1. 中国企業とハリウッドの蜜月を象徴する超大作「グレートウォール」が示すハリウッド映画の未来とは?

中国企業とハリウッドの蜜月を象徴する超大作「グレートウォール」が示すハリウッド映画の未来とは?

米中合作超大作の看板を担うマット・デイモン。
 中国企業のハリウッドへの参画、進出はエスカレートするばかりだ。もはや“爆買い”は世界最高峰のエンターテインメント界をも席巻しつつある。

 そんな中国企業の中で近年最も果敢にM&Aを行っているのが不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)だ。2012年にアメリカの大手映画館チェーン、AMCの買収に成功した同社が、昨年、「GODZILLA ゴジラ」(14)をヒットさせた製作会社、レジェンダリー・エンターテインメントをやはり35億ドル(発表当時)で買収したのは記憶に新しい。

 そして、そのレジェンダリーがハリウッドメジャーのユニバーサルと組んで放った最新プロジェクトが、中国映画史上最高額の製作費、1億5,000万ドルを投入した米中合作映画「グレートウォール」だ。

舞台はセットで再現される世界遺産“万里の長城”

 「グレートウォール」の舞台は世界遺産の“万里の長城”。建造に約1700年が費やされたという全長20,000メートルの巨大壁だ。物語は西暦1100年の中国・宋王朝時代に遡り、人間を捕食しようと60年毎に山から下りてくる神話上の怪物“とうてつ”を撃退するために壁が建造されたという架空の設定に基づくもの。つまり、壮大なクリーチャー映画と考えて差し支えない。

 製作陣は中国国内のスタジオに1平方キロメートルにも及ぶ巨大壁のセットを建造し、さらに中国神話の中に存在し、今作で映画デビューとなる新クリーチャー“とうてつ”を精密なCGIを駆使してビジュアル化。

 ハイイログマをイメージしたという怪物軍団が、その頂点に立つクィーンの嘶きに呼応して集団行動する様は映画最大の見どころ。巨大セットと並んで製作費の多くを費やした成果が現れている部分だ。

 プロダクション・デザインは2度のアカデミー賞(R)受賞を誇るジョン・マイヤー、撮影監督は「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」(16)のスチュアート・ドライバーグと「LOVERS」(04)のチャオ・シャオティンというまさに米中混合の布陣。クルーの頂点に立つ監督は、北京オンリピックで芸術監督を務めた中国映画界のレジェンド、チャン・イーモウだ。

最大の目玉はジェイソン・ボーン=マット・デイモン!

 しかし、最も注目すべきはキャスティングだろう。名声のために中国に赴き、成り行きで長城防衛軍に参加して怪物と対峙することになる傭兵、ウィリアムを、ユニバーサルの看板映画「ジェイソン・ボーン」シリーズ(02〜)の主演スター、マット・デイモンが演じているところに、本作が米中合作と高らかに謳いあげる最大の理由があるような気がする。

 つまり、ハリウッドが中国資本とのバーターで提供したメイド・イン・ハリウッドの目玉が、今、俳優として、また製作者としてアメリカ映画界を牽引するデイモンだったというわけだ。

 対する中国映画界からは、防衛軍の司令官役でハリウッドデビューした新星ジン・ティエンと、意外にも本作で同じくハリウッド進出を果たしたベテラン、アンディ・ラウなど、新旧の中国人俳優が名を連ねる。

中国企業のハリウッド“爆買い”の本番はこれから?

 昨年12月、中国及び世界各国で公開された「グレートウォール」は、1月末時点でワールドワイド興収、2億ドルを突破(映画データベースimdb調査)。アメリカでの成績は芳しくなかったものの、製作費は一応回収できた模様だ。

 そして、レジェンダリー・エンターテインメントは今後も「キングコング:髑髏島の巨神」(17)に続いて、「ジュラシック・ワールド」の続編、「パシフィック・リム」の続編(共に18)、そして、「ゴジラVSコング」(20)と高収益が見込めるフランチャイズ映画を次々製作していく計画だ。中国によるハリウッド“爆買い”の本番はまだこれからなのではないだろうか?

【作品情報】
「グレートウォール」
4月14日(金)より全国ロードショー
配給:東宝東和
©︎ Universal Studios

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