムドの“ニート・ニート・ニート”、クイーンの“ブライトン・ロック”など、約30曲。ライトはまず曲を決めてから、それを使う場面のシナリオを執筆したというから、その“曲先”ぶりは徹底している。

 冒頭の銀行襲撃に使用されるスバルWRXを始め、シボレー・アバランチ、三菱・ギャラン、メルセデスベンツS550など、場面場面に登場する名車リストもカーマニアを虜にするであろう究極のジャンル超え映画「ベイビー・ドライバー」に、期待して欲しい!

【作品情報】
「ベイビー・ドライバー」
8月19日(土) 新宿バルト9他全国ロードジョー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

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