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改めて知っておきたい「格安スマホのトラブル」:国民生活センターが注意喚起

石野純也

2017/04/15(最終更新日:2017/04/15)


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 国民生活センターが、13日、格安スマホの購入、契約に対する注意喚起を行った。全国の消費者センサーに寄せられる相談件数は、2016年度に急増。前年対比で2.8倍となる、1,045件の報告が寄せられている。

 その内容を見ると、「問い合わせ先が電話窓口しかなく、つながりにくい」といった事業者が責任を果たしていないケースもある一方で、「SIMロック解除をしないと、他社のSIMカードでスマートフォンが使えなかった」といった利用者側の下調べ不足も目立つ。“通信料の安さ”だけが取りざたされた結果、大手キャリアと変わらない品質で、料金だけが安くなると認識され始めていることが伺える。

国民生活センター:この1年で格安スマホを巡るトラブルが急増

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 ただ、ビジネスとしてサービスを提供している以上、NTTドコモ、au、ソフトバンクと完全に同じ体制で、料金だけを安くすることは不可能に近い。ユーザーの目に見えないところで、何かしらのコストダウンが行われていることは、契約する前に把握しておきたいところだ。知っておくだけで、思っていたのとは違ったというトラブルも少なくなる。

 まず、サポート体制だが、ここには大きな違いがある。代理店を活用して全国津々浦々に自社ブランドのショップを展開している大手キャリアと比べ、格安スマホ事業者はリアルな接点が非常に少ない。

 最近では店舗を拡大している会社も増えているが、それでも多くて数百といったところ。大手キャリアとは、ケタが1つ変わってくる。家電量販店などではサポートを有料にしていることもある。そのぶん、店舗の運営コストやサポートコストを抑え、通信料金を安くしていると捉えるべきだ。
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リアル店舗を拡大している会社もあるが、大手キャリアに比べるとサポートは手薄になる。
 端末についても、大手キャリアとは異なり、基本はSIMフリースマホを別途購入するのが一般的だ。端末を同時に購入できる仕組みも増えているが、サポートの提供元はあくまでメーカーになる。この場合、故障時などはユーザーが直接メーカーに修理を依頼する流れになるが、対応は会社によってまちまち。ファーウェイのように、ワイモバイルと提携し、代替機を用意しているところもあれば、修理に1カ月近くかかることもある。端末が使えなくなったら、買い直すか安価なモデルをつなぎとして使うぐらいの覚悟は、必要になるだろう。
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端末はSIMフリーのスマートフォンを組み合わせるのが一般的だ。
 通信品質も、格安スマホだと問題になりやすい。格安スマホはMVNOと呼ばれ、大手キャリアからネットワークを帯域単位で借りている。そのため、ユーザー数と借りている帯域のバランスが取れないと、速度が低下しがちだ。特に、サラリーマンや学生が昼休憩を取る12時台は、極端に速度が低下し、ネット閲覧がままならなくなることもある。いざとなったら、Wi-Fiを使うなど、代替の通信手段を検討しておくことも重要になる。「大手キャリアとエリアが同じ」とアピールしている会社もあるが、品質まで同じではないことは覚えておいて損はない。
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「NTTドコモと同じ」をアピールしている会社は多いが、必ずしも同一ではない点には注意が必要となる。
 大手キャリアとの違いという点では、いわゆるケータイメールが提供されない違いもある。AndroidはGmailが、iPhoneはiCloudメールが標準で存在するため、コンピューターに慣れている人には問題ないポイントかもしれないが、ケータイメールで連絡を取り合うことが多い人は、注意が必要だ。

 「自分は使わなくても大丈夫」と思っても、相手に送れなくなるケースもある。大手キャリアの迷惑メールブロック設定で、ケータイメール以外の受信をできないようにしていることがあるからだ。この場合だと、相手にドメインを指定してもらうなどして、メールを送れる状態にしてもらう必要がある。

 このように、格安スマホは、さまざまな面でコストを切り詰め、成り立っている。一部時間帯をのぞけば通信自体の品質にそこまで大きな違いはないが、ユーザーから見えづらい部分の差は確かにある。

 通信料は大手キャリアの1/2〜1/3程度になるかもしれないが、安くなったぶんだけ、自己責任を求められるというわけだ。自分に合っているかどうか見極めたいというときは、利用期間に縛りのないデータSIMを使い、2台持ちで始めてみるなど、テスト的に導入してみることをオススメしたい。

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