1. アメリカとメキシコの国境周辺で今何が起きているか?異色サスペンス「ノー・エスケープ」の恐怖度

アメリカとメキシコの国境周辺で今何が起きているか?異色サスペンス「ノー・エスケープ」の恐怖度

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 トランプ大統領が就任前から公約に掲げていたメキシコ国境の壁建設計画。あれ以来、世界情勢は目まぐるしく変化し、壁建設自体も資金難から前進を見ていないが、今も国境付近ではメキシコからの不法移民と、彼らを取り締まるアメリカ国境警備隊、及び、一般市民で構成された自警団がジリジリするような持久戦を展開している。

 そんな絶望的な現実をベースにした映画が近く公開される。

不法移民を狙い撃ちするマンハンターがいた!!

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 「ノー・エスケープ 自由への国境」は、富める大国と貧困に喘ぐ隣国との経済格差や、背景にある麻薬カルテル問題を扱った過去の社会派ドラマやドキュメンタリーとは一線を画す作品だ。

 様々な理由から国を飛び出し、アメリカに向かおうとしていた移民たち、総勢15人を乗せたトラックがエンストを起こし、ストップ。仕方なく徒歩で有刺鉄線の国境を跨いだ彼らを待っていたのは、日中は摂氏50℃を超える灼熱の砂漠と、優秀な猟犬を伴い、遠距離からライフル銃で狙いを定めるマンハンターの存在だった!

仕掛けたのは「ゼロ・グラビティ」のキュアロン親子

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 1人また1人と被弾し、肉片が血飛沫と共に乾いた大地を赤く染めていく。からくも生き残ったものの、渇き、疲労し切った体に猟犬が襲いかかる。ある者は駆け上がった岩山から落下する。

 この残酷極まりない追跡劇を発案したのは、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」や「レヴェナント 蘇りし者」で知られるアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロなどと共に“メキシカン・ニュー・ウェイヴ”を形成するアルフォンソ・キュアロン(製作)とホナス・キュアロン(製作・監督・脚本)の親子。

 本作は2人が同じく製作と監督と脚本を分担して見事アカデミー賞(R)を受賞した「ゼロ・グラビティ」の原型と言われている。

「ゼロ・グラビティ」よりむしろ絶望的?

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 サバイバル不能と言う意味では、むしろ、「ゼロ・グラビティ」の宇宙よりこちらの方が過酷かも知れない。

 サンドラ・ブロックの主人公には地球帰還という目的が与えられていたのに対し、ラストで対峙するガエル・ガルシア・ベルナル扮する不法移民の男にとっても、彼を追いつめるジェフリー・ディーン・モーガン演じる孤高の狩人にとっても、出口の見えない荒涼とした砂漠が相も変わらず目の前に広がっているだけなのだから。その息苦しいような閉塞感は半端ないのだ。

ロケハンに2年費やし理想の砂漠を発見

 キュアロン親子は砂漠のリアリティを追求するために、全編自然光で撮影を敢行。さらに、物語の舞台に見合う砂漠を見つけるためにロケーション・ハンティングに2年を費やした結果、母国メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州に絶好の場所を発見。

 スタッフが連日、体温以上の高温と乾燥に悩まされた甲斐あって、本作は今年のアカデミー賞、外国語映画賞のメキシコ代表に選ばれる等、世界各国で高い評価を獲得している。

ファレルとコラボしたフランス人アーティストによる“砂漠サウンド”

 音楽はファレル・ウィリアムズのスマッシュヒット“Happy”のクリエイティブ・ディレクターで、ケイティ・ペリーやテイラー・スウィフトのPVを手がけるWOODKID。フランスの映像ディレクター、ヨアン・ルモワンヌが音楽活動する際に用いる名前だ。

 荒涼とした砂漠をたゆたう熱風のようなサウンドが、観客の恐怖をさらに倍増させる閉塞的心理サスペンス、それが「ノー・エスケープ」。副題の“自由への国境”とは気休めでしかないことを覚悟してほしい。

【作品情報】
「ノー・エスケープ 自由への国境」
5月5日(金) TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
©️ 2016 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.
配給:アスミック・エース

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