1. エマ・ワトソンが自然体で演じ、歌う「美女と野獣」実写版は単なるデートムービー以上?

エマ・ワトソンが自然体で演じ、歌う「美女と野獣」実写版は単なるデートムービー以上?

  アニメ映画史上初のアカデミー作品賞候補作として映画史に名を刻む「美女と野獣」(91)。同作の史上初は他にもある。興収が1億ドルを突破した初のアニメ映画であり、また、ウォルト・ディズニー製作のアニメ映画として初めて舞台ミュージカル化され、ブロードウェーで13年のロングラン記録を樹立している。

 これに追随する形で「ライオン・キング」「リトル・マーメイド」「アラジン」とディズニー・アニメの舞台化が相次いだのは周知の事実だ。その「美女と野獣」が今年、実写映画として蘇った。ディズニーのレガシーが四半世紀ぶりに映画ファンの手元に返ってきたのだ。

四半世紀ぶりに実写化された意味とは?

ベルのドレスがコルセットなしなのも新しい点。
 監督を打診されたビル・コンドンは当初躊躇したという。同じブロードウェー・ミュージカルを映画化した「ドリームガールズ」(09)で知られるミュージカル映画の達人ですら、オリジナルの革新性を損なう危険がある実写版に関わることを恐れたのだ。

 しかし、製作陣とコンドンはまず、ヒロインのベルを単なる読書家ではなく、本から得た知識を基に洗濯機擬きのマシーンを開発してしまう発明家として作り替えることで物語をリニューアル。

 当然、村では変わり者扱いされているベルが、魔女の願いを拒絶したせいで野獣に姿を変えられ、暗黒の城に幽閉されたままの王子と、同じ疎外感を共有しつつ愛を育んでいくというアイディアは、実写版の核になるもの。そんな「アナ雪」以上に果敢なヒロインを、ミュージカル初挑戦のエマ・ワトソンが演じている点が、第2の新しさでもある。

エマ・ワトソンの自然な歌唱法が耳に心地いい


 オープニングナンバーの“朝の風景"からファルセットを使わずに全曲をカバーするエマの歌唱法は、例えば「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイの熱唱とは対極にある自然体の最たるもの。それは全編を通して貫かれ、初めは戸惑うかも知れないミュージカル好きの観客を、いつしか新しい"ディズニー・ヒロイン"の世界へと連れ去ってくれるはずだ。

 一方で、コンドンとスタッフは劇中の見せ場であるベルに恋する自惚れ屋、ガストンと彼を崇拝するお調子者、ル・フウが歌う“強いぞ、ガストン”から、ベルと野獣、野獣と共に物に姿を変えられた城の住人たちが歌うアンサンブル“愛の芽生え”を経て、アリアナ・グランデとジョン・レジェンドがデュエットするクライマックスの名曲“美女と野獣”へと繋ぎ、オリジナルアニメが持つ華麗な世界観を巧みに踏襲していく。

 アニメ版で主題歌を歌って歌手として飛躍したセリーヌ・ディオンが、クロージングナンバー“時は永遠に”を提供しているのも話題だ。

クライマックスで待ち構える半端ない感動!

 クライマックスではさらに映画ファン感涙の瞬間が用意されている。野獣以下、ほぼ全編で最新鋭のパフォーマンス・キャプチャーとフェイス・キャプチャーを介して演技を提供していた実力派の俳優たちが、魔法が解けた途端、各々素顔を現すのだ。

 ミセス・ポッドのエマ・トンプソン、執事コグスワースのサー・イアン・マッケラン、給仕長ルミエールのユアン・マクレガー、音楽家ガテンツァのスタンリー・トゥッチ、そして、野獣のダン・スティーヴンスetc。

 彼らがチャーミングな笑顔で登場する時、満を持して放たれた「美女と野獣」実写版がディズニー・レガシーの再生であると同時に、名優たちの資産価値をも再認識させる志の高い企画であったことが分かる。この春イチオシのデートムービーには、色々な楽しみ方がありそうだ。

【作品情報】
「美女と野獣」 
4月21日(金)全国公開
©︎ 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
http://www.disney.co.jp/

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