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【映画】Google Earthで我が家を特定し25年ぶりに帰宅した青年の実話が持つ説得力とは?

清藤秀人

2017/04/05(最終更新日:2017/04/05)


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【映画】Google Earthで我が家を特定し25年ぶりに帰宅した青年の実話が持つ説得力とは? 1番目の画像
 アフリカの北部、ポートサイドから南アフリカのダーバンまで、家を焼かれ、両親を亡くした10歳の少年、サミーが、磁石を頼りにアフリカ大陸を南下していく「サミー南へ行く」(64)以来、少年が途中様々な苦難を乗り越え“ホームカミング”を目指す物語は、小説や映画のひとつのジャンルとして位置付けられてきた。
 
 しかし、今週公開される「LION/ライオン 25年目のただいま」は副題にある通り、主人公が帰還するのは家を離れてから実に25年後。それも、彼がおぼろげに記憶していた帰路に繫がるヒントを発見するのは磁石ではなく、今、位置検索ツールとして何かと話題の「Google Earth」によってである。

回送列車で見知らぬ町へと運ばれたサルーを待っていたものは?

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 まず、これが実話の映画化であることに驚く。主人公の少年、サルーは5歳の時に兄の言葉に従い、駅に停車中の列車内で兄の帰りを待つ間、思わず眠りに落ち、気が付くと同じインドでも遙か遠くの見知らぬ町まで数日間かけて運ばれてしまう。運悪く乗った列車が回送列車だったのだ。
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 そこからサルーが辿る運命はまさにドラマ以上。降り立った町の人々が話す言葉とサルーの方言とか違っていたために、言葉は通じず、身寄りもないサルーはやがて孤児となり、同じ境遇の子供たちが集められた施設で暮らし始める。

 なまじ見た目が可愛かったばかりに人身売買組織の手にかかりかけるサルーだったが、直後、里親紹介組織を介してオーストラリア、タスマニアに住む養父母との間に養子縁組が成立。故郷に思いを残しつつ海を渡ることになる。

Google Earthで最後に見た給水塔を発見!!

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 少年が不運の連鎖によって帰路を絶たれてしまうプロセスを、フェイドインとフェイドアウトを巧みに積み重ねて描いた後、映画はやがて、心優しい養父母と美しい恋人に恵まれ、ホテル経営を目指すエリートとして成長したサルーが、忘れかけた故郷の残像に悩まされる日々へとシフト。

 過去が空白のまま今を生きる苦痛に耐えきれず、自室に閉じ籠もったサルーは、ある時、Google Earthの衛星写真から迷子になる寸前に駅のホームから見た給水塔を発見し、そこから遂に故郷の町の位置を割り出すことに成功する。インド全土を探し始めてから5年後のことだった。

まるで聖母のような養母役のニコール・キッドマンが養子縁組の本質を問いかける

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 事件や事故の現場を紹介する際、テロップや単なる写真より鮮明に写るGoogle Earthだが、まさか、1人の人間のルーツを探し出すのに役立つとは? そんな劇的偶然に着目し、映画化に踏み切ったのは、アカデミー賞(R)受賞作「英国王のスピーチ」(10)で知られるプロデューサー・コンビ。

 そして、映画化のニュースを知ってオーディションに臨み、見事、成長したサルー役をゲットしたのは、自らもインドにルーツを持ち、ロンドンで生まれ育った「スラムドッグ$ミリオネア」(08)のデヴ・パテル。2,000人の候補者の中から選ばれてサルーの少年期を演じたサニー・パワールが放つイノセンスもさることながら、養母を演じるニコール・キッドマンの魂に触れる名演には圧倒される。

 劇中、過去に引き戻されようとするサルーに対して、医学的理由や単なるボランティアで養子縁組を望んだのではなく、さながら神からの啓示のように、あえて実子を設けず、自らの愛をサルーの未来に捧げたのだと告白する場面でのキッドマンは、まるで聖母のよう。

 昨今取り沙汰されるセレブが有り余る富を養子縁組に還元しようとする合理主義とは違う、本能的な使命感について言及している点も、この感動の実話をより意味深いものにしている。

【作品情報】
「LION/ライオン~25年目のただいま~」
4月7日(金)TOHOシネマズみゆき座他全国ロードショー
©︎ 2016 Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia
配給:ギャガ

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